採用計画とは
採用計画は、採用活動を行ううえで指標となるものです。いつ、どのポジションに、どのような人材を、どのような採用手法で獲得するのか……といった採用活動にかかわる事柄を決めていきます。
採用計画を立てる際には、自社の経営方針や事業計画をふまえて検討していく必要があります。求めている人材を見極め、組織の中で適切に配置を行わなければならないからです。自社の状況に沿った計画になっていないと、採用した社員とミスマッチが起きたり、事業がうまくいかなくなったりする可能性があります。
また、採用計画は短期的な視点だけで取り組むべきではありません。「新規事業に伴って、若手社員が必要だから」と20代をまとめて採用すると、一時的には若手中心のメンバーになりますが、10年後にはそのままスライドして中堅層がメインになってしまいます。
「将来的に組織がどのようになっていくか」といった中長期的な視点も合わせて必要になります。
採用計画は、あくまでも中長期的な視点で作ることが肝心です。昨今の新型コロナウイルスの問題など、もしもイレギュラーな事態が起きたときには「臨時採用計画」として内容を見直しながら組み込んでいくのが理想でしょう。
採用計画を策定する際に見直すべきポイント
とくに人事の担当者こそ、中長期的な視点で採用計画に取り組むべきです。なぜなら、経営者や現場のリーダーにとっては、目先の課題解決も重要です。そこで「短期的な計画に寄りすぎていないか」と見直せるのが人事の役割でもあります。
中長期的な視点で採用計画を見直すには、3年後、5年後、10年後……と組織がどうなっていくのか、社内の人口動態をふまえて考えていきましょう。
たとえば、社内の退職率をふまえると、今後の社員数はどうなるのか。新卒を10人ずつ採用していったら、若手社員の割合はどうなるか。数年以内に何人が定年退職するのか。こういった予測は自社のデータを把握している人事の方でできるはずです。
人事は「過去のデータから予測すると、今後の組織はどうなっていくか」というのを経営側に提言していくのが重要です。
採用活動では、日々の数字を追いながら見直しを
大枠となる採用計画がある中で、採用活動にまつわる具体的な計画も存在します。
たとえば「○月○日までに○人採用したい」など細かな目標においては、常に数字を追いながら対応していく必要があります。スケジュールの遅れや採用人数の不足など、問題が起こってから対処するのではなく、日々数字をチェックしながら見直していきましょう。
採用管理システム(ATS)を入れておけば、求人から採用までを一元管理できます。応募者数をはじめ、応募者がどの選考段階にあるのかなど、リアルタイムで採用の状況がわかります。
新卒採用とは違って、中途採用は短期決戦です。進捗の遅れが出ないためにも、システムを活用しながらデイリー単位で把握し、イレギュラーな部分があればすぐに対応する必要があります。定期的に数字を確認するのではなく、毎日チェックしながら選考を進めていきましょう。
もしも社内でシステムを導入していない場合には、エクセルなどで自ら管理する必要があります。
中長期的な視点と日々のチェックをもって採用活動を行うこと
大枠となる採用計画を立てる際には、いかに中長期的な視点をもって取り組めるかがポイントになります。とくに人事は短期的な問題に目をとらわれすぎずに、先々の組織形態を予測していく必要があります。長い目で見て問題がないか見直すようにしましょう。
そして採用活動を進めるときの細かな動向は、日々チェックして都度改善していくように対応することがポイントです。採用活動を成功させるためにも、幅広い視点をもちながら細かい進捗の確認を怠らないようにしてください。
<取材先>
人材研究所
代表取締役社長 曽和 利光さん
京都大学卒業後、リクルートに入社。人事部のゼネラルマネージャーとして培ったスキル・ノウハウと、2万人の面接経験を融合しワンランク上の人材を採用する独自手法を確立。その後、生命保険会社、総合不動産会社で一貫して人事領域で活躍し、2011年に株式会社人材研究所設立。著書に『人事と採用のセオリー 成長企業に共通する組織運営の原理と原則』(ソシム)などがある。
TEXT:成瀬瑛理子
EDITING:Indeed Japan + ノオト