採用活動では進捗管理が重要に 効果的な管理とルーチン化の方法

限られたリソースの中で、多忙な採用業務に追われている企業は少なくないでしょう。core words株式会社の代表・佐藤タカトシさんは、「ミスや遅れが発生しないよう採用業務を遂行するには、進捗管理が欠かせない」と語ります。
 
進捗管理はどのように行えばよいのでしょうか。進捗管理に有効なツールや効果的に管理するためのルーチン化について佐藤さんに解説していただきました。

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なぜ採用活動では進捗管理が重要なのか

採用活動を成功させるためには、選考スピードを上げることが非常に大事です。面接の合格者には、その日のうちに連絡をして、「次の面接はいつがよいですか?」とやり取りをスタートさせる。そのくらい迅速な対応が求められます。
 
なぜならば、エントリーから内定までのリードタイムを短くすることで選考辞退を防ぐことができるからです。選考辞退の理由は様々ですが、「先に他社から内定が出たので、選考を辞退します」というケースが多いです。これらを避けるために、採用の進捗管理を徹底して、スピーディーに応募者とコミュニケーションが取れる仕組みを作る必要があるのです。
 
加えて、進捗管理ツールなどで採用プロセスの履歴を残しておくと、採用活動の問題点を把握しやすくなります。たとえば、エントリー数が少ない場合と、内定承諾率が低い場合とでは、打ち手は全く異なるはずです。採用がうまくいかないときは、進捗管理ツールの履歴を振り返って課題を認識し、次回の採用活動の対策を練ることができます。
 
採用活動の進捗管理を怠ると、業務の漏れが発生したりスピードが落ちたりします。そうなれば、応募者が「この会社で大丈夫かな」と不安を抱いてもおかしくはありません。
 
また、企業のトップが面接に関わることもあります。たとえば、優秀な応募者が自社と他社どちらに決めようか迷っているとき、社長や経営層にフォローをお願いすることも考えられるでしょう。社長や経営層の負担を減らすには、応募者のスキルとともに過去の選考でどんなアプローチをしてきたのかを事前に共有しなくてはいけません。スムーズな情報共有のためにも、採用活動の進捗やデータの管理は重要なのです。

効率的に進捗管理をする方法

進捗管理には、一般的にATS(Applicant Tracking System)と呼ばれるツールを使うことが多いです。ATSとは、エントリーシートや面接評価などとあわせて、一人ひとりの応募者が採用プロセスのどの段階にいるかを管理できるシステムです。
 
応募者数が多くない会社では、ExcelやAccessなどで進捗管理シートを作成しているかもしれません。ただ、現在はホームページや多様な人材紹介サービスなど、エントリーチャネルが複数あることがほとんどです。使用するツールが多数あるので、それを手軽に一括管理できるATSは便利なツールのはずです。気軽に導入できる価格のものも少なくないので検討してみてもよいでしょう。
 
ATS を使用せず、ExcelやAccessなどで進捗管理シートを作成する場合には、名前などの本人情報に加えて、選考のステータス、S・A・Bなど採用の優先順位を記載しておくとよいでしょう。人事の意志を記入しておくことで、ほしい人材を明確化でき、限られたリソースをその人材の獲得に向けて集中的に投下させることができます。

進捗管理をルーチン化するには?

進捗管理はルーチン化することで効率的に行うことができます。毎日、毎月、クォーターの終わりにそれぞれやるべきことは以下の通りです。

◆毎日やること

進捗報告をルーチン化していくとよいでしょう。採用チーム内で、「今日はこの人の面接ですね」「この候補者に連絡をしないといけませんね」と、具体的なタスクを確認していきます。その際に用いるのは、管理ツールとして使われているATSやExcelシートです。朝会に報告が組み込まれていれば、入力も毎日行うよう習慣づけられます。

◆毎月やること

採用目標の途中経過の振り返りをルーチン化しましょう。採用目標は1クォーター(3カ月)ごとに立てることが多いので、たとえば「営業職を5人採る」という目標に対して、1カ月間でどこまで達成できたかを検証します。まだ1人も採れていないのであれば、あとの2カ月間で課題を解決して、巻き返さなければいけません。月単位で振り返ることで、「来月はスカウトをたくさん出してみよう」など翌月の活動方針を決めることができます。

◆クォーターの終わりにやること

最終的にどれほど目標が達成できたかを検証しましょう。課題が浮き彫りになれば、「どのフェーズで辞退者が多かったのか」などを振り返って次のクォーターに備えられます。
 
こうした短いスパンと長いスパンでのルーチンを組み合わせることで、採用の質を向上させていくことができるのです。

「何のために管理するのか」目的を持って進捗管理をしよう

最初から、「全ての部門のあらゆる工程の管理をしよう」といったように完璧を目指すと、パワーがかかりすぎて頓挫する可能性があります。そのため、管理する部分を絞ることが必要です。たとえば、いくつかの採用チャネルを持っているならば、「一番応募数が多いこのチャネルの管理だけに絞ろう」などと決めます。
 
あるいは、職種で管理するのもよいでしょう。「採用を強化しているエンジニアだけは、細かく管理しよう」などと絞る。または「最低限これだけは管理する」と決められるとよいですね。
 
管理はあくまで手段です。管理することが目的になってしまうと、「採用活動の効果・効率化」という本来の意図からブレてしまう可能性があります。形骸化してしまってはせっかくの管理も意味がありません。「何のために管理をするのか」という目的を明確化していくことが、進捗管理のポイントです。


<取材先>
core words株式会社 CEO 佐藤タカトシ
東京大学理学部卒。東京大学大学院理学系研究科修了。2001年4月、リクルートコミュニケーションズ入社。11年間に渡り、大手自動車メーカー、大手素材メーカー、インターネット関連企業、流通・小売企業など、100社以上の採用ブランディング、採用コミュニケーションを支援。マネージャー、クリエイティブディレクターを務めたのち、2012年7月、大手IT企業に転職。採用チームに所属し、採用ブランディングとダイレクトリクルーティングをメインミッションとして活動。2015年7月、core wordsを設立。
 
TEXT:佐藤智
EDITING:Indeed Japan + ノオト

 
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