自社の採用課題を洗い出すステップ
採用課題を洗い出すには、以下の3ステップを実践してください。
1. 採用設計時に、各採用プロセスの目標値を設定する
採用の設計をする際、エントリー、説明会、内定承諾などのプロセスに、それぞれ基本目標値を設定します。たとえば、エントリー数は1,000人、説明会の参加者は500人、内定承諾者は10人、というように具体的な数字を示すことで、後に目標の達成度合いを確認しやすくなります。
2. 実績と目標値を照らし合わせて、「量」の課題を見つける
採用活動が終了したら、目標値との差を確認しましょう。たとえば、エントリー数の目標が1,000人の場合、1,200人集まっていれば目標達成ですが、1,000人に満たなければ、エントリーシートを学生にもっと提出してもらうための施策を考える必要がある、といった具合です。自社へのエントリー数は、すべてリクナビなどの掲載媒体で確認することができます。
3. 集まった人材の内訳を振り返って、「質」の課題を見つける
次に、集まった人材の「質」を振り返りましょう。たとえば営業職の募集をして、目標のエントリー数は集まっていたものの、その内訳が営業経験者30%、販売など接客をやっていた人20%、未経験者50%だったとします。本来は「エントリー数の50%が営業経験者」という目標を設定していたのに、それ以外の人材が半数以上も集まってしまったとしたら、経験者をより惹きつけるような求人票にするなど、打ち出し方を考える必要があります。
この3つのステップは、新卒採用なら1年単位、中途採用であれば3カ月くらいの期間で区切って実践するのがよいでしょう。目標値を設定して、量と質を確認、改善点を探り、運用して経過を見る……というPDCAを回していくことが大切です。
採用活動が上手くいかない場合に考えられる理由
たとえば、面接後に内定を出したい人数が目標値よりも低い場合、2つのパターンが考えられます。
◆応募者の中に会社側が求める人材が来ておらず、面接を通過しないパターン
この場合、求めている人物像やスキルとは違う内容が、求人票に誤って掲載されている可能性があります。求人票を作成した人事担当の現場へのヒアリングが足りずにその仕事の魅力をきちんと理解していなかったり、文章での表現力が乏しかったりと、アウトプットする力の不足が原因です。
また、面接官同士で求めている人物像のずれが生じ、採用したい人材を誤って不採用にしているケースも考えられます。一次面接の面接官がいらないと思っていたスキルが、二次面接の面接官は必須だと考えていた、など。その場合、面接を担当する社員同士の情報共有、意識のすり合わせをしておく必要があるでしょう。
◆求職者側に選考を辞退されてしまうパターン
求職者側に選考を辞退されているのであれば、面接の内容や面接官との相性が原因かもしれません。どの面接官の面接の辞退率が高いのかを確認し、その面接官のトレーニングをしたり、別の人間に替えたりして対応しましょう。
あるいは、他社がより良い条件を提示していたり、自社より選考期間が短かったために他社を選ばれてしまっているケースもあるかもしれません。必ず採用したい人材であれば給与や配属などについて現場と調整してできるだけ要望に応えられるようにするとよいでしょう。
採用課題の改善に取り組む際の注意点
採用課題を洗い出したら、その中で優先順位をつけましょう。いきなりすべてを改善することは現実的ではありません。広く浅くやるよりも、対策内容を絞るほうが効果が出やすいです。「この期間は、この課題を改善するための施策をやる」という具合に短期間でテーマを決めて実行してみるのもいいかもしれません。
<取材先>
core words株式会社 佐藤タカトシさん
TEXT:小林麻美
EDITING:Indeed Japan + ミノシマタカコ + ノオト