人事の仕事とは? 最適な人材や必要スキル、人事職の基礎知識をおさらい

あらゆる企業の活動において、人の存在は欠かせません。「人事」の仕事とは、そんな企業の基本ともなる人材を採用し、育成し、配置するものです。人事が変われば、その会社の組織体系や雰囲気だけでなく、業績まで大きく左右されてしまうケースもあるかもしれません。
 
そんな「人事職」の基礎知識、適性、求められるスキルなどをまとめてご紹介します。

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人事部の仕事内容とは?

◆人事部の目的

人材の採用、育成、配置を通して、企業を活性化する。それが「人事」という仕事の大きな目的です。企業の価値を生み出す従業員に直接関わる人事担当は、経営にも深く結びつく重要な役割のひとつです。

◆人事部の主な仕事

人事部の基本業務は「採用」「教育」「人事」「労務」の4つに分けられます。

・人事部の「採用」関連業務

①人員計画を立てる
人員計画の立案必要とする人材を明確にし、その確保を行うための計画が「人員計画(要員計画)」です。各自業部がどのような人材を何名ほど求めているのかを把握した上で立案します。
 
②募集活動をする
募集活動の実施人員計画をもとに実際に募集を行います。募集するポジションや人材の属性、採用時期に応じ、最適な募集媒体・選考方法・採用基準を決定し、求人情報を制作します。

・人事部の「教育」関連業務

①教育計画を立てる
社員のポジションや勤続年数、そして企業の目的に合わせて、伸ばすべき能力を見極めて教育計画を立て、適切な教育方法を検討・実施します。
 
②教育訓練を行う
上記の教育計画に基づき、OJT(On the Job Training)や、Off-JT(Off The Job Training)、自己啓発の支援を行います。

・人事部の「人事」関連業務

①人材の配置・異動をする
新たに採用した人材を適材適所に配置することに加え、既存社員の配置転換、昇進・昇格、出向・転籍の人事異動も行います。
 
②人事考課を行う
人事考課の実施人事は、公平・公正な人事評価のために、昇給や昇進、昇格、配置、教育訓練などに反映する人事考課制度を運用します。それにあたり、考課者(評価する人、上司)をサポートするほか、必要に応じて考課者の訓練も行います。

◆人事部の「労務」関連業務

人材の採用や配置だけでなく、社員の業務や働く環境の整備といった「労務」にまつわる内容も、人事担当者の業務となります。主な業務内容は以下の4つです。
 
就業規則、諸規程を整備する
②勤怠管理をする
③各種保険の手続きをする
④安全衛生管理体制を整備する
 
人事部の基本の仕事について、より詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
人事部の仕事内容とは? 採用・教育・人事・労務

 
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人事部が知っておきたい法律に関する知識

人事部の仕事は幅広く、採用から入社、そして退社まで、その人材が自社で働く際の一連の事務手続きに加え、社内におけるトラブルへの対処などもあり、会社という組織を円滑に動かしていくために欠かせない業務と言えます。
 
そしてそれらの業務は、法律に則って処理をする必要があります。そのため、必然的に法律に触れる機会が多くなります。ここでは、担当者が知っておくべき法律に関する知識について、基礎的な範囲を紹介します。

◆「労働三法」とは

数ある労働法のなかでもとりわけ古くから制定されている、労働者の権利の基盤となる以下の3つを総称して「労働三法」と言います。

①労働基準法
労働時間、賃金の支払い、休日など労働条件の最低基準を定めた法律
 
②労働組合法
労働者が労働組合をつくり、会社と話し合いができることなどを保障した法律
 
③労働関係調整法
労働者と使用者の間で生じる争いごとの予防・解決を目的とした法律

 

◆法律「労働三権」とは

「労働三権」とは、以下の3つの総称で、労働者を守るための最も基本的な権利として、労働者が集団となり、使用者と対等な立場で交渉・行動することを保障しています(日本国憲法第28条)。

(1)団結権
労働者が労働組合を結成する権利
 
(2)団体交渉権
労働者が使用者と団体交渉する権利
 
(3)団体行動権
労働者が要求実現のために団体で行動する権利


労働三法ついて、詳しくはこちらをご覧ください。
労働三法とは? 労働法、労働三権との関係性を解説

労働者と使用者の定義について

労働法は人事担当者が業務上把握しておくべき基本的な法律ですが、法律用語に戸惑うことも少なくないでしょう。ここではそうした用語のうち、基本的なものである「労働者」「使用者」についてご紹介します。

◆「労働者」と「使用者」の定義は法律により異なる

「労働者」や「使用者」が示すものは、労働法に含まれる各法律によって異なるため、一律に定義することはできません。

◆労働基準法における「労働者」「使用者」とは

ここでは一例として、労働基準法における定義を見ていきましょう。

・労働基準法における「労働者」

使用者に使用され、賃金を支払われる人のことです。この条件に当てはまれば、職業分野や職種、雇用形態は問われません。ただし、「業務委託」や「業務請負」といった、一部の労務のみを委ねられる人の場合は、労働基準法上の「労働者」には該当しません。

・労働基準法における「使用者」

労働者を使用する立場で、賃金を支払う人のことです。この条件に当てはまれば、社長などの経営者に限りません。また人事担当者や役員秘書など、会社側の立場から業務にあたる従業員は、使用者の立場となります。部下に対して指揮命令を出す場合、上司も「使用者」となります。
 
労働基準法における「労働者」と「使用者」の考え方を詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。
労働基準法における「労働者」と「使用者」とは

人事に向いている人材とは?

