社内勉強会とは?
社内勉強会は、その目的によって大きく2つに分けられます。
- 業務上必ず知っておかなければならない事項を伝達するため
例)新たに導入した社内ツールの使い方を習得する、人事制度の変更点を理解する など - 参加者の知見やスキルをより高めるため
例)新商品の開発者から話を聞く、新しいIT技術について学ぶ など
この記事では、参加者のスキルアップを目的とした2の社内勉強会について説明します。
社内勉強会の形式
開催目的に合わせて、主に3つの形式が考えられます。
- 座学……参加者に知識を与える
- 実践……スキルアップを図る
- 交流……参加者同士のつながりを作る
座学で知識を得た後、グループワークを通して交流を深めるなど、一度の社内勉強会で複数の要素を組み合わせるケースもあります。
◆開催形式の例
具体的には、以下のような開催形式が挙げられます。
- 講義(登壇者が話す)
- グループワーク(少人数のグループでディスカッションする)
- 1on1でのレクチャー(1対1で講義する)
- ライトニングトーク(複数の登壇者が1人5〜10分程度で発表する)
- ハッカソン(個人もしくはチームで、集中的に開発作業を行う)
- もくもく会(複数人で集まり、各自が作業する)
トップダウン型で情報を伝えるのか、交流や横のつながりを重視するのか、目的によって開催形式を使い分けましょう。
◆社内勉強会の講師
社内のメンバーが講師を務めて知見やスキルをシェアするほか、社外からゲスト講師を呼ぶケースもあります。
社内勉強会のメリット
◆双方向のやり取りができる
社内勉強会のメリットの1つが、スピーカーと参加者が相互にやり取りできることです。もし分からないことや疑問点があれば、その場で質問して解決できます。講師や参加者が一体となってアイデアを出し合う場にもなり得ます。
◆モチベーションアップにつながる
勉強やスキルアップは、「やったほうがいい」と頭では分かっていても、1人だとなかなか進めにくいのが現実でしょう。他の人と一緒に学ぶ場があると、学習を続けやすくなります。
◆複数の部署を横断した新規事業につながる
部署ごとの課題を突き合わせて勉強会を企画すれば、部署を横断した新規事業につながっていく可能性があります。社内勉強会を開催することで、まったく予測しなかった他部署同士のつながりや事業アイデアが生まれるかもしれません。
◆採用活動でアピールできる
採用活動で社内の勉強会の様子を伝えることは、応募者の志望意欲を高める一要素になり得ます。従業員の育成にきちんと投資している企業である、といったイメージ戦略にもつながります。
◆社員の成長、会社全体の発展につながる
もちろん日々の業務を通してスキルアップする部分もありますが、それだけでは飛び抜けた成果にはつながりにくいでしょう。さらに成長するためには、新たな知識をインプットしたり、これまでにない発想を得たりすることが重要です。
社内には、人的資産や即効性の高いノウハウが蓄積されているものです。社内勉強会でそれらを共有することで、社員の成長、ひいては会社全体の利益や発展にもつながっていくでしょう。
社内勉強会を開催する際の流れ
社内勉強会を開催する際の大まかな流れは、下記の通りです。
- テーマと目的を決める
- 開催形式を決める
- 内容と参加対象者を決める
- 時間や場所を決める
- タイムテーブルを作成する
- 告知する
そのほか、下記のような準備も必要になります。
- 講師や登壇者の人数、発表時間を決める
- 講師や登壇者と事前に打ち合わせる
- 備品や配布資料を用意する(長時間になる場合は軽食の手配を検討する)
ただし、初回から大掛かりなイベントを企画すると大変なので、まずは小規模から始めるほうがいいでしょう。
より多くの社員に「自主的に」参加してもらうコツ
◆コンテンツ(勉強会の内容)を充実させる
より多くの人に興味を持ってもらえるように、コンテンツ(勉強会の内容)の充実を図りましょう。登壇者が話す内容はもちろん、食事を用意する、交流する時間を設ける、社外のゲストを呼ぶといった要素もコンテンツに含まれます。
