面接ではキャリアプランについて聞くべき?
面接では様々な質問を通して、応募者の適正や仕事への意欲、自社への志望度などを見極めていきます。その中で、将来の目標や「5年後にどうなっていたいか」といった応募者のキャリアプランを聞くことがあるでしょう。返答によって、応募者がどのようなキャリアを積み上げていきたいのかがうかがえます。採用後の働き方にも大きく関係するため、面接では聞くことが多い質問事項です。
もちろん、実際に働いているうちに考えが変わったり、別にやりたいことが見つかったりする可能性もあるでしょう。そのため、面接で見るべきなのは「応募者が面接で話したことを入社後実現してくれるか」ではなく、「応募者がどのような考えをもっているのか」です。
そういった意味で、キャリアプランは面接で質問すべき項目の1つといえるでしょう。
面接でキャリアプランを聞くメリットとは
キャリアプランについて質問することで、企業側にどんなメリットがあるのでしょうか。考えられる4つのメリットをご紹介します。必ずしも全てを判断するのではなく、自社が採用したい人材像に応じて見極めるようにしましょう。
◆企業と応募者のミスマッチを防止する
たとえば、「入社後は様々な業務を経験して総合的な知見を増やしたい」といったビジョンを描く応募者がいたとします。しかし、同じ部署で専門性を極めていくようなキャリアパスの企業だった場合には、双方の考えにミスマッチが生まれてしまいます。仮に採用になったとしても、希望が叶わないために早期離職につながる恐れがあります。
つまりキャリアプランを聞くことによって、応募者が求めているビジョンに自社がフィットするかどうかが見極められます。
◆自社への志望度
自社に入社しないと実現できないようなプランだった場合、応募者の志望度の高さがうかがえます。きちんと企業研究を行った上で入社後のイメージができていないと答えられないからです。キャリアプランに関する質問は、応募者の志望度をはかりたい場合にも有効といえます。
◆長期的な視点をもっているのか
目先のビジョンではなく、「まずは人事として現場で学んだ上で採用計画にも携わり、10年後には人事部長として全体を見られるような人事のプロになりたい」といった応募者の長期的なプランをチェックできます。
入社後に実現できるかどうかはともかくとして、長期的な視点をもって考えられる人物なのかがわかるでしょう。
◆具体的に目標を達成する力があるのか
キャリアプランとは、言い換えれば「現時点では達成していないこと」でもあります。掲げる目標に対して、具体的にどうやって達成しようと考えているのか、イメージできているのか、といったことが返答からうかがえます。
実行力そのものについては判断できませんが、これまでの経験や前職のエピソードなど別の質問から推察することができるでしょう。
面接官はキャリアプランから何を知りたいのか考えて質問すること
働くうちに目標が変わったり、挑戦してみたい分野が新たにできたりすることは誰しもあるものです。さらに、企業としても方針が変わる可能性も十分にあります。仮に「人事のプロになりたい」といって採用された人がいたとしても、入社後に違う部署に配属される場合もあるでしょう。あまりにも自社の業務とかけ離れたキャリアプランはともかく、具体的な内容だけで判断するのではなく、キャリアプランから見えてきた応募者の人物像などを考慮して採用を検討することが大切です。
キャリアプランは企業とのマッチ度合いや思考をはかるためにも重要な質問です。面接官はやみくもに聞くのではなく、質問を通してどのようなことを知りたいのかを考えて面接にのぞむようにしましょう。
<取材先>
アルドーニ株式会社・代表取締役
永見昌彦さん
外資系コンサルティングファームなどで人事コンサルタントとして勤務した後、事業会社(ラグジュアリーブランド持株会社)で人事企画担当マネージャーとして人材開発・人事システム・人事企画を兼務。事業会社、コンサルティングファームの両面から人事に20年たずさわった経験を活かして、2016年にフリーランス人事プランナー・コンサルタントとして独立。2018年に法人化。現在、人事全般のプランニング・コンサルティング・実務にたずさわっている。
TEXT:成瀬瑛理子
EDITING:Indeed Japan + ノオト