社内公募制度を実施する際のポイント

社内公募制度によって、必要なポジションに人材を補充するのも一つです。社員の意思が尊重される制度だけに、無理なく実施するにはいくつかのポイントがあります。人事業務・プロジェクトの支援を行うアルドーニ株式会社・代表の永見昌彦さんに伺いました。

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社内公募制度を成功させるには

社内公募制度は、新たに人員を求める部署やポストがあった場合に社内で募集をかけ、希望した社員の中から採用します。キャリアチェンジを図りたい社員にとってメリットがある一方、人事が注意すべき点も存在します。

◆応募した社員の情報を守る

第一に、人事は希望を申し出た社員の情報を漏らさないように徹底してください。社内公募では、社員の意思をもとに人事異動が行われます。上司や同僚に公募に手を挙げたことが知られると、それをきっかけとして業務上で悪影響が起こる場合があります。仮にポジティブな理由で志願したとしても、「今の部署に不満があるのでは」と思われてしまう可能性があるからです。そうなると、仕事がやりにくくなり、双方の信頼関係が崩れてしまいかねません。
 
正式決定するまでは、誰が異動を希望しているのかは非公開にするケースが一般的です。応募の状況をオープンにしている企業もありますが、その場合は周囲との関係に影響が出ないように人事側は気を配る必要があります。

◆異動時期を調整する

繁忙期の部署に所属する社員が応募する場合も十分に考えられます。その場合、現所属部署の状況によっては異動時期を検討しても良いかもしれません。業務が落ち着くまでは異動時期を調整するほか、派遣社員や外注に委託して欠員が出るポジションの穴埋めをするようなカバー策も有効です。

◆異動した社員のフォローを行う

社内異動と言っても、業務内容だけでなく部署の雰囲気や仕事の進め方が異なる場合も少なくないでしょう。採用された社員が異動先でスムーズに働けるよう、人事がきちんとフォローすることが重要です。社内異動においても、外部から人材を採用した場合と同じようなケアを行うと良いでしょう。

社内公募制度を行う際は適切なフォローが必要

社内公募制度を成功させるには、対象者の条件や人数、選考プロセスはもちろん、異動によって生じる変化を人事がカバーできるかが何よりも重要です。異動した社員は問題なく働けているのか、在籍していた部署はうまく回っているのか、また選考に落ちた社員がいた場合はフォローが必要かなど、気にするべきポイントはいくつかあります。
 
社内であっても異動が発生する以上、人間関係や仕事の環境が変わります。そのため、新たに採用する負担が減ることを重視するのではなく、社内公募制度の導入要否をきちんと検討すべきです。
社内公募制度はキャリアチェンジを図りたい社員にとって、魅力的な制度です。異動によって良い影響が出るように、人事でフォローすべき部分はサポートしましょう。

 

<取材先>
アルドーニ株式会社・代表取締役 永見昌彦さん
外資系コンサルティングファームなどで人事コンサルタントとして勤務した後、事業会社(ラグジュアリーブランド持株会社)で人事企画担当マネージャーとして人材開発・人事システム・人事企画を兼務。事業会社、コンサルティングファームの両面から人事に20年たずさわった経験を活かして、2016年にフリーランス人事プランナー・コンサルタントとして独立。2018年に法人化。現在、人事全般のプランニング・コンサルティング・実務にたずさわっている。
 
TEXT:成瀬瑛理子
EDITING:Indeed Japan + ノオト

 
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