スカウトメールとは
スカウトメールとは、自社への応募を促すために、企業から求める人材に送るダイレクトメッセージを指します。労働人口が減少していくなか、求人媒体に記事を掲載して応募を待つ「待ちの採用」では必要な採用人数を満たし続けることは難しくなっていきます。スカウトメールの活用は「攻めの採用」と言えるでしょう。
スカウトメールには、「一括メッセージ」と「個別メッセージ」の2種類があります。
◆一括メッセージ
企業が求める条件に合う求職者に一斉に送るスカウトメールです。大人数に一気に送れるのが利点ですが、メールの文面が画一的にならざるを得ず、開封率や返信率が低くなってしまうおそれがあります。東京で働く営業職を募集するなど、求職者の母数が大きいと思われる採用に向いている手法です。
◆個別メッセージ
求職者個別に送るスカウトメールです。プロフィールを踏まえて文面を考えるため、一括メッセージよりも手間がかかります。しかし、個人宛にすることで特別感を出せるため、開封率や返信率の向上が見込めます。地方企業や特殊な資格・経験の保有者など、母数が小さい採用に向いている手法です。
興味を持ってもらうためのポイント
求職者に興味を持ってもらえるスカウトメールを作成するには、まず求職者のイメージを明確にする必要があります。職務経歴や資格、年齢層や経験など条件を整理しましょう。
文面を考える際は「特別感の演出」「求職者の承認欲求・自己実現欲求に働きかける内容」を意識します。一括メッセージの場合は、条件に該当する不特定多数に送信するため、特別感を演出することは困難ですが、文面作成の考え方自体は個別メッセージと変わりません。ターゲット層が求めるニーズに対し、このように応えられるといった内容を盛り込みましょう。
自社の魅力を伝えるだけではなく、「説明会に参加してもらいたい」「面談に応じてほしい」など、求職者側に求めるアクションも簡潔にわかりやすく記載しましょう。そのアクションを起こすことで、求職者側が得られるメリットを添えることも大切です。
また、本文だけではなくタイトルも重要です。個人・その属性の求職者が求めるであろう内容を盛り込みましょう。(例)月給〇〇円以上・転勤なし・育休復帰率・有給取得率
スカウトメールの例文
以下はスカウトメールの一例です。本文は「挨拶」「結論」「会社紹介」「締め」の4段構成を意識しましょう。文章をただ連ねるのではなく、箇条書きを使ったり、記号をタイトル・本文中に適度に入れたりなど、重要な箇所が目に入る工夫も有効です。
件名:◇◆限定スカウト◆◇ 〇〇職〇年の経験をお持ちの〇〇様へ。月給〇〇万円以上を保証します!
本文:
<挨拶・自己紹介>
はじめまして。〇〇株式会社人事部長の〇〇と申します。
突然のメール、大変失礼いたします。
<結論・アクション>
〇〇様の株式会社〇〇での〇〇経験が目に留まりご経歴を拝見させていただきました。
~~などのご経験や、~~といったご希望をお持ちの〇〇様に、ぜひ弊社の〇〇職としてご活躍いただきたく、ご連絡を差し上げました。
ぜひ一度お会いしたく、よろしければ30分~1時間ほどお時間をいただけませんか?
<会社紹介>
弊社のことをご判断いただく材料として、簡単に弊社のご紹介をさせていただきます。
【〇〇株式会社の概要・特徴】
1
2
3
※求職者が興味を持つ自社の魅力・強みを簡潔に記載
<締め・アクション>
このほかにもお伝えしたいことはありますが、少しでもご興味がございましたら、まずはこのメールに直接お返事をいただければ幸いです。
なお、現時点で応募意思がなくてもお話させていただきますので、まずはカジュアルに面談できればと存じます。
お忙しいところ恐縮ではございますが、ご検討いただけますと幸いです。
※面談可能な日時などを提示いただければ柔軟に調整いたします。
〇〇様からのお返事、心よりお待ちしております。
PDCAを回し、ブラッシュアップを
スカウトメールは、1度作って終わりではありません。最初から上手くいくことはほぼないため、PDCAを回しながらブラッシュアップしていくことが大切です。その際は、毎回全文を書き換えるのではなく、一つずつ検証を重ねて変更していきましょう。
どういった文言が求職者に響くのかは、市場やトレンドによって変動します。普遍的に通用する文面はなく、常に見直しをかけていく姿勢が大切です。
<取材先>
株式会社新経営サービス 大園羅文さん
現在は、中小企業を対象とした人材採用支援、若手人材の定着・即戦力化支援、人事制度の構築・運用支援に従事。特に、「人材採用力の強化」を得意テーマとしており、『採用活動に時間やコスト・労力を割けない』等の中小企業独自の課題に寄り添った支援を通じて、顧客とともに“勝つべくして勝つ”採用活動を展開。
TEXT:卯岡若菜
EDITING:Indeed Japan + ミノシマタカコ + ノオト