要員計画とは?人員計画や採用計画との違いや立て方についても解説

ビル街でスーツを着た男性がジャンプしている様子を下から写したイメージ

従来は、新卒を一括採用・育成するという方法でしたが、先の読めない変化の激しい昨今においては、経営戦略に基づき、事業に必要な人員を算出する要員計画が注目されています。本記事では、要員計画の概要、人員計画や採用計画との違い、メリットや注意点などについて解説いたします。

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要員計画とは

人物のアイコンが描かれたパズルをはめる手のアップのイメージ

要員計画とは、事業計画に基づき、人材採用や人材育成、人材配置などを検討する戦略・計画のことを指します。英語では「manpower planning」や「human resources planning」とも。
 
高度経済成長期は、ビジネス環境も安定的で、「新卒一括採用」と「終身雇用制度」を中心とした人事戦略が主流でしたが、グローバリゼーションやIT技術の発達により、いわゆる「VUCA」と呼ばれる複雑化、高度化した不安定で正解の見えない社会に突入し、適宜、経営戦略に合わせて必要な人材を組み直すことが必要となりました。

◆人員計画や採用計画との違いについて

要員計画は事業計画や経営計画を元に立てられる計画であるのに対し、人員計画は事業部や部署単位におけるミクロの視点で検討される具体的な計画を指すことが多いです。一方、採用計画は、文字通り人材採用のために立案される計画のことを言います。

◆要員計画の方法は全部で2種類

要員計画を策定する方法は全部で2種類です。

・トップダウン型

トップダウン型では、経営計画や事業計画に基づいて、採用予算を算出し要員計画を策定します。「マクロ的算定方式」とも言われ、労働分配率や損益分岐点から割り出される人件費をもとに、確保する要員を決めていきます。トップダウン型の場合、最初に決めた予算に合わせて人員を補充するため、予算内で採用を進められます。一方で、予算を気にしすぎるあまり必要な人員数を確保できていなかった、という事態になる可能性があります。トップダウン型で要員計画を立てる場合は、予算内におさめることだけでなく、現場に必要な人員を確保できているかという視点を持つことが大切です。

・ボトムアップ型

積み上げ方式、ミクロ的算出方式とも呼ばれます。部署、事業部、職種、階層別など、現場の声を拾い上げ、その情報をもとに必要な人員を把握します。ボトムアップ型は実際の業務にあわせて必要な人員数を算定するため、後で要員が足りていなかったという自体は避けられます。ただし、現場すべての要望に応えようと算定する人員数が増えた場合、予算オーバーしてしまう可能性があります。ボトムアップ型で要員計画を立てる際は、必要な人員を確保することだけでなく、予算との兼ね合いも考えることが大切です。

 
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なぜ要員計画が必要なのか

外で握手をする男性2人の手元の写真

なぜ、要員計画という考え方が注目されているのでしょうか。それは、大きく以下の2つの要因が挙げられます。

◆ビジネス環境の変化

グローバル化、IT技術の発展により、ビジネス環境は大きく変化を遂げました。それにより近年は、様々な業界のビジネスモデルが大きく変化し、多くの業界、企業が淘汰されています。その裏で新しいマーケットの誕生とともに生まれる業界、企業もあります。
 
ビジネス環境は常にめまぐるしく変化し続け、先の読めない時代へと突入しています。このような企業を取り巻く環境が不安定な中で生き残るには、競合との差別化が必要になります。差別化を図るには、企業のノウハウやスキルだけでなく、「人材」を活かしたビジネスモデルを作成していくことがポイントです。

◆労働人口の減少

労働人口とは、労働可能な能力と労働する意思を持った15歳以上の人を合わせたものです。厚生労働省が報告している労働白書によると、労働人口は今後2040年まで減少していくと推計されています。
 
(参考:厚生労働省)
 
労働人口が減少すれば、売り手市場となり、優秀な人材の獲得が困難になります。そのため、企業側としては、採用だけでなく自社の人材育成や多様な働き方を実現できる労働環境の整備、さらに社内人材だけでなく退職者を再雇用するアルムナイネットワークの構築などの施策を積極的に実施していく必要があります。

要員計画をたてるメリット

黒い背景にスーツを着た男性の顔なしのウェストアップの写真

要員計画をたてることによって、どのようなメリットが得られるのでしょうか?メリットとしては大きく3つあります。

◆人材不足の解消

要員計画を立てる際は、トップダウン型でもボトムアップ型でも現場の意見を聞きながら進めることになります。予算との兼ね合いにより必ずしも全部署の人材不足が解消できるわけではありませんが、実際に必要とされる人員数を把握した上で採用を進められるため、現場との乖離は起きにくくなります。

◆採用におけるミスマッチの防止

経営層と現場が連携しながら要員計画を設計・運用しているため、求人記事の内容、コーポレートメッセージ、求人広告などで、それぞれブレがなく一貫したメッセージを発信できます。また、方針が明確なため、自社に合った人材を採用でき、ミスマッチによる離職率も減少します。

◆人員構成のバランス維持

ベンチャー企業でありがちなのが、カルチャーマッチやリファラルなどによる採用です。ミスマッチは起きにくいという利点はありますが、新しく事業を見直す、カルチャーを一新する、サービスをクローズし新しいサービスを立ち上げるといったときには、今までとは異なる人材を採用する必要も出てくるでしょう。
 
