採用ブログの目的
採用ブログを更新しているものの、漠然と応募者を増やすことが目的となっている企業が多く見られます。しかし、それだけでは企業と採用者の両者にとってミスマッチな採用につながりかねません。採用ブログを効果的に運用するには、「採用時のミスマッチを減らすこと」を目的にするのがベストです。
たとえば、社内行事や飲み会の様子など、会社の良いところや楽しい面だけを発信していれば、応募者も増えるでしょう。しかし、実際に入社した後でギャップを感じると採用者の不満につながり、早期離職の原因になってしまいます。
採用時のミスマッチを減らすためにも、あらかじめブログで仕事のつらいところや大変なエピソードを発信しておくことが大切です。結果的に応募人数が減ったとしても、仕事内容に納得した上で応募してきた採用者は、入社後のギャップが少ないために長く働いてくれる可能性が高まります。
採用ブログと相性の良いテーマ例
採用ブログで適切なテーマを書くためには、「求職者が聞きたい情報」と「企業が発信したい情報」の両方を意識すると良いでしょう。具体的には、以下のようなテーマが挙げられます。
◆社内イベント
表彰式や入社式などの社内イベントは、担当者も書きやすく、企業の雰囲気が伝わりやすい内容です。ブログを始めたばかりの企業は、まずこのテーマから書き始めると良いでしょう。
◆仕事内容
職種ごとの仕事内容も積極的に発信するべきテーマです。たとえば、営業職なら「1日○件ほど取引先に訪問する」「車で1日平均○kmの距離を移動する」など、できるだけ詳細に書くと伝わりやすくなります。また「新入社員がよくするミス」や「過去の失敗談」なども触れておくと、入社後のミスを事前に減らすことができます。
◆クレドや理念
自社にクレド(企業の信条や行動指針)や企業理念などを設定している場合、たとえば個人情報や会社名が特定されない範囲で「過去にお付き合いをやめた取引先」や「受けなかった仕事」などの事例を書くと、自社の方針が伝わりやすくなります。また、ブログの内容が自社の理念に合っているかも常に意識しましょう。
◆社内教育
社内の様子は伝わっても、入社後にどのような教育があるかまでは伝わりにくいものです。新入社員が研修を受けている風景や、教育に使っている書籍などを紹介すると、候補者の安心感につながるほか、教育体制をアピールできます。
◆社員インタビュー
経営者や採用担当者が社員にインタビューした内容も、有益な記事となります。現在働いている社員の声は求職者に響きやすいため、実際に働いてみた印象などを社員に質問してみましょう。
◆採用についてのQ&A
求職者から寄せられる、採用に関する質問の答えを書くのもおすすめです。問い合わせの応対が減るほか、面接時の会話から応募者が事前に企業の情報を調べているかがわかるので、志望度の高さをはかることができます。
◆福利厚生
ほかの企業にはあまりない、珍しい福利厚生や社割などがある場合、それもひとつの切り口となります。また、それを実際に利用した社員に感想を聞いてみるのもおすすめです。自社ならではの魅力となる部分は積極的に発信しましょう。
採用ブログのネタに困ったときはどうする?
採用ブログを日々更新していると、ネタに困ることもあるでしょう。まずは、先述のテーマをすべて網羅しているか確認します。それでも悩む場合には、社員インタビューを充実させましょう。
社員インタビューは、経営者が社内の現状を把握できる機会にもなります。社員の回答から、思わぬ自社の魅力を発見したり、経営者と社員との方針のズレを把握できたりする効果もあります。読者にとって有益なだけでなく、自社にとっても良い影響をもたらします。
採用ブログは、できるだけリアルな情報を伝えることが大切です。「求職者が知りたい情報は何なのか」を常に意識しながら、企業の現状が伝わりやすいテーマ設定を心がけましょう。
<取材先>
人材採用コンサルタント/社会保険労務士 稲田 行徳さん
『採用の教科書®』シリーズ著者。2000年長崎大学工学部卒業後、社会保険労務士の資格取得。その後社会保険労務士事務所に入所、人事労務コンサルティングを行う。電機メーカーに転職後、人事担当として採用・教育・人事に関わり、仕組みを変えることで多くの実績をあげる。2007年、中小企業専門の人材採用に特化した採用コンサルティングを行う「いなだ社会保険労務士事務所」を設立。国内・海外企業、病院、公的機関に正しい採用の方法を教えている。
TEXT:稲垣恵美
EDITING:Indeed Japan + 成瀬瑛理子 + ノオト