◆告知に力を入れる
社内にポスターを貼る、全社集会でお知らせするなど、まだ情報が届いていない人に向けてしっかり告知しましょう。各部署のマネージャーに、「ぜひ参加してください」「部署内のメンバーにも伝えてください」とプッシュするのも有効です。ただし、自由参加を掲げながら実際は強制参加のような雰囲気を出しすぎると、参加対象となる社員に嫌悪感を与えてしまう可能性があるので、注意してください。
◆参加のハードルを下げる
オンラインで勉強会を開催する場合は、「ラジオ感覚で、話を聞くだけでOKですよ」「カメラはオフでも構いません」など、気軽に参加できるようハードルを下げておくのも一つの手です。
社内勉強会で効果を生み出すための施策
◆初回で人を集める
初回で人が集まらないと、2回目の開催につながりにくくなります。初回はあまりハードルを上げすぎず、適度な目標設定でなるべく人が集まるようなテーマやコンテンツを考えることが大事です。
◆質疑応答の時間を設ける
双方向のやり取りができるのは社内勉強会の大きなメリットです。参加者もそれを望んでいる場合が多いので、勉強会の中で必ず質問を受け付けて回答する時間を設けましょう。
◆期待値を調整する
事前に「今回の社内勉強会はすごく面白いですよ/ためになりますよ」とアピールしすぎて、開催後に参加者から「期待外れだった」と思われてしまっては意味がありません。勉強会の目的や内容について、企画時点での解像度を高め、適切に広報することが満足度につながります。
もし告知を始める段階でコンテンツの中身が決まりきっていない場合は、開催日までに随時情報を更新し、参加者に伝えましょう。
◆当日は「トラブル対応」と「空気感をつかむ」
勉強会の当日は、マイクや音響の不具合、配信上のトラブルなど、予期せぬことが起こるものです。即座に対応できるよう、ある程度のトラブルシューティングを考えておきましょう。
また開催中は、参加者がいま何を求めているのか、コンテンツをどう受け止めているのかなど、リアルタイムでしか感じとれない情報がたくさんあります。その場の空気感をできる限りキャッチすることで、運営課題が明確になり、次回以降に改善できます。
◆「一部の社員が内輪でやっている」と思われないよう留意する
社内勉強会を何度か開催していくと、参加メンバーがある程度固定されてしまうことがあります。いわば「内輪だけでやっている」感が出来上がってしまい、ほかの社員が参加しにくくなります。
その場合は、「テーマをガラッと変える」「座学からゲーム形式に変更する」など、新しい人が参加しやすいような工夫をしてみましょう。
◆運営する仲間を増やしていく
社内勉強会を主催する際は、社員の誰かが単独で進めるのではなく、少なくとも2~3人のチームで企画・運営するのがおすすめです。勉強会の内容を客観的に検討したり、継続のため工夫したりすることができます。
最初は1人で企画を立てたとしても、運営する過程で他の人を巻き込んだり、登壇者と一緒にコンテンツを考えたりしながら仲間を増やしていくことが大切です。
◆開催後は登壇者にお礼を伝え、参加者にアンケートを促す
社内勉強会の開催直後の行動は極めて重要です。参加者にアンケートを配って回答を促す、次回の告知をする、登壇者にお礼を伝えるなどの気遣いが次回の開催につながります。
開催翌日以降は、アンケート結果を分析したり、課題をリストアップしたりしながら、次回にむけて運営体制やコンテンツを改善していきましょう。
<取材先>
core words株式会社
佐藤タカトシさん
2001年、大手人材企業に入社。11年間に渡り、大手自動車メーカー、大手素材メーカー、インターネット関連企業、流通・小売企業など、100社以上の採用ブランディング、採用コミュニケーションを支援。マネージャー、クリエイティブディレクターを務めたのち、2012年、大手ベンチャー企業に転職。採用チームに所属し、採用ブランディングとダイレクトリクルーティングをメインミッションとして活動。2015年7月、core wordsを設立。
TEXT:村中貴士
EDITING:Indeed Japan + ノオト