要員計画を実施すれば、不足している人材を明確に割り出せるため現場の求めているスキルを持った人材をピンポイントで補充することが可能です。

要員計画でよくある失敗事例

外で話す女性2人

要員計画を作ればすべてが上手くいくということはなく、現実的に運用・改善していくことが大切です。ここでは、要員計画でよくある失敗事例についてご紹介します。

◆採用を急ぎすぎる

要員計画に沿って実行できるほど、現実は簡単ではありません。ときには、現場が深刻な人手不足を抱えており、今すぐ人材を採用してほしいという声もあるでしょう。しかし、採用は縁であり、狙った時期に良い人材が採れるわけではありません。採用を急ぎすぎると、工数や予算がかかりすぎてしまい、結果、必要な人材を確保する予算が不足してしまいます。

◆退職・休職などを加味して計画していない

バッファを設けて要員計画を設計したとしても、戦力となる中核人材、優秀層の退職や休職は痛手であり、要員計画を抜本的に見直さなければならないこともあります。離職は事業に大きなダメージを与えます。特にテレワークが普及した今、離職する予兆の察知がより困難となっています。
 
目標設定や評価制度、コミュニケーション方法の見直し、従業員のモチベーションマネジメント、タレントマネジメントによる変数のスコア化など、さまざまな切り口から、エンプロイーサクセス(従業員の自己実現)を考えて、離職を防止する施策を講じることが重要です。

◆獲得難易度の把握ができていない

欲しいタイミングで欲しい人材を採用できるとは限りません。習熟度が高い人材、専門性の高いスキルや技能を持った人材などは、獲得の難易度が高めです。獲得難易度が把握できていないと、予定通りに採用を進めることができません。例えば、良い人材に出会った際、獲得することに注力するあまり予算を無視してしまうと、その後他の人材確保に充てる予算がなくなってしまうかもしれません。要員計画通りに進めるためには、獲得難易度とともに、予算や現場ニーズを把握しバランスを考えることが大切です。

 
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要員計画の進め方

男女、様々な人種の人が並んでいる様子

ここでは、要員計画の進め方についてステップごとに解説いたします。

◆現状把握

まず、要員計画を進める前に、各部門・部署ごとに、在籍人数(年度末/年度当初)、年度増減人員分などをヒアリングし、従業員の過不足を把握します。

◆要員調査

要員調査では、ボトムアップ型で現場の声を、トップダウン型で組織全体としてのニーズをそれぞれ把握し、必要な人員数を調査します。

・職場ごとの要員ニーズ

ボトムアップ方式で、部門、部署、職種、階層など、さまざまなセグメントから必要な人員数を割り出してニーズを把握します。このとき現場のメンバーではなく責任者にヒアリングを行います。ニーズを把握する時は、「5W1H」のフレームワークでヒアリングをすると有効です。

  • Who(だれ)・・・どの役職がほしいのか
  • When(いつ)・・・いつまでに
  • Where(どこ)・・・どの部署に
  • What(なに)・・・何が足りないのか
  • Why(なぜ)・・・何のために必要なのか
  • How(どのような)・・・どのようなスキルや経験を持った人材なのか

特に「What」と「Why」はニーズの深堀に重要です。ニーズを明確にすることで、その人材補強が欠員のためなのか、業務負荷を減らすためなのか、それともサービスの品質を他共にするためなのかなどを把握でき、より現場に合った人員を確保できるようになります。

・組織の要員ニーズ

次に、トップダウン方式で組織としてのニーズを経営陣、CHRO(最高人事責任者)などにヒアリングします。ボトムアップ方式と同じように、ニーズを明確にしておくことが重要です。事業フェーズや事業の状況によっても大きくニーズは変わります。例えば、企業全体の売上が横ばいで、社内カルチャーを一新したい場合は、今までとは全く異なる毛色の人材が必要になります。

◆要員要望数の適正チェック

基本的に、経営層と現場では意見にギャップが生じます。そのギャップを調整するために、労働生産性や直間比率といった指標で要員要望数が適正かをチェックします。直間比率とは、営業など直接利益をもたらしている人材とバックオフィスなど間接利益をもたらしている人材の比率のことを指します。理想的な直間比率は企業の規模や扱うモノにより異なりますが、直接利益をもたらしている従業員の割合が70〜80%になっているかが一つの目安です。

◆採用数の適正チェック

現状把握で明確にした年度増減人員分を判断材料にしながら、適切な採用数かチェックします。次に、採用計画の実現可能性を獲得難易度、採用市場の動向、採用予算などから、総合的に判断していきます。

◆採用計画の立案

採用数が固まったら、計画案に落とし込んでいきます。このときに重要なのが離職や休職などを念頭に置き、バッファを持ったスケジュールを引くことです。また、採用市場は水物のため、必ず計画通りに求めている人材が採用できるとも限りません。無理のない現実可能な計画を立案しましょう。

◆要員計画の策定

要員計画では、採用という観点以外の、人材育成や定着、業務改善、人材を管理するタレントプールやアルムナイネットワークの構築なども含めた中長期計画を策定します。ここで策定する要員計画が、人事部門の施策の要となります。

◆要員計画の運用

要員計画を策定したら終わりではなく、逐一、現場と連携をとり、経営計画から大きく外れていないか進捗状況を確認します。中核人材の離職や休職、業務効率の悪化など、現場に大きな変化が生じている場合には、常に細かく経営計画と連動して、要員計画をブラッシュアップしていきます。

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まとめ

会議室でミーティングをする様子

要員計画を作成しただけでは、それは絵に描いた餅であり、なんの意味も果たしません。常に現場とコミュニケーションをとり、逐一、要員計画を現実可能なものへと改善して、はじめて経営層の思いと現場のニーズがリンクし、要員計画が円滑に駆動し始めます。
 
要員計画を策定し実行し続けるのは容易ではありませんが、この変化の激しい時代には大切な手段です。ぜひ、本日のポイントを参考にしてみてください。

 
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