現役採用人事の本棚 私の3冊(第5回:エンファクトリー)


現役の採用人事担当者が業務のスキルや心構えを培うおすすめ本3冊を紹介する、連載「現役採用人事の本棚 私の3冊」。今回登場するのは、株式会社エンファクトリーの花﨑亜希子さんです。「専業禁止!!」と特徴的な理念を掲げる同社の花﨑さんは、どんな本を紹介してくれるでしょうか。

 
 

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第5回 株式会社エンファクトリー 花﨑亜希子さん

 

【プロフィール】
採用人事の業務歴:5年目
担当業務:採用全般、入社後のフォローのほか、経理など管理部門の業務全般
 
2011年4月に入社。2016年より管理部門業務に従事。ローカルプレナー(自己実現に向けて自ら生活や、働き方や生き方をデザインし、実行する人々を総称する造語)に向けたマーケティングサービス事業を中心に手掛ける社員数約40名の同社で、アルバイト採用、新卒採用、中途採用、面接、入社準備、入社後のフォローなどの人事業務のほか、経理などの業務も担当する。

 
 

採用人事の担当者におすすめしたい3冊は?

 
 

◆『プロの人事力』

(西尾太著/労務行政)
 
私が人事の担当になったばかりの頃は、仕事の中身一つひとつを深く理解するには至っていませんでした。そんな状況で、初めに読んだのがこの本です。
 
人事の役割や心構え、採用・人事や給与・厚生、育成・評価といった業務内容とその向き合い方、キャリアアップに求められるスキルが解説されていて、自分の3年後、5年後の姿を想像してみたことを今でも鮮明に覚えています。いわゆる「マニュアル」としてではなく、未来を見据えた動き方のヒントを得られた本でした。
 
なかでも、筆者の信条のひとつとして紹介される“「変えるべきもの」と「変えてはならないもの」をしっかりと見極める”というフレーズが印象に残っています。
 
人事の担当になったばかりの私は、「会社を変えていかなければならない」とどこかで意気込んでいたところがありました。ですが、人事は会社を変える役割もあれば、守っていくべき大切なことを見極める役割もあり、何でも変えればよいのではないと気づかされたのです。
 
経営理念や人事ポリシーに関わることなど、大切なことを社員に伝え、浸透させていくのも人事の仕事だと考えるようになりました。

 
 

◆『オンライン採用 新時代と自社にフィットした人材の求め方』

(伊達洋駆著/日本能率協会マネジメントセンター)
 
ウィズコロナ時代における採用のあり方について書かれた本です。人材の集め方、対面面接とオンライン面接の違いといった選考過程の変化、候補者や内定者の心境の変化と適切なフォロー、採用チームや担当者に求められるスキルなど、見直しのポイントが幅広く網羅されています。
 
この本を手に取ったのは、新型コロナウイルス感染症の流行が始まった頃です。弊社は採用が立て込んでいる時期で、オンラインと対面の面接を組み合わせて選考を進めていました。ただ、せっかく面接に来ていただいても社員はリモート勤務のため、オフィスには数人しかおらず、なかなか会社の雰囲気が伝わりにくい状況でしたね。当社の魅力やメンバーの様子をどう伝えていくかは課題に感じていました。
 
とはいえ、私としては自社にふさわしい採用の仕組みを改めて構築するチャンスだと考えたんです。本書で挙げられるプロフェッショナルの条件のひとつが、“評価基準を自分たちで作り、自分たちで守っていること”。評価基準が採用においても重要なポイントであることを確認でき、自社でも改訂を検討できました。
 
加えて、コロナ禍では入社後のフォローを丁寧に行っていく必要性も感じます。メンター制度や人事面談などを取り入れ、積極的なコミュニケーションが生まれるような仕組みをつくるのが重要です。このように、社内の各部署が現場で行う社員育成について、その橋渡しを円滑にする役割を人事の自分が担っていると強く感じます。本書からヒントを得て、実際に行動に移せるようになりました。

 
 

◆『専業禁止!! 副業したら本業成果が上がる仕組み』

(清水正樹著/小学館)
 
手前味噌で恐縮ですが、弊社の役員が2020年に書いた本です。弊社では2011年の創業時より、「専業禁止!!」という理念を掲げ、社員の副業を推奨してきました。本書では、副業によって本業の成果が上がる仕組みについて、具体的な数字や実例をもとに解説しています。
 
他社の人事担当者と交流する機会があると、「副業」は必ずと言っていいほど話題に挙がるトピックです。多くの人事担当者が「本業が忙しいのに、副業を解禁したら過重労働になるのではないか」「本業がおろそかになり、離職してしまう人もいるのではないか」という不安を口にされます。
 
副業がプラスの効果を生むには、本業の生産性を上げ、非効率な業務を仕組みで変える必要があります。そうした課題を解決するためにも、副業の解禁を検討している人事担当の方にぜひ読んでもらいたい本です。働き方改革、終身雇用の終わり、ウィズコロナといった変化の時代で多様な働き方をサポートしていくことも人事の役割ではないでしょうか。
 
本書は、企業として変化しなくてはいけない課題が見えてきたり、従業員の幸せな働き方は何かを考えたりするきっかけになるのではないかと思います。

 
 

採用担当になったばかりの人への面接アドバイス


採用では、候補者を選考するだけでなく、候補者に会社のことを気に入ってもらうことも重要です。その点では、採用の仕事は「営業」と同じなのかもしれません。面接では、候補者それぞれに対して「この人には、会社のどの魅力を強く伝えると響くか」を見極められるようになると良いと思います。常日頃から会社の魅力をできるだけ言語化し、アップデートしてみてはどうでしょうか。
 
一方で、面接で会社の良い面ばかりを伝えて、入社してから「こんなはずじゃなかった」と思われては、お互いが不幸な結果になってしまいます。面接では、良い面だけでなく会社の課題も伝え、そのうえで「ここで働きたい」と思ってもらうことができるかがポイントです。
 
弊社では、採用は現場のメンバーに任せている部分が多いのですが、最終面接には私も同席します。現場の社員には候補者が業務内容やチームメンバーにフィットするか見極めてもらい、私の役割は候補者の自社への志望度を高めることだと考えていますね。面接で自社の説明をすると、相手に響いたかどうか分かる瞬間があるんです。候補者の心に届き、魅力を感じてもらえたときは嬉しいですね。
 
これからの採用人事は、オンライン選考が増えるなど、難しい業務も多いです。しかし、こまめに振り返りをし、良かった点・改善点をまとめ、コツコツと知見をためていくことで、今後の採用のあり方が見えてくるように思います。

 
 
 

<取材先>
株式会社エンファクトリー 花﨑亜希子さん
 
TEXT:遠藤光太
EDITING:Indeed Japan + ノオト

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