入社前に内定者との間で発生する連絡事項
中途採用であれば前職の退職証明書、新卒なら卒業証明書など必要書類の連絡、あるいは給与を振り込む口座の確認や研修のためのガイダンスなど、入社前に内定者とのやり取りが必要なケースは少なくありません。
こうしたコミュニケーションは、入社に際して各種手続きを前もって進めることで、できるだけ効率化する目的で行なわれるものです。
内定者とのやり取りで注意すべき点
ただし、あくまでも内定の段階では社員ではありません。そのため、たとえ研修という名目であっても、入社前に賃金を支払うことなく労働またはそれに準ずる作業を強制することは違法にあたります。
連絡をとる時間帯についても配慮するべきだと言えます。仮に連絡事項のメールを深夜に送った場合、それ自体に違法性はなくても、内定者が「深夜まで労働している会社である」という印象を持ってしまうかもしれません。余計な不安を与えないよう、メールとはいえ連絡はできるだけ就業時間内に済ませるのが無難でしょう。
中には、入社前の伝達事項を記したメールを見逃してしまう内定者もいるかもしれません。不要なトラブルを回避するために、業務連絡であることがひと目でわかる件名にするなど配慮しましょう。
また、社外秘にあたる内容を内定者と必要以上に共有することも避けるべきです。相手が入社直前に翻意して、内定辞退を申し出る可能性もゼロではありません。
内定者にメールを送る際のマナー
こうした点に留意しながらも、内定者に対する入社前の連絡はできるだけ最低限に抑えるよう心掛けるべきでしょう。書類の受け渡しや登録などの手続きは入社後に行なえば十分なものも多いので、一度整理してみると良いかもしれません。
ただし、入社当日の流れなどのガイダンスは、早いに越したことはありません。入社直前まで一切連絡がない状態では、内定者を不安にさせてしまいます。内定者とのやり取りは、相手の立場になって最低限のケアを行なうのがベストなのです。
<取材先>
アルドーニ株式会社・代表取締役 永見昌彦さん
外資系コンサルティングファームなどで人事コンサルタントとして勤務した後、事業会社(ラグジュアリーブランド持株会社)で人事企画担当マネージャーとして人材開発・人事システム・人事企画を兼務。事業会社、コンサルティングファームの両面から人事に20年携わった経験を活かして、2016年にフリーランス人事プランナー・コンサルタントとして独立。2018年に法人化。現在、人事全般のプランニング・コンサルティング・実務に携わっている。
TEXT:友清哲
EDITING:Indeed Japan + 波多野友子 + ノオト