ソーシャルリクルーティングを行う際の注意点

近年、採用現場では「ソーシャルリクルーティング」がトレンドとなっています。コストがかからず、簡単に始められるメリットがある一方、従来の採用活動とは異なる対応が必要となる面もあります。一体、どのような点に注意すべきなのでしょうか。SNSや情報リテラシー教育が専門のITジャーナリスト・高橋暁子さんに伺いました。

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需要が高まるソーシャルリクルーティング

FacebookやTwitter、LINEなどのSNSを使った採用活動を意味するソーシャルリクルーティングは、日本では2009年ごろから行われるようになりました。 企業アカウントを作って採用にまつわる情報発信をしたり、仕事風景や社員の声の動画をアップしたりと自社の魅力を伝える手段として活用する例が多く見られます。さらに一歩進んで、アバターで参加できるオンライン上の説明会を開催したり、フォロワーが規定人数以上であれば一次試験をスキップできたりと選考自体に利用するケースもあります。
 
IT企業をはじめ、大手メーカーやベンチャー企業で続々とソーシャルリクルーティングを取り入れており、今後ますます需要が増していくでしょう。

SNSを運用する上で注意すべきポイント

ソーシャルリクルーティングは非常にローコストで、採用希望者と企業とのミスマッチも少ないといった特長があります。ただし、SNSを運用する際にはいくつかのコツが必要になります。

◆丁寧かつオープンなやりとりを行う

SNSでは、求職者とリアルタイムでコミュニケーションすることになります。ときにはリプライが殺到し、返信が追いつかないことも想定されますが、一人ひとり無視せず、誠実に対応しましょう。また、やり取りはダイレクトメッセージなどで個別にするのではなく、オープンで行うことが重要です。これにより会社のスタンスや考え方が可視化され、信頼性や好感度が上がります。
 
たとえ採用には至らなくても、求職者はいずれ顧客になる可能性を秘めています。できるだけ丁寧なコミュニケーションを心がけましょう。

◆炎上を防ぐには「公平性」「誠実さ」「信頼性」が肝心

ソーシャルリクルーティングを行う際に最も気をつけたいのは「炎上」です。SNSの気軽さからうっかり軽率な発言をしてしまうと、求職者の熱意を下げてしまうばかりか、企業のイメージダウンにもつながりかねません。一般の人が企業アカウントに求めるのは「公平性」「誠実さ」「信頼性」です。常に厳しい目線にさらされていることを自覚し、発言や表現には十分配慮することが求められます。
 
担当者のリテラシー教育はもちろん、どのようなトーンで運用していくかなどを事前にすり合わせ、受け手への伝え方の工夫を共有するようにしましょう。

ソーシャルリクルーティングを成功させるコツ

ソーシャルリクルーティングは、選考の一番手前の段階で企業と求職者との接点を作れる強みを持っています。自社アカウントをうまく活用し、魅力をアピールしていくことでより多くの求職者にリーチし、応募人数を増やすきっかけにもなります。そのためには求職者の知りたい情報を的確に判断し、定期的に有意義なコンテンツを発信していくことが重要です。
 
たとえば、職場風景や新入社員のインタビュー、自社イベントのレポートや内定式の様子などがよく閲覧されます。実際に働き始めた場合のイメージがしやすく、どんな人が働いているかを知らせるためにも社員の顔の見える写真や動画を選びましょう。加えて、発信力のある社員や代表が個人アカウントで求職者とコミュニケーションするケースもあります。個人ゆえの尖った発言でバズりやすいのが特徴で、そういった先輩に憧れて入社を希望する人材も多くなります。また、ハッシュタグ「#」を活用し、検索に引っかかりやすい工夫をすることや、どのSNSで発信するかの見極めも重要になります。
 
正しく活用すればソーシャルリクルーティングを行うメリットは多くあります。ソーシャルだからこそ起こりえるリスクには気をつけながら、通常では接点を持ちにくかった求職者にリーチできるように工夫してみましょう。


<取材先>
ITジャーナリスト 高橋 暁子さん
東京学芸大学卒業後、東京都で小学校教諭、Webの編集者 などを経て独立。SNS利用、情報リテラシー教育が専門で、スマホやインターネット関連の事件やトラブル、ICT教育事情に詳しい。著書に『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)、『できるゼロからはじめるLINE超入門 iPhone&Android対応』(インプレス)など。令和3年度教育出版中学国語の教科書にコラム掲載予定。
 
TEXT:渡部あきこ
EDITING:Indeed Japan + 成瀬瑛理子 + ノオト

 
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