女性活躍推進法とは? 法改正のポイントと企業の義務

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2019年に女性活躍推進法の一部を改正する法律が成立し、公布されました。改正の具体的な内容、対象となる企業が行うべきこと、女性の活躍を推進するメリットや注意点まで、うたしろFP社労士事務所 代表 社会保険労務士の歌代将也さんにお話を伺いました。

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女性活躍推進法とは

女性活躍推進法は、正式名称を「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」といいます。民間企業などで活躍している女性がまだまだ少ない状況を踏まえ、活躍を希望する女性が能力や個性を発揮できる社会づくりを目的として2015年8月に成立、2016年4月に全面施行されました。また、景気の回復や団塊世代のリタイアなどを背景とした労働力不足の改善もねらいのひとつです。

女性活躍推進法 改正された内容

2019年5月、女性活躍推進法等の一部を改正する法律が成立しました。下記にて施行時期別に紹介します。
 
1. 女性活躍に関する情報公表の強化(2020年6月施行)

「常時雇用する労働者が301人以上の事業主は、情報公表項目について、
(1)職業生活に関する機会の提供に関する実績
(2)職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備に関する実績
の各区分から1項目以上公表する必要がありますー厚生労働省|女性活躍推進法特集ページより」
 
改正前に公表が義務付けられていたのは、上記の(1)と(2)の中に複数ある項目のうち「いずれか1項目」のみでしたが、改正後は(1)と(2)の両方からそれぞれ1項目以上選択する必要があります。なお、情報の公開は、厚生労働省が運営する「女性の活躍推進企業データベース」で行われています。

 

2. 一般事業主行動計画の策定義務の対象拡大(2022年4月施行)

「一般事業主行動計画の策定・届出義務及び自社の女性活躍に関する情報公表の義務の対象が、常時雇用する労働者が301人以上から101人以上の事業主に拡大されますー厚生労働省|女性活躍推進法特集ページより」

1.で述べた情報公開が義務付けられる企業の範囲が、改正前は「常時雇用する労働者が301人以上」でしたが、改正後は「常時雇用する労働者が101人以上」にまで広がるということです。
 
万が一これらの法令を遵守しなかったとしても罰則はありません。しかし、上記データベースを見た人などから女性活躍に消極的な企業との印象を持たれ、採用活動や企業ブランディングにマイナスの影響を被ることは言うまでもないでしょう。

 

対象企業が行うべきこと

2022年から女性活躍推進法の適用対象となる企業、もしくは以前から適用対象だったものの女性活躍の推進が十分でなかった企業は、どのようなことから着手するとよいのでしょうか。
 
まずは自社の現状を把握することです。上記で紹介した「女性の活躍推進企業データベース」を参照のうえ、自社における各項目の数値を確認しましょう。公表されている項目は企業一覧から確認できます。

そのうえで、どの項目の数値が低いのか、その原因はどこにあるのかなど問題点を分析し、計画期間や目標数値を盛り込んだ「一般事業主行動計画」を策定して、社内周知、外部への公開を行います。

中には、もともと女性が少ない業界や職種であるため、女性に活躍してもらうにはどうしたらいいのかわからないという企業もあるかもしれません。そのような場合は、自社を志望してくれる女性をまず一人採用してみて、その人の意見も聞きながら一緒になって女性が働きやすい職場づくりを進めていくのも一つの方法です。

初めて女性を採用しようとする企業では、経営層の女性活躍への理解がなかなか得られないというケースもあるでしょう。そのような場合も、男性社員が言葉で説得するよりも候補者の女性と実際に面談してもらうほうが、ポテンシャルや優秀さを直接感じてもらえるため理解が早いと思われます。

 

女性の活躍を推進する企業のメリットとは

女性活躍を推進するもっとも大きな意義は、その企業が女性のみならず誰もが働きやすい場になることだと言えます。個々のライフステージが変化しても末永く勤められる職場として、従業員満足度の向上、定着率の向上、世間に対するイメージ向上などが期待できます。従業員のモチベーションが向上することで、業務の効率化や業績向上も見込めるでしょう。

 

女性の活躍推進における注意点

女性活躍推進に対して積極的になるあまり、急激に改善計画を進めすぎないよう注意が必要です。

例えば管理職における女性比率を上げようとする場合、女性を優遇しすぎて男性から不満が出ることや、管理職になる意欲や能力が十分でない女性を無理やり登用することでかえって活躍しにくくさせてしまうといったことが考えられます。女性の活躍推進における数値の改善は、本人にも周りにも無理のないペースで行うことが重要です。

 

※記事内で取り上げた法令は2021年12月時点のものです。
 
参考:
女性の職業生活における活躍の推進に関する法律
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=427AC0000000064
厚生労働省「女性活躍推進法特集ページ」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000091025.html
厚生労働省「女性の活躍推進企業データベース」
https://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp/positivedb/index.html
 
<取材先>
うたしろFP社労士事務所 代表 社会保険労務士 歌代将也さん
 
TEXT:北村朱里
EDITING:Indeed Japan + ミノシマタカコ + ノオト

 
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