内定後面談とは
内定後面談は、内定式や内定者教育の成果をモニタリングするために行われます。内定者の入社に対する気持ちがぶれていないかどうかを確認し、さらなるフォローが必要かどうかを判断するための面談です。
たとえば、内定式の感想を聞いた際に「気持ちが引き締まった」といったポジティブな回答が返ってくれば安心ですが、「内定前に抱いていた印象と違った」などのネガティブな感想を言われた場合は、フォローが必要だと判断することができるでしょう。
また面談を行うことで、入社後に起きる五月病や六月病を予防することにもつながります。かつては、五月病が起きる原因は「ゴールデンウィークによって緊張の糸が切れるため」、六月病については「祝日がないことでメンタルの不調が引き起こされるため」だと言われていました。しかし最近では、特に新入社員の五月病と六月病については、「理想と現実のギャップから起きるリアリティショックが原因ではないか」と言われています。
入社後のこういった事態を防ぐためにも、内定から入社までの半年間のうちに、内定者が抱く理想と現実のギャップを埋める必要があります。そのため、内定者面談では、内定者が抱いている入社後のイメージをヒアリングし、どのようなインプットをすればリアリティショックを和らげることができるのか検討する材料を集めるためにも必要な機会なのです。
内定後面談の時期
内定・内々定後に行われる内定式は、内定者にとってインパクトの大きな式典です。この場で出会った他の内定者とのコミュニケーションや印象により、入社への気持ちが高まるどころか萎えてしまう可能性も孕んでいます。そのため、一般的に10月頃行われる内定式が終わった後、できるだけ早いタイミングで内定後面談を実施することが望まれます。
会社によっては、10月に内定式を行った後、翌年2月頃に内定後面談を実施するケースもあります。内定辞退者がほとんど出ないような大企業、人気企業であれば、そのようなタイミングでもいいでしょう。しかし、内定辞退を危惧している場合は、内定式に参加したことで生じる内定者の不安をいち早く察知し改善させるためにも、内定式後1カ月以内に面談で対処することが効果的です。
内定辞退を防ぐポイント
内定辞退を未然に防ぐため、内定後面談では3つの聞くべき質問があります。
まず「会社の印象や、内定式で社長や重役が語った言葉についてどう感じたか」です。採用面接以降、内定者の心理にどのような変化が起きているかを把握できます。
次に「他の内定者との関係はどうか、どのような印象を持ったか」です。内定式後、内定者たちは互いに率直な意見を交わし合うでしょう。企業側が関与しないコミュニケーションを経た後で、内定辞退へと気持ちが傾いていないかを確認する必要があります。
最後に「リアリティショックを防ぐため」の質問です。内定までは、企業側も学生を惹きつけるためのポジティブな側面を発信し続けるため、内定者はいいところばかりを見て理想が高くなりすぎる傾向があります。そこで生じたギャップのせいで入社後にリアリティショックを起こさないためにも、「入社後の仕事に対して、どのような期待を抱いているか」について確認しておきましょう。
採用活動の効率化にもつながる内定後面談
近年では、実効性が高いリファラル採用が盛んに行われています。内定後面談を起点に後輩を紹介してもらい、その先の採用につなげていける可能性もあるのです。採用が多様化する中で、内定後面談の役割が内定辞退を防ぐだけのものではなくなってきている点についても、念頭に置いておくとよいでしょう。
<取材先>
株式会社人材研究所・代表取締役社長 曽和利光さん
TEXT:ミノシマタカコ
EDITING:Indeed Japan + 波多野友子+ ノオト