23年卒の採用スケジュール、基本の流れは?
一般的なスケジュールとしては、2022年3月1日以降に会社説明会受付などの広報活動を開始して、6月1日以降に面接などの採用選考活動を開始、そして10月1日以降に内定を出すことが政府から要請されています。ただ強制力はないため、企業によってスケジュールは様々です。そのパターンは大きく3つに分けられます。
◆解禁前から動く
最も早いスケジュールは、2021年(大学3年生)の夏にサマーインターンシップを行い、すぐに本選考に入るパターンです。体感的には、全体の1割もないですが、外資系の企業やベンチャー企業、また中小企業でも採用力のある会社に多い動き方です。この場合、2022年頭にはもう内定者が出ていることもあります。
◆一般的なスケジュールに合わせて動く
続いて、2022年3月からの採用広報解禁、6月からの選考解禁に合わせて動くパターンです。日系大手の人気企業に多い印象があります。
3月の採用広報解禁時期は、最も多くの学生が動き出します。この時期を逃すと学生の情報を集めにくいという側面もありますが、大手とまったく同じ流れでやると人気・知名度で劣る中小企業はうまくいかないケースが多いのが実情です。そのため、前後の時期をメインに動く企業も多く見られます。
◆スケジュールを後ろにずらして動く
そのあとに来るのが、一般的なスケジュールから少し後ろへずらして、大手企業とのかち合いを避ける戦略をとるケースです。
4月から就職活動を始める学生も多くいるため、大手企業の動きが静かになる4月の頭~5月をねらい説明会を開始し、6月の中旬~7月に大手の採用選考からもれた学生たちを狙って選考を行うというスケジュールです。大手企業には募集人数に対して、100倍200倍という学生が殺到するため、優秀な人材も選考から外れてしまうことが多々あります。このように大手のピークをはずしていくことは、優秀な人を少人数確保したいと考える中小企業にとっては有効な戦略になるでしょう。
24年度卒の採用スケジュールも基本的には23年度卒と同様
24年度卒のスケジュールも23年度卒と変わらないと考えられます。2022年夏や2023年冬にインターンシップを行い、2023年3月から採用広報解禁、6月から選考活動解禁となります。
注意点としては、働き方改革でいったん増えた労働力人口が、少子化により2020年から再び減少しています。そのため、今後も売り手市場が続き、採用のハードルを上げると学生が来なくなる恐れがあります。また、新型コロナの状況によって、対面での説明会や面接に戻る可能性もありますが、学生に好評のオンライン化の流れは継続しそうです。
採用スケジュールを進める上で人事がやるべきこと
2月に冬のインターンを行う会社も多いので、年末から翌年1月くらいにかけて、面接官のトレーニングを行いましょう。また、前年度の採用を振り返り、採用プロセスの修正や再設計をしておくことが重要です。
また、パンフレットの作成やホームページの改修など、さまざまな準備を1月末くらいまでに終わらせておくと、3月1日の採用広報解禁にあわせて、ロケットスタートを切れるはずです。
3月からは、怒涛の実務ルーティンが始まります。応募に対してサンクスメールを送り、説明会や面接といった採用活動をさみだれ式に行います。基本的には早く来た人には早く対応し、選考辞退を避けるためにも待たせないようにしましょう。
新卒採用のスケジュールで注意すべきこと
大手人気企業でない限り、一般的な3月、6月、10月というスケジュールに則らず、大手企業の動きを意識した戦略的な採用スケジュールをとる必要があります。
もし、広報解禁となる3月を待たずに始めるのであれば、2月のうちに説明会や面接などを1ターン終わらせておきたいところですが、3月に差し掛った途端に連絡が付かなくなるケースもあります。
そのため、早期に仕掛けるのであれば、社員や内定者の紹介で母集団形成するリファラル採用など、工夫しながら進めることが必要です。
また、日本人は「人の魅力で入社を決める」という理由がとても多いため、採用担当者が自社の説明をどう魅力的にできるか、といった「動機形成力」を上げることも重要となるでしょう。
<取材先>
株式会社人材研究所 代表・曽和利光さん
京都大学卒業後、リクルートに入社。人事部のゼネラルマネージャーとして培ったスキル・ノウハウと、2万人の面接経験を融合しワンランク上の人材を採用する独自手法を確立。その後、大手生命保険会社などで一貫して人事領域で活躍し、2011年に株式会社人材研究所設立。著書に『就活「後ろ倒し」の衝撃』(東洋経済新聞社)などがある。
TEXT:小林麻美
EDITING:Indeed Japan + ミノシマタカコ + ノオト