自社の雰囲気をどんな言葉で伝えたらいいの? 求人票を作成するときの考え方

株式会社トーコンヒューマンリソース 福岡支社 長下 大樹さん


※この記事は2020年2月12日に取材したものです。
 
採用活動を行うにあたり、企業と求職者の出会いのきっかけとなるのが求人票です。限られた文字数の中で、いかに求職者に響く情報を発信できるかが、応募数や採用数を大きく左右します。
 
求人票を作成する際、数値では表せない社風や職場の雰囲気を応募者に分かりやすく伝えるには、どうすればいいのでしょうか? 求人広告の制作を行う株式会社トーコンヒューマンリソースの長下大樹さんに、職場の雰囲気を効果的に伝える表現方法について伺いました。

 
 

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求人票を作る前に、求める人材について職場内で共通認識を持つ


——求人票を作成する際、まずは何から取り組むべきでしょうか?
 
世の中には数多くの求人広告があるため、会社としての魅力や採用競合(求める応募者像が同じ企業や店舗)に対する差別化がなされていないと、求職者は振り向いてくれません。
 
そこで、「誰に」「何を」「どのように」伝えるのかを念頭に置き、求職者に選ばれるための内容を設計することがより大切になってきました。
 
——具体的には、どのような作業が必要ですか。
 
まず求める人材を明確に言語化しましょう。そのためには、採用担当者が社内でヒアリングすることをおすすめします。社長や役員、人員配置を行う人事部署、現場の社員など、立場の違う方の意見を聞き、それぞれが求める人材を把握します。
 
——採用・人事担当者以外の社員は、応募者の条件や自社の魅力についてすぐには言語化できないかもしれません。具体的な意見を引き出すコツはありますか。
 
「最近どのようなときに、人手が必要と感じましたか?」など、日常のシーンを思い浮かべ、エピソードを語ってもらうことで、具体的なインタビューができます。長期的な自社の展望を考える役員クラスと日々の業務を進める現場スタッフでは、自社の魅力や課題感、応募者に求めるスキルや人柄が異なるはずです。これらの意見をまとめ、どういう人物を狙っていきたいか明文化すると、社風や職場の雰囲気をどう伝えるかについても、おのずとポイントが明確になります。
 
また、面接に関わる役職者には求めるターゲットを明文化して事前共有する事をおすすめします。協力体制が生まれ、採用活動が進めやすくなるためです。

 
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職場の雰囲気は、具体的なエピソードを交えてリアルに伝える


——職場の雰囲気を伝える場合、人気のキーワードやフレーズはありますか。
 
求人にも時期や時代によって、好まれる表現やキーワードがあります。数年前から職場の雰囲気を伝える表現として、「アットホーム」や「風通しのいい」というキーワードをよく見かけるようになりました。しかしこういったキーワードだけでは、社外から見た時の信ぴょう性が低く、求職者への説得力は今ひとつです。
 
——説得力を上げるために、どんな表現の工夫が考えられるでしょうか。
 
社員へのインタビューで「アットホーム」と言うキーワードが出た場合、どういうシーンでアットホームと感じたのかを掘り下げてみてはどうでしょうか。
 
例えば、「社員同士の仲が良い」という答えが返ってくるなら、それが業務中なのかプライベートなのかを質問します。「業務中」であれば、職場で普段どのようなコミュニケーションを取り合っているのか、「プライベート」であれば具体的にどのような交流をしているのか、エピソードと共に聞ける範囲で聞いてみましょう。「アットホーム」というキーワードから、よりリアルな情報を求人票に落とし込むことができます。
 
——応募者もイメージがしやすくなりますね。ところで、最近は会社の雰囲気だけでなく「働き方」も応募者に注目されているように思います。
 
最近では働き方改革の影響で、求人票においても働き方に関するアピールをよく見かけますね。例えば、「週休2日制」や「年間休日○○日以上」、「○○休暇」といった、休暇や福利厚生に関する言葉や、「副業」「Wワーク」といった働き方に関する言葉が多いです。
 
「休みが多い」ことを訴求するなら、社員が休みの日にどのような過ごし方をしているか、1週間のスケジュールにどんな特徴があるかなど、より具体的にヒアリングしてみましょう。これによって、ワーク・ライフ・バランスを求職者に伝えることができます。
 
また、「従業員満足度」というキーワードを使う求人票も増えています。この場合、従業員の満足度は何に対するものか、社風なのか、休みが多いことなのかなどを具体的にする必要がありますね。働き方や福利厚生など、同業他社が記載していない自社の特徴に目を向けるのも、差別化のヒントになるでしょう。

 
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訴求効果を高めるために、求人票にストーリーを描く


——表現の工夫をする以前に、そもそも応募者の獲得が難しいと感じる募集条件の場合はどうしたらいいでしょうか。
 
採用活動では、どうしてもその業界や職種の人気・不人気の度合いによって、採用のしやすさが異なります。ですが、応募者を集めることが難しい労働環境や仕事内容でも、「この会社で働きたい!」という動機付けを促すことはできます。業界のマイナスイメージを払拭するのはハードルが高くても、求職者におもしろい会社だなと思ってもらうために、会社のイメージや見え方を変える取り組みをすることは可能です。
 
この場合、求人ターゲットを見直しましょう。業界を見て仕事を選ぶ人をターゲットにするのではなく、面白そうな会社かどうか重視する人をターゲットにすることが大切です。
 
そのためには、すでに社内で働いている人に、「この会社で働いてよかったなと思うときはどんなときですか?」「この仕事をしていてどんなときに嬉しい気持ちになりましたか?」とインタビューをすることで、社員が感じている仕事のやりがいや自社で働く人の思考性を言語化することができます。これをもとに、同じ価値観を持つ応募者に響く訴求ポイントを打ち出すことで、より効果的な求人票を作成できます。
 
——求人票の効果を高めるために、さらに工夫できるポイントはありますか?
 
求人票に画像を掲載する場合、訴求内容に合っている写真を選びましょう。発信している情報に統一感がないと、マイナスの印象を与えてしまうからです。訴求ポイントが会社そのものであれば社長や業務中の社内の写真を、事業であれば商品をたくさん並べた写真を使うなど、アピールポイントに適した写真を使うことが大切です。
 
最近では、写真素材を購入できるサービスもありますが、ありきたりなイメージ画像では会社の真の姿が伝わりません。実際に社内で撮影した写真を使用することをお勧めします。その場合も、カメラ目線やポーズを決めているものではなく、なるべく自然な様子を求職者に見てもらえるように意識しましょう。
 
社長が登場する場合は、堅い印象にならないよう、インタビュー中の様子を撮影したり、オフィスで従業員の方とコミュニケーションをとっている様子を撮影したりするといいですね。求人票の中に、どれだけストーリーを描けるかが大切なのです。

 
 
 

<取材先>
株式会社トーコンヒューマンリソース 福岡支社 長下 大樹さん
 
TEXT:ユウミ ハイフィールド
EDITING:Indeed Japan + ノオト

 
 
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