人事職は幅広い業務を担います。そんな仕事に適しているのは、どのような人材なのでしょうか。

◆論理的思考力がある

ビジネスには、論理的に考える力が必要です。特に人事は公平に人を判断する能力が求められるため、論理的思考をもって物事と向き合える人物が適しています。

◆洞察力がある

相手が何を考えているか推し図るための洞察力は人事の重要スキルです。自社に合う人材を採用するだけでなく、本人の働きやすさを追求するためには、この能力が欠かせません。

◆コミュニケーション能力が高い

人事職の仕事の大半は、求職者や社員とのコミュニケーションです。初対面の相手と円滑に対話するだけでなく、相手と深く本音で語ることも求められます。


人事職採用におけるポイントについて、詳しく知りたい方はこちらをご確認ください。
人事職を採用する際のポイント

 
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人事に必要なスキル「アンガーマネジメント」

求職者や社員と円滑な関係を築くスキルが求められる人事の仕事においては、“怒り”の感情を管理する「アンガーマネジメント」は重要なスキルと言えるでしょう。

◆アンガーマネジメントとは

「必要な場面で上手に怒る」と「不要な場面では怒らずに済ませる」という線引きをしてトラブルを防ぐためのスキルです。
 
そもそも“怒り”とは、人間なら誰もがもつ自然な感情ですので、決して「アンガーマネジメント」=「怒らなくなる方法」ではないことに注意しましょう。
 
アンガーマネジメントにおいては、次の3ステップを経て怒りの感情が生まれると考えます。

①ある出来事に出合う
②意味づけを行う
③怒りの感情が生まれる

つまり、怒りの感情が生まれるのには「意味づけ」が大きく影響しています。同じ出来事に対して怒りを感じる人がいれば、逆に感じない人もいるのはこのためです。

◆人事におけるアンガーマネジメントの効果

アンガーマネジメントを身に付けることで、人事の仕事に次のようなメリットをもたらすことが期待されます。

・平常心を保ちやすくなる

社員同士のトラブルに巻き込まれても、怒りのコントロールをして平常心を保つことで、冷静に対応しやすくなります。
 

・人の感情の動きを把握しやすくなる

アンガーマネジメントを学ぶことで、他者の感情の動きを分析する意識が芽生えます。ハラスメントなどの相談を受けたときにも、機械的にハラスメント基準に従うだけではなく、社員の感情を考慮した対策を講じやすくなることでしょう。
 

・ハラスメントの防止

職場のパワーハラスメント(以下、パワハラ)は、上司が怒りの感情をコントロールできないことから生まれがちです。パワハラ防止を主導する人事担当者がアンガーマネジメントのスキルを持っていることは、パワハラ防止策の検討に役立つはずです。

アンガーマネジメントについて、詳しく知りたい方はこちらをご確認ください。
人事に必要な「アンガーマネジメント」スキルとは

人事の基本、就業規則の作り方

就業規則とは、各事業者が賃金や労働時間などの労働条件、職場内の規律などについて定めたものです。労働者数が10人以上の事業場には、就業規則の作成と届出が義務づけられています。

◆就業規則の記載事項

就業規則の内容は、法律で定められています。「絶対的必要記載事項」は必ず記載しなければならず、「相対的必要記載事項」については定めがある場合に記載が必要です。

絶対的必要記載事項

・始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、並びに交替制の場合には就業時転換に関する事項
・賃金の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締め切り及び支払いの時期、並びに昇給に関する事項
・退職に関する事項(解雇の事由を含む)

相対的必要記載事項

・退職手当に関する事項
・臨時の賃金(賞与)、最低賃金額に関する事項
・食費、作業用品などの負担に関する事項
・安全衛生に関する事項
・職業訓練に関する事項
・災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
・表彰、制裁に関する事項
・その他全労働者に適用される事項

 

◆届出手続きの流れ

1.就業規則を作成する
2.過半数組合または労働者の過半数代表者の意見書を作成する
3.就業規則(変更)届を作成する
4.意見書と合わせて届出をする

就業規則を作成する際、労働者の過半数を代表する者の意見を聞くことが定められています。意見書は代表者の声を聴取した証明となります。
 
なお、作成した就業規則は労働者への周知が必要となるため、作業場の見やすい場所に掲示したり、書面を配布したりするなどしなければなりません。
 
就業規則の作り方について、詳しく知りたい方はこちらをご確認ください。
人事なら必ず知っておきたい「就業規則」の作り方

必要な知識を揃えて、人材が活躍できる環境を整えましょう

今回は基礎的な内容を紹介しましたが、人事担当者が持つべき知識は多くあります。大変と感じられる方も多いかもしれませんが、企業の価値を生み出す人材と直接関わるポジションであり、経営の根幹に関わる業務です。上手に知識を吸収し、実際の業務に活かすことで、企業を「人」の面から支えていきましょう。

 
 
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