求人媒体の特徴を知る
求人情報の文章や写真について考える前に、まずは掲載先の特徴を調べましょう。掲載先は、大きく分けて「WEB」と「紙」の2つです。
◆Webも紙もとにかく見て「目に留まる求人」を探す
企業の採用サイトや求人サイトなどWebで公開されている求人情報であれば、パソコンやスマートフォンで閲覧できますし、求人誌は街を歩けば手に入れられます。新聞を購読していれば、求人情報のチラシが折り込まれていることもあるはずです。「欲しい人材はどうやって仕事を探すのか」を想像しながら、普段から求人情報に触れてみましょう。とにかく最初は気軽にたくさんの情報を見て、「なんか目に留まるな」と感じた求人情報を収集してみてください。
◆Webと紙を見比べて掲載先の違いを知る
「いまはWebが主流なので紙はチェックしなくても良いかな」と思う方もいるかもしれませんが、紙も要チェックです。たとえばWebと紙を比較することで、「紙だと多少の長文でも読めるけど、Webでは読み飽きてしまうな」と気づき、「今度作る採用サイトは紙の会社案内の文章を流し込むつもりだったけど、短くしないと読まれないな」など、掲載先によって素材を変える必要があることを体験できます。
紙媒体に掲載する求人のチェックポイント
紙媒体の求人は、1ページの中で占める大きさ(区画)を意識します。1ページ丸ごと掲載できれば目立ちますよね。しかし、掲載する面積を大きくすればそれだけ掲載費用が高くなるので、予算との相談になります。お金がある会社には勝てないのか、そんな残念な気持ちになるかもしれませんが、低予算でも効果を出すことは可能です。
◆予算がなくても知恵でカバーする
ページをパラパラめくっている時に、小さいながらも目に留まる求人はあります。一つ例を挙げると、余白が多くてシンプルな求人です。基本的に出稿者は、決められた区画の中にできるだけ文字・写真・イラストなどを詰め込んで目立とうとします。その結果、読者にとっては読みづらい、ごちゃごちゃしたページになりがちです。そこに余白を充分にとったシンプルな求人を投入すると、逆に目に留まりやすくなるのです。
◆差別化のために求人媒体の状況を知る
こう書くと、「じゃあ余白がある、シンプルな求人にしよう」と思いますよね。すると今度は、文字・写真・イラストなどを詰め込んだ求人が目立つことになります。いかに目に留まる求人を作るかには、明確な答えはありません。冒頭で「まずは掲載先を自身の目でチェックすることが肝心です」と申し上げた理由が、ここです。
「この場で、どうやって見せていこうか」。シンプルな求人にするか、ごちゃごちゃした求人にするか、実際に媒体の状況をみて判断し、他と差別化できるデザインにします。
Web媒体に掲載する求人のチェックポイント
Webの場合は、想像力が必要になります。自社の採用サイトであれば自由に仕様を決められますが、外部の求人サイトを使う場合、求職者が求人情報を掲載したページにたどり着くまでに、(1)トップページ、(2)検索ページ、(3)検索結果一覧ページなど、複数のページを経由します。よって、どのページでどう表示されるか把握する必要があります。
特に、自社の詳細情報ページにたどり着く一歩手前、つまり(3)検索結果一覧ページでの表示は重要です。たとえば、検索結果一覧ページで仕事紹介文の最初の100文字が表示されるのであれば、頭の100文字は求職者の気を引く文章にする必要があります。
◆パソコンとスマホでチェックする
忘れがちなのがスマホでの画面チェックです。会社では主にPCでWebを閲覧しますが、昨今の求職者は多数がスマホで求人情報を探します。パソコンとスマホではデザインが違うだけでなく、表示される仕様や内容も変わってきます。必ず全ページを確認し、必要であれば原稿を変えるなどチューニングすることが重要です。
各媒体に合わせた求人で、求職者の目を引こう
求人情報を掲載するというと、Webにしても紙にしても原稿の内容のみに目が行きがちです。しかし、大事なのは媒体全体の中で「いかに目に留まるか」を意識すること。一定のスペースの中でレイアウトの自由度の高い紙は他者(他社)と差別化したデザインを、フォーマットのあるWebはその仕様に合わせた文章を意識するようにしてください。
特にWebは媒体の中の様々な場所で表示されますし、メールで紹介されたりSNSで紹介されたりと、全ての流れを把握するのは容易ではありません。普段からいろいろな媒体に触れ、「どんな仕組み」なのか気にしておくことが大切です。工夫次第では、予算を抑えながらも採用につなげることはできるでしょう。
蛇足ですが、最後に小話を。昔、文章をチェックする「校正者」を採用するために、新聞の求人欄に小さく、文字だけで(いわゆる三行広告)求人情報を掲載している会社がありました。「予算があるので、もっと大きく出してみては」とアドバイスしたところ、「このくらい細かい情報でも見逃さない人材が欲しいから、この出し方がベストだ」と返答が。感服しました。採用は知恵だなと、思い知らされたエピソードです。