内定式を実施するポイント 時期や実施内容は?

内定・内々定を出した学生に対して行われる式典「内定式」は、いつ頃、どのように実施すると効果的なのでしょうか。時期や内容について、人材マネジメントを実務面からサポートしている株式会社人材研究所・代表取締役社長の曽和利光さんに伺いました。

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内定式の目的

経団連の取り決めに基づき、就職活動は大学3年生の3月に採用広報解禁、6月に選考解禁、10月に正式内定解禁とされてきました。そのため、内定式は内定解禁後の通常10月以降に行われるようになりました。
内定式は、企業が学生に対して正式に内定を約束することを伝える役目を担っているほか、入社までに起きる「内定辞退」を防ぎ、4月からスムーズに業務を始めるための「入社準備」を行う目的もあります。
 
学生としては、この式典をもって正式に「企業内の人」として扱われ、同じ内定者や人事以外の社員との接点も生まれることで、入社する企業への理解が自然と深まるというメリットがあります。また、時間や費用をかけて内定式を開催することで、内定者は「会社から大事にされている」と実感することができ、入社までのモチベーションが保たれやすくなるという効果も期待できます。

内定式の実施内容

内定式の主な実施内容は次の通りです。

  • 内定証書授与
    「この内定式をもって就職活動が終わり、社会人への第一歩を踏み出す」という心理的な効果を高めるために重要な儀式です。内定を口頭で伝えることも可能ですが、内定証書という紙を形として手渡すことで、学生に「正式に内定がもらえた」という安心感を与えることができます。
  • 祝辞やスピーチ
    社長や重役など重要なポジションにいる人からの祝辞や、内定者に対する期待などを述べるスピーチで、学生に対して「ウェルカム感」や「重要感」を伝えることができます。
  • 内定者同士のコミュニケーションプログラム
    ワークショップや自己紹介など、内定者同士がコミュニケーションを取るためプログラムも重要です。「会社の目の届く範囲で」学生同士を安全につなげるという点で大きな意味があります。
  • 事務的な連絡
    提出物や今後のスケジュールなど、事務的な連絡を行います。


オンラインの場合も基本的な流れは同様ですが、一番大きな違いは内定者同士のコミュニケーション部分です。リアルな場に比べ、オンラインの交流では内定者同士で話す機会を作りにくいため、「同期である」という仲間意識を醸成することが難しく、どの企業も今後の課題となっています。

開催する際の注意点

実施内容の3番目に「内定者同士のコミュニケーションプログラム」をあげたように、内定者同士の交流の場は企業側が設けるのが理想的です。しかし、会場や時間などの都合で、交流タイムを実施せずに内定式を終えるケースもあるでしょう。
 
そういった場合、企業側が交流タイムを実施しなくても、内定者の誰かが中心となってコミュニケーションが生まれることもあります。連絡先を交換するだけであれば良いのですが、最悪の場合、コロナ禍の自粛ムードの中で飲み会を開催するなど、想定外の行動を起こす可能性も考えられます。そういった不用意なトラブルを回避するためにも、企業側が学生同士の交流をコントロールする「交流タイム」を設けることをおすすめします。
 
また、昨今増えてきたオンライン内定式の場合、コミュニケーションプログラムをどう行うかが課題となります。たとえばZoomのようなオンラインミーティングツールに備わっているブレイクアウトルーム機能のようなものを利用するなど工夫を凝らしましょう。企業として、より主体的にコミュニケーションを活性化するための方法を模索する必要が求められます。
 
オンライン開催では、内定者に式典らしい重厚感を与えるのが難しくなります。画面の背景や映像、音楽などを事前に準備しておくことで、意図的に式典らしさを演出することが重要でしょう。

節目としての内定式

コロナ禍以降、内定式をオンラインで開催するケースも増えていますが、実施すべき内容に大きな相違はありません。内定式は、就職活動が終わった節目として、そして同期同士が初めて出会う場として内定者にとって重要な式典であることは、いつの時代も変わらないのです。

 

<取材先>
株式会社人材研究所・代表取締役社長 曽和利光さん
 
TEXT:ミノシマタカコ
EDITING:Indeed Japan + 波多野友子 + ノオト

 
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