採用動画を作る意義とは
採用のためのコンテンツとしてこれまで多く使われてきたのが、テキストと静止画中心のコンテンツでした。しかし、コロナ禍において企業と学生が対面する機会が減り、こうした情報だけで自社の魅力を余すことなく伝えるのが難しいと感じる企業も増えてきています。そこで、この1年ほどの間に急激に注目され始めたのが、動画を活用した採用コンテンツです。
主に中小企業やベンチャー企業にとって、採用動画をつくる意義は大きく2つあります。まずは、自社企業をまったく知らない学生に向けての認知獲得。そして重要なのが、内定承諾率を上げることです。自社企業や事業内容に興味を持っている、あるいはすでに内定や内々定が出ているが入社を迷っている候補者に向けて自社の魅力を動画で伝えることで、より深い共感・親近感を覚えてもらい、内定に結びつける確率を上げることができます。
採用動画の強み、メリット
動画作成というと、専門の制作会社へ数百万円かけて発注する、いわゆる「リッチ動画」をイメージする人もいるかもしれません。しかし最近では、クラウドサービスや簡易的なツールを活用して簡単に作れる「カジュアル動画」が普及しはじめ、数万円ほどあれば自社でも作成できるようになってきています。
動画の強みは、「ノンバーバル=非言語的」な情報を伝えられる点です。「明るく風通しのよい職場です」といった一文と、笑顔の従業員が写ったフリー素材のみで候補者に伝えられる情報にはある程度限りがあります。しかし、ありのままの社内の雰囲気や、生き生きと働くメンバーたちの様子を動画で見せることで、オフラインのコミュニケーションが足りない場合でも、リアルな温度感を候補者に伝えることが可能になります。
採用動画に盛り込むべき要素
採用動画作成にあたっては、自社が何を候補者にアピールしたいかを整理することが肝心です。(1)ミッション・ビジョン (2)仕事内容 (3)仲間・上司 (4)制度・待遇、この4項目に優先順位をつけてみるといいでしょう。可能であれば、これらの項目を網羅的にアピールできれば理想的です。また、比較されやすい企業、競合他社との違いをわかりやすく打ち出せるとより効果的でしょう。
動画に盛り込むべき具体的なコンテンツについては以下になります。
(1)ミッション・ビジョン=会社の大きな方向性
動画例:社長・経営陣のインタビュー
(2)仕事内容=仕事の楽しさ・成長実感
動画例:社長の1日密着動画、顧客のコメント
(3)仲間・上司=どのようなメンバーと働けるか
動画例:社員インタビュー、社員座談会
(4)制度・待遇=どのような条件のもと働けるか
動画例:特徴的な福利厚生の紹介、福利厚生を活用している社員へのインタビュー
これらをベースに、インタビューやイベント風景など、文字や画像では伝わらないようなメンバーの「人となり」「社内の雰囲気」を伝えるような動画を作ることが重要です。
作った動画をどのように活用するか
作成した動画については、様々な活用法が考えられます。
- 自社ホームページのコーポレートサイトに掲載する
- 外部の求人広告プラットフォームに掲載する
- 自社SNSで発信する
- 候補者や内定者向けのビデオメッセージレターに埋め込む
上記のどんなプラットフォームにも対応できるよう、ベーシックな動画から始めることがおすすめです。自社で作成するのであれば、まずは1分ほどの短尺から挑戦するといいでしょう。
動画ならよりカジュアルな情報発信ができる
専門的な撮影・編集技術が求められた動画作成も、クラウドサービスを活用することで、スマホが一台あれば誰にでも気軽に挑戦できるようになりました。求人・採用コンテンツの領域においても、従来の作り込まれたきれいなコンテンツより、企業の持つ温度感がリアルに感じ取れるような、ありのままの情報が求められる時代がきています。よりカジュアルな情報発信に適した採用動画は、昨今の候補者のニーズに応えるひとつの手段となり得るかもしれません。
<取材先>
株式会社オープンエイト 取締役兼CFO 澤田裕貴さん
2008年に大手証券会社に入社。以後、10年以上にわたり投資銀行でM&Aや資金調達、IPO業務などに携わる。事業会社への転身を決意し、医師専門サービスサイトを経て2019年9月にオープンエイトに入社。取締役CFOに就任し、経理・財務に加えて人事・法務・総務も管掌する。
TEXT:波多野友子
EDITING:Indeed Japan + ミノシマタカコ+ ノオト