VUCAとは? 経営状況に合わせて求められる人材と人事の役割を解説


将来の予測が困難な状況を表す「VUCA(ブーカ)」の考え方。VUCA時代において、会社に求められる人材や人事の役割に変化はあるのでしょうか。株式会社人材研究所代表取締役の曽和利光さんに解説していただきました。

 
 

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VUCAとは


VUCAとは、下記の4つの単語の頭文字をつなぎ合わせた言葉です。

 

  • Volatility(変動性)
  • Uncertainty(不確実性)
  • Complexity(複雑性)
  • Ambiguity(曖昧性)


元々は1990年にアメリカで軍事用語として使用されており、2014年にASTD(米国人材開発機構)の国際大会で取り上げられたことから、ビジネス用語として注目されたといわれています。
 
先の見通しがつかず、従来の業務のやり方を変えざるを得ない会社もあることから、現在を「VUCA時代」と称する声もあります。しかし、日本経済は1999年ごろから続くデフレから完全に抜け出せないまま。変動どころか停滞状態が続いています。「変化の激しい時代」と枕詞のように語られるものの、すべての会社に変化が求められるとは限りません。

 
 

時代に関係なく、企業のステージは2種類に分けられる


すべての会社に変化が必要でないなら、その判断軸をどう見つければいいのでしょうか。
 
ここで登場するのが、組織のあり方を定義する「変革型組織文化」と「安定型(成長型)組織文化」。組織のステージは、大きくこの2種類に分けられます。

 
 

◆変革型組織文化とは


事業の勝ちパターンがまだ決まっていない状態。ベンチャー企業の創成期や大手企業の停滞期などが当てはまります。

 

  • チームプレイ:新しい変化の芽を最前線の社員に発見してもらう必要があるため、ボトムアップ文化
  • 採用活動で求める人材:進むべき方向性が見えないため、あらゆるケースに対応できるよう、多様な人材が必要。新卒の新入社員を長期間育てる育成方針も明確ではなく、必要な能力・スキルが判明した際に、オンデマンドで即戦力となる人材の中途採用を行うのが主
  • 報酬:中途採用が中心となるために、市場価値に即した体系となっている

 
 

◆安定型(成長型)組織文化とは


事業の勝ちパターンが決まっている状態。

 

  • チームプレイ:進むべき方向性がわかっており、それを協力して役割分担しながら行うため、トップダウン文化
  • 採用活動で求める人材:育成の方向性がある程度明確にわかっているため、新入社員を育てられる体系を構築することができ、資質や人間性などのポテンシャルを重視した新卒採用を行うようになる
  • 報酬:社内育成が人材開発の中心となるため、市場価値をあまり気にせずに、社内価値で報酬が決まる制度をつくることができる


両者は対であり、振り子のように振れています。企業がどのフェーズにあるのか、今後どうするべきかを考えて見極めることが肝心です。
 
たとえば、昨年から続く「コロナ禍」をとってみても、その影響をひとくくりにするべきではないでしょう。コロナ禍でも売り上げを伸ばしている事業の場合、今が“攻め時”だと判断したら、「安定型(成長型)組織文化」に切り替えて現在の事業モデルを突き進める必要があります。
 
一方、コロナ禍で経営状況にマイナスの影響を受けている事業の場合、従来の方法を続けていても解決策は見つかりません。いち早く「変革型企業文化」にシフトして、新しいサービスや人材を探すことも必要といえます。

 
 

人事が行うべき役割


経営陣が事業の方向性を判断したとき、組織のあり方や価値観などが大きく変わります。人事担当者が行うべきは、従業員が変化を受け入れられるような施策を講じる「チェンジマネジメント」。ただし、社内制度や価値観を変えることは難しく、変化には期間を要します。
 
人事担当者に求められるのは、経営陣からの情報をキャッチアップし、いち早く「変革型組織文化」または「安定型(成長型)組織文化」に切り替える判断力です。
 
具体的な進め方として、リーダーシップ論の権威であるジョン・P・コッターが提唱する「企業変革の8ステップ」を紹介します。

 

1. 危機意識をつくり出す
現状のままでは、自分たちのビジネスが先細りになるという危機感が変革を生み出します。経営陣がアラートを出し、従業員たちが状況を変えていこうという意識を持てるようにします。
 
2. 強力なチームをつくる
社長や経営陣などはもちろんのこと、社内で影響力を持つ従業員を集めて、変革を進めるチームをつくります。
 
3. ビジョンを生み出す
たとえば、先に述べた「変革型と安定型(成長)のどちら寄りの方向性でいくのか」などのゴールとなる、戦略的なビジョンを策定します。
 
4. ビジョンを伝える
変革チームでつくったビジョンを、社内に周知徹底します。
 
5. 周囲を巻き込む
変革を阻む組織構造を見直し、従業員の自発的な行動を促します。
 
6. 短期的成果を獲得
ある程度達成しやすい「スモールゴール」を設けて、それを実際に達成することで、この組織変革がうまくいっていることを示します。従業員が抱える不安の解消にもつながります。
 
7. 変革を維持・継続
スモールゴールの成果を踏まえて、さらに変革を推進します。変革を評価する制度の実施なども検討します。
 
8. 変革を定着させる
変革を実現した従業員を上層部に抜擢するなどの方法を取り、新しい企業文化を根づかせます。


この方法は、変革型・安定型(成長型)のいずれの場合にも当てはまります。報酬面や社内制度などを大きく変えるときに、すぐに従業員の理解を得ることは難しいものです。反発を招く可能性もあるため、この工程を丁寧に踏むことを意識しましょう。
 
また、報酬制度が変わる際に従業員が不利益を被らないためにも、会社は「激変緩和措置」を設けるのが望ましいです。たとえば、新体制になったときに旧体制より給与が下がった場合、2年間は差額を補填するなど。猶予期間を設けて、従業員がスキルアップや転職などの選択をできるようにします。
 
会社が心がけるべきポイントは「◯◯の時代」などわかりやすい流行を追いすぎないこと。自社が安定(成長)を選ぶ時期にも関わらず、変革を進めるなど、判断ミスにつながる可能性があるからです。会社が目指すべき方向を見極めて、それに合わせた人事制度や採用を選択することが大切です。

 
 
 

<取材先>
株式会社人材研究所 代表取締役 曽和利光さん
 
TEXT:畑菜穂子
EDITING:Indeed Japan + 南澤悠佳 + ノオト


 
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