外国人を雇用する際の新しい在留資格「特定技能」とは


2019年の出入国管理及び難民認定法(入管法)改正に伴い創設された「特定技能」という外国人向けの在留資格は、従来の日本の外国人労働者の受け入れ方針を大きく転換するものでした。人手不足に悩む企業に、即戦力となる外国人雇用の機会を広げる制度として期待されている特定技能制度の概要について、行政書士・社会保険労務士の佐藤正巳さんが解説します。

 
 

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外国人労働者の受け入れ範囲が広がる

 
 

◆ねらいは「深刻な人手不足への対応」


外国人が日本で働くには「在留資格」が必要です。「日本人の配偶者等」や「永住者」などの身分系の在留資格を持つ人以外は、「医療」「教育」「技術・人文知識・国際業務」など、従事する業務内容に該当する就労系の在留資格を申請し、出入国在留管理局から許可を得る必要がありました。
 
こうした従来の就労のための在留資格は、概ね大学卒程度の知識や技術を持つ人にしか認められていませんでした。国は日本人の労働者の雇用を守るために、外国人の就労については主に業務内容が高度な専門知識や技能を必要とするケースに制限してきたのです。
 
しかし近年、日本の少子高齢化が急激に進み、深刻な人手不足に陥る産業が増えています。そこで、専門的な知識を要する職種に限って在留資格を認めてきたのに対し、基礎的な技能や単純作業系の職場でも外国人労働者を受け入れられるようにしたのが「特定技能」です。
 
「特定技能」には「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類があります。後で詳しく説明しますが、「特定技能1号」では在留期限が最長5年と定められているのに対し、「特定技能2号」には期間の定めがない等の違いがあります。

 
 

◆「特定技能1号」で認められた産業分野


どの企業でもすぐに特定技能の在留資格を持つ外国人を雇用できるというわけではありません。2019年に創設された「特定技能1号」の資格で外国人労働者を受け入れることができる産業(特定産業分野)は、下記の14分野のみです。

 

  1. 介護
  2. ビルクリーニング
  3. 素形材産業
  4. 産業機械製造業
  5. 電気・電子情報関連産業
  6. 建設
  7. 造船・舶用工業
  8. 自動車整備
  9. 航空
  10. 宿泊
  11. 農業
  12. 漁業
  13. 飲食料品製造業
  14. 外食業


受け入れ可能な産業は2年に1度見直すとされ、上記以外の産業でも人手不足が深刻化した場合には「特定産業分野」として指定されることになっています。

 
 

特定技能資格の取得・在留条件とは

 
 

◆資格取得には技能試験と日本語能力試験の合格が必要


外国人が特定技能1号の在留資格を取得するためには、それぞれの特定産業に定められた内容の技能試験に合格する必要があります。技能試験はそれぞれの産業分野の仕事で求められる基本的な知識と技術のレベルを確認するもので、コンピュータ―ベースドテスィング(CBT)により行われます。一部の職種については実技の確認試験があります。
 
産業ごとに国内の各地域で試験会場が設けられ、産業によってはフィリピンやベトナムなど海外にも試験会場が設けられています。
 
また、日本語能力については「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験N4」に合格していることが求められます。日本語能力については「ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力」があるかどうかを確認するものです。試験に合格できるコミュニケーション能力の目安としては日本人の小学校低学年程度と言われています。どちらの試験も国内および海外の試験会場で受験します。
 
「介護」についてのみ、技能試験に加えて「介護日本語評価試験」を受験し合格しなければなりません。介護現場で用いられる専門用語理解やコミュニケーション能力が試験されます。
 
特定技能の申請前にこれらの試験を受け、合格したことを証明する書類を添えて「特定技能」の資格申請をします。

 
 

◆特定技能1号の在留期限は最長5年


特定技能1号では、在留期間は1年、6カ月、または4カ月ごとの更新となり、日本に在留できる上限は就労期間の合計で5年までと定められています。そのため「特定技能1号」で同一の外国人を雇用する場合は、労働した期間の合計が最長5年までの有期雇用契約となります。(半年だけ毎年雇用するのであれば合計10年)
 
また、特定技能1号では家族の帯同は基本的に認められず、母国から家族とともに日本に移り住むことはできません。
 
5年よりも長く日本で働き続ける場合には、「特定技能2号」という在留資格に移行することが必要です。特定技能2号は期間の定めのない在留資格で、家族の帯同も、要件を満たせば認められます。現在、特定技能2号の制度があるのは「建設」「造船・舶用工業」のみですが、2024年までには上記の14の特定産業分野で「2号」が創設される予定です。
 
2号は「特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人」に与えられる資格とされています。現場のリーダー的な役割を果たせる程度の能力が求められ、当然ながら試験の難易度も高くなります。
 
画期的な施策として大きな注目を集めて始まった特定技能ですが、2021年現在ではコロナ禍により外国人労働者の受け入れは進んでいません。しかし技能試験や日本語能力試験の合格者は多く、感染症の流行が収まった際には「特定技能1号」を取得した多くの外国人が日本で働くことになると予想されています。

 
 
 

※記事内で取り上げた法令は2021年9月時点のものです。
 
<取材先>
社会保険労務士法人東京国際事務所 代表社員
佐藤正巳さん
行政書士・社会保険労務士。著書に『ゼロから始める外国人雇用実務ガイド』『こんなときどうする?外国人の在留資格申請と労務管理』(とりい書房)などがある。
 
TEXT:石黒好美
EDITING:Indeed Japan + 笹田理恵 + ノオト

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