内定通知書とは? 作り方と送付する際の注意点

入社前、企業から内定者に送付することのある書類の一つ「内定通知書」には、どのような内容を盛り込むべきなのでしょうか。内定通知書を送ることの意味や役割、記載するべき項目、作成・送付する際の注意点などを、うたしろFP社労士事務所の社会保険労務士、歌代将也さんに聞きました。

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内定通知書とは?

内定通知書とは、その名の通り、会社側が応募者に対して「内定」したことを知らせる書類です。内定通知書は法的に発行が義務付けられている書類ではないので、必ずしも送る必要はありません。また、書式や内容、記載にあたって必要な項目なども決められていません。
 
そもそも「内定」とは、正式な発表や手続きの前に、内々には採用や昇進が決まっていることや、決めることを指します。採用活動における内定とは「入社後の雇用契約について合意ができた状態」を意味しています。内定者が内定通知を受け、内定承諾をすると内定が成立します。それぞれ「内定通知書」「内定承諾書」という書面の形で交わすケースが多いでしょう。
 
内定が成立すると、労働者と企業の間で労働契約(法的には「始期付解約権留保付労働契約」と呼ぶ)の合意が結ばれたことになります。内定といえども実質的には雇用契約と同等の効力があり、企業からの内定の取り消しは解雇に相当します。正当な理由のない内定取消は認められない可能性がありますので、注意が必要です。逆に、雇用契約は社員からの解約申し入れ後2週間で終了すると民法で定められていますので、内定者側からの内定辞退は可能です。

 

◆内定通知書を送る目的

内定通知書を内定者に送付する目的は主に二つあります。一つ目は、応募してきてくれた人に対して「本当に内定が決まっているのだろうか」という不安を抱かせないためです。
 
二つ目に、複数内定をもらった状態で、どこに入社しようか迷っている採用内定者に対して企業側が「ぜひ我が社に来てほしい」「内定を辞退しないでほしい」というアピールの意味合いがあります。
 
特に、新卒採用者は内定が決まってから入社までの期間が長く、内定者が不安になりやすいいため、内定通知書を送る傾向があるようです。一方、内定から入社までの期間が短く、内定決定後すぐに働き始める中途採用者には内定通知書を送らないこともあります。

内定通知書の作り方

前述したとおり、内定通知書には書式が定められていないため、フォーマットが存在しませんが、一般的に記載する事項として主に下記があります。

  1. 採用試験に応募してくれたことに対するお礼、歓迎する言葉
  2. 採用が決定した旨を伝える言葉
  3. 入社日(具体的な年月日)
  4. 労働条件(給与、勤務地、研修の有無など)
  5. 内定辞退についての注意書き
  6. 会社の連絡先

3の入社日は労働契約がいつ始まるかを指します。思い違いやトラブルを避けるためにも、内定通知書を送付するのであれば必ず記載しておきましょう。
また5について、民法の規定では、就業を開始する2週間前までは内定者は内定を辞退することが可能です。内定を辞退する場合には、遅くても入社日の2週間前までに連絡してもらうように書き加えましょう。内定辞退の期限を記載しておくことで、トラブルを未然に防ぐことができます。
 
また、内定通知書を送付する際には、内定者が署名をして会社に返送するための受諾書もしくは誓約書や、身元保証書を必要に応じ同封しておきます。

内定通知書の送付方法について

内定通知書の送付方法は、郵送かメールが主です。以前は郵送での送付が中心でしたが、近年は業種や社風によっては、メールによる送付も一般的になっています。
 
労働基準法では、労働契約を締結する際、労働者に労働条件を明示する義務があります。明示の方法については、以前は書面の交付に限られていましたが、2019年4月1日からは、労働者が希望した場合は、FAXや電子メール、SNSなどでも明示できるようになりました。
 
内定通知書には労働条件を記載することが多いため、会社はあらかじめ内定者に対して、送付方法について確認しておきましょう。メールの場合はうっかり消してしまったり、別のフォルダなどに入ってしまったりして確認ができないこともあります。その点についても注意するよう伝えておくとよいでしょう。
 
参考
「労働基準法施⾏規則」 改正のお知らせ(厚生労働省)

 

※記事内で取り上げた法令は2021年8月時点のものです。
 
<取材先>
監修:うたしろFP社労士事務所 社会保険労務士 歌代将也
 
TEXT:宮永加奈子
EDITING:Indeed Japan + 南澤悠佳 + ノオト

 
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