転職者は求人情報のどこを見ている? 多くの採用選考を経験した人に聞いてみた


求職者からの応募を増やすために、求人票や自社サイトの充実・改善などに力を入れている企業もあるでしょう。実際に求職者はどんな情報を見て、「この会社で働きたい」と思うのでしょうか。
 
これまで求職者として多くの採用選考を経験してきた方々に、過去を振り返って「入社したくなる会社」と「避けたくなる会社」について話し合うオンライン座談会を行いました。集まったのは4〜6社の転職を経験した男女3名。
 
以前は転職回数が多い=何か問題があるとみられがちでしたが、時代が変わり、積極的な理由で転職を繰り返す人が増えてきました。様々な企業の選考を肌で感じてきた求職者の本音から、効果的な求人方法を探ります。

 

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【参加者プロフィール】

山口さん…30代半ば、女性。数カ月前に転職し、現在4社目。映像制作からキャリアをスタートし、広告制作、旅行系サイトの企画マーケティングを経験。現在はアプリのコンテンツ企画を行う。
 
佐々木さん…40代半ば、女性。数カ月前に転職し、現在5社目。メーカー営業、ウェブディレクター、新規事業企画などを経験し、現在は経営企画マネージャーとして新規事業開発を行う。
 
中村さん…40代前半、男性。半年前に転職し、現在6社目。システムエンジニアとして、インターネット系企業を渡り歩く。出戻り経験あり。
 
※全て仮名

 
 

年収、男女比、スキル……求人票の基本情報も書き方ひとつで捉え方に変化


――みなさん、4~6社と数多く転職されてきた方ばかりですね。まずは転職先を選ぶときに、どんな情報をチェックしているか教えてください。
 
山口 経営のビジョンは必ずチェックしますね。私は自社サービスを開発している会社が好きなので、そのサービスとビジョンがどう繋がっているのか気になります。たとえば、「自社サービスでこんな社会問題を解決したい」と目的が具体的になっている会社は共感できます。ビジョンがぼんやりしていたり、具体的だけれど目指すことが大きすぎたりすると、かえって共感できないことも。
 
佐々木 ああ、わかります。経営のビジョンは、その会社が求める人材像にも通ずるところがあるので私もチェックします。たまに規模が小さい企業だと、経営者が採用に対してどう考えているかによって、求める人材像が左右されることもありますよね。その場合、経営者自身とのマッチングになっていくことも……。
 
――たしかに小さい会社では、相性も重要そうですよね。中村さんはどうですか?
 
中村 業務内容はもちろん、それ以外で重視するのは「勤務地」ですね。前職は、会社が引っ越したことで通勤時間が1.5倍になったことも辞めた理由として大きかったんですよ。
 
山口 でもこのご時世なら、家で働くこともできるのでは?
 
中村 できればウェブディレクターさんと顔をつきあわせて、打ち合わせや板書をしたい派なんですよね。週2~3日だけでも通うことを考えると、遠いところじゃない方がいいなと。
 
山口 なるほど。私は会社の場所が変わったら、家を変えちゃいますね。会社を軸に生活圏を決めています。
 
中村 そうなのですね。僕は好きな街に住みたいから、それにあわせて仕事を選んでいます。
 
――確かに通勤時間は、人によって捉え方が変わりそうです。
 
中村 あとは事業内容ですね。エンジニアとしては「何のために開発するのか」が重要だと思っています。自分が開発に携わったプロダクトが、会社や社会にどんなインパクトを与えられるのか、自分の中で明確に描けるかどうかで企業への志望度は変わります。そういう意味では、山口さんと同じく「自社サービスを開発している企業」を選ぶ傾向にありますね。
 
――今までの項目だけでも「経営のビジョン」「勤務地」「業務内容」……基本的な項目をきちっと見ているのですね。
 
山口 そうですね。あとは、年収の幅を見ます。あまり幅が広すぎると怪しいな……と思いますね。「このスキルがあれば、このくらいの年収」といった、市場にあったスキルと年収のバランスを、会社側がきちんと理解していない印象を持ちます。年収幅はキュッと狭い方が、昇級に関するスキルセットが明確でちゃんとした評価がなされるのでは、と想像しやすいんです。
 
佐々木 なるほど。その視点は面白いですね。
 
山口 あと、求めるスキルが大量に書かれている求人を見ると「現場は何が欲しいのだろう?」と考えさせられます。人が足りないから、とりあえずいろんなスキルが欲しいのかな、とか。
 
――確かに。「出来る」と「得意」は異なりますし、仕事をする中で本当に重要なスキルが何なのか、明確にわからないのは困りますよね。
 
山口 ほかには、求人票にある男女比も見ますね。
 
佐々木・中村 へー!
 
