採用広告とは
採用広告とは、企業が新たな人材(新卒正社員、中途正社員、パート、アルバイトなど)を募集することを目的とした広告です。業務内容や待遇、応募方法といった募集要項の他、企業の理念や職場としての魅力などを伝えることで、応募を促進します。「求人広告」と表現されることもありますが、同じ意味と捉えて問題ありません。
採用広告の種類と選定のポイント
◆採用広告の種類
採用広告の種類は、大きく3つに分けられます。
1. リクルーティングメディア
採用支援に特化したプラットフォームです。Indeedを含めた求人専用のウェブサービスのほか、求人雑誌などの紙媒体もあります。人材系企業や自治体が主催する合同企業説明会もリクルーティングメディアの一種と言えるでしょう。いずれも、転職・就職の顕在層に確実にリーチできるのが最大の特長です。ウェブ媒体や紙媒体は既定のフォーマットがあるため、アピールできる内容の自由度は高くありませんが、指定された項目を埋めていくことで掲載の漏れを防止できるメリットがあります。
2. マスメディア
大衆に向けて情報伝達する媒体のことで、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などを指します。また、電車や駅または屋外の様々な場所に掲示するポスターや動画広告などが挙げられます。
属性を問わず大勢の人々に情報を届けられるため、すぐに転職や就職を考えている人だけでなく、潜在層にまで働きかけることが可能です。即効性は見込めず、費用対効果が図りにくい面もありますが、長期的に企業のイメージアップを図りたい場合に有効な手段です。
3. オウンドメディア
自社で作成し保有するメディアのことで、採用ウェブサイトやパンフレットなどを指します。決まったフォーマットや制限がなくゼロから作成するため手間はかかりますが、企業ごとの特長を自由に表現し、より深い情報を読み手に届けることができます。流入元として、リクルーティングメディアやマスメディアとセットで使うと効果的です。
選定のポイント
採用広告を選ぶ際には、2つの視点がポイントとなります。1つ目は「対象が広いか・狭いか」です。募集対象とする人材の範囲が広い場合、多くの人の目に触れるところに広告を掲載することで効果が見込めます。逆に範囲が狭い場合は、その対象となる人々の目に留まるところに絞って広告を掲載する必要があります。例えば「新卒のプログラマー」といった専門性の高い人材を採用したいときは、工業大学の最寄り駅にポスターを掲示する、プログラマー専門の就職サイトで募集するといった方法が効果的です。逆に、平日の昼間にテレビCMを流すような方法をとってしまうと、かかった費用の割に効果がないという結果になりかねません。
2つ目は「対象が顕在層か・潜在層か」です。今すぐ働いてくれる人を求めているのであれば、転職・就職したい意志がはっきりしている顕在層と出会う必要があります。その場合はリクルーティングメディアを活用するのが最も有効です。また、今後の採用活動に備えて企業や業界のイメージアップを図りたい場合は、マスメディアを活用するとよいでしょう。
効果を出すために
採用広告では、業務内容や待遇などの基本情報のほか、求職者にとってメリットになるセールスポイントをしっかりと打ち出しましょう。
このとき、求める人物像によってセールスポイントを変えることが重要になります。あるひとつの特徴をメリットと感じるかデメリットと感じるかは、人それぞれだからです。例えば「急成長中」という特徴は、早く昇進したい人やチャレンジ精神旺盛な人には魅力になりますが、じっくり仕事に取り組みたい人、安定志向の人にはあまり好まれないかもしれません。応募してほしい人物像を想定して、そうした人物に喜ばれそうな特徴をピックアップするのがポイントです。
また、良い点ばかりを強調するのではなく、少し覚悟してほしい点も含めたリアルな情報を発信することで、応募のミスマッチや採用後のギャップを防ぐことができます。
<取材先>
人材研究所 代表取締役社長 曽和 利光さん
京都大学卒業後、リクルートに入社。人事部のゼネラルマネージャーとして培ったスキル・ノウハウと、2万人の面接経験を融合しワンランク上の人材を採用する独自手法を確立。その後、大手生命保険会社などで一貫して人事領域で活躍し、2011年に株式会社人材研究所設立。著書に『就活「後ろ倒し」の衝撃』(東洋経済新聞社)などがある。
TEXT:北村朱里
EDITING:Indeed Japan + 波多野友子+ ノオト