山口 管理職の男女比までは見ないですけど、この時代において、男女のバランスを気にしていないのは嫌だなと思います。
 
佐々木 そうなんですね! 私が今勤めている会社の場合、エンジニア中心だから、どうしても男性が多いんですよ。逆に、女性が多い会社や男女比が半々な会社にもいたことがありますが、経験上「男女比が半々の会社」の雰囲気が私は一番好きでしたね。
 
山口 もちろん、業種や職種でも変わってくるとは思います。単純に男性がいればいい、女性がいればいいという話ではなく、制度設計の面を考えたときに五分五分に近い数字の方が、働くメンバーがハッピーになる方法を考えられるのでは、と思っています。

 
PCを見る女性

 
 

醸し出す“雰囲気”も重要ポイントに


――佐々木さんは他に何を見ていますか。
 
佐々木 転職活動は一時のことでも、同業界の会社の経営状況などを把握するために、転職活動をする前から常に同業他社の採用情報をチェックしています。募集が出た際は、事業を成長させるための増員なのか、辞めた人の欠員補充なのかも見ていますね。
 
山口 ああ、確かに。ずっと求人を出しているところも、結構見かけます。
 
――日頃から同業界の情報をチェックしているとはいえ、実際に転職するとなったら、追加の情報収集も必要ですよね。そのときはどこを見ているんですか?
 
佐々木 ホームページを見ますね。自社サイトに掲載されている写真から、働いている人の年齢層や会社の雰囲気がある程度わかりますから。私は研究肌の強いものつくりベンチャーのような社風の会社が好きなので、あまりにもウェイウェイとしすぎている雰囲気が会社のホームページから出ていると「このノリについていけないかも……」って思っちゃいます(笑)。
 
山口 雰囲気は見たいですね! 私は逆に、ワイワイとしてるかどうかが大事(笑)
 
佐々木 あっ、キャラクターの違いが(笑)。あと、社員さんのインタビューも見ますね。
 
中村 確かに、僕も社員ブログは読みますね。
 
佐々木 採用される人材の顔つきとか雰囲気って、結構似てくると思うので、どんな人が働いているか、自分は採用される可能性があるのか、一緒に働けるかなどの参考にしています。
 
中村 僕は他にも口コミサイトやテックブログなども見ます。でも結局、その会社の人と話してみないとわからないことが多いんですよね。
 
佐々木 そうですよね。テキスト情報より、直接話したときに得た情報の方が判断材料になります。
 
――中村さんはシステムエンジニアとして働く上で、会社のシステム開発環境などはチェックしないのでしょうか。
 
中村 どのプログラミング言語を使っているのかは気にしますね。あとは、ホームページのソースコードを読んで、ちゃんと作っているか見ます(笑)。
 
山口 私の場合、逆に前の会社のホームページがグダグダだったんですよ。このレベルなら、Web未経験でも入社できそう!と思って応募したんです(笑)。でも実際は事業用のサイトと自社サイトが全然違って、単に会社のホームページに割く予算が後回しにされているだけでした。
 
中村・佐々木 ああ……なるほど。

 
 

テキストの求人情報は出会いのきっかけにすぎない


――お話を伺って、みなさんが面接前の段階で基本的な情報をまんべんなくチェックされていることがわかりました。
 
佐々木 転職活動するときだけ見ているわけではないんですよね。転職時ほどではないにしろ、業界研究の一環として求人情報は常に見られていると思っていた方がいいかも。
 
中村 システムの人間だけでなく、山口さんのような企画側でもホームページやサービスのコードまで見ていたのが意外でした。
 
山口 中小企業は特に、広報と採用は協力して取り組む必要があると思います。意欲が高い人はプレスリリースも見てるかも。発信している情報は多ければ多いほど、他の企業より親近感も湧きます。情報を得るところが、転職活動の第一歩なのかもしれませんね。

 
 
 

TEXT:ミノシマタカコ
EDITING:Indeed Japan + ノオト

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