リモートマネジメントとは
「リモートマネジメント」とは、目の前にいない部下(アルバイトやパートも含む)に対して、非対面にてマネジメントを行うことをいいます。
◆活用ツールの例
- チャットツール(SlackやChatwork)
- ビデオチャットツール(ZoomやSkype)
- メール
- 電話
従来のオフィス勤務でのコミュニケーションは「会話」が中心でしたが、リモートマネジメントでは一般的に「テキスト」がベースになります。
リモートワークの課題
リモートワークの最大の課題は「コミュニケーション不足」です。上司と部下、同僚同士でのちょっとした会話ができないので、意思疎通が図りにくくなります。そのため、人間関係を築きにくいのと同時に、労働者の企業に対する帰属意識が低下しがちなのも問題となっています。
また、上司が部下に対して、サボらずにきちんと仕事をしているのか、不安に感じる傾向も見受けられます。逆に部下は、自分がサボっていると思われないかを気にしながら仕事をすることになるのも、リモートワークにおける課題といえるでしょう。
リモートマネジメントを成功させる4つのポイント
上記の課題を克服し、リモートマネジメントを成功させるために、次の4つのポイントを押さえておきましょう。
1.コミュニケーションの活性化
マネジメントをする側(上司)が積極的に部下と情報を共有する努力が必要です。そのためには、週に1回、もしくは2週間に1回程度の頻度で、1対1で話をする機会を設けましょう。個別ミーティングでは、上司は「聴き役」に徹します。「聴く」と「話す」が、8:2の比率が理想です。
2.コミュニケーションの円滑化
テキストが中心となるリモートワークにおいてコミュニケーションを円滑にするためには、細かなニュアンスなどを含めて、「短く」「シンプルに」「平易な表現で」伝えるスキルが必要になります。部下に送信する前に何度か推敲して、正しく伝わる文章になっているかを確認することが大切です。
3.労働時間の見える化
リモートワークはタイムマネジメントが難しいため、労働時間が長くなりがちです。働き過ぎてしまう部下への対策が必要です。
解決策の一つは、部下にスケジュールを提出してもらい、1日の仕事(タスク)量と進め方のチェックをすることです。上司はスケジュールを見れば、今、誰が何をしているのかがわかるので安心できますし、部下は1日のスケジュール管理(セルフマネジメント)ができるので生産性が上がります。
4.帰属意識の醸成
1人で自室で仕事をしていると、部、課など「チーム」で仕事をしている帰属意識が薄れがちです。なかには、孤独感を抱いてしまう部下もいるかもしれません。
そういったことを避けるために、チームコミュニケーションツール(Slackなど)を利用して、チームとしての「目標」や「大切にするべきこと」を、定期的に伝えてリマインドさせましょう。
また、始業の時間に全員がZoom上に集まり、可能な範囲で朝礼を行うのもおすすめです。朝一番に顔を合わせることで、「1日の仕事が始まる」「一人ではなく皆も仕事をしている」という意識を持たせることができます。
リモートマネジメントにおける3つの注意点
リモートマネジメントならではのリスクは少なくありません。以下の注意点を意識するだけでも、リスク回避につながります。
1.「リモハラ」に気をつける
Zoomなどの画面の中に映り込んだ部屋の様子など、プライベートについてあれこれ聞くことは、ハラスメントに該当する可能性があります。こうしたハラスメントを「リモハラ(リモートハラスメント)」と呼びます。業務に関係のないことに言及するのは避けましょう。
バーチャル背景や背景のぼかし機能の利用を原則とすることで、画面に不要なモノが映り込むことを避けられます。あらかじめそういった決まりを作っておくのもいいかもしれません。
2.「記録に残る」ことを意識する
会話とは違い、チャットやメールはテキストとして内容が保存されるのはもちろん、Zoomなどではモニター画面に映る画像を録画することもできます。リモート環境下で苦言を呈する際には、そのやり取りがすべて「記録に残る」ことを意識しましょう。
3.「現場感」の醸成を心がける
オフィスに出勤しているスタッフとリモートワークのスタッフが混在する場合、リモートワークで仕事をしているスタッフには、オフィスで起こっていることがリアルタイムでは伝わりません。そのため当事者意識を持ちにくい状況になりがちです。
それを回避するためには、リモートワークのスタッフに現場で起こっていること(情報)を、できる限り細かく、できる限り頻繁に伝えることが大切です。また、定期的にオフィスで働くスタッフとリモートワークで働くスタッフが交流できる機会を作りましょう。
リモートマネジメントは、これまで以上にコミュニケーションスキルが重要になります。リモートマネジメントを成功させるポイントとリスク回避の注意点をしっかり押さえて、コミュニケーションを図るための工夫をこらしましょう。
※記事内で取り上げた法令は2022年1月時点のものです。
<取材先>
メンタルチャージISC研究所株式会社 繁盛企業育成コーチ 岡本文宏さん
TEXT:塚本佳子
EDITING:Indeed Japan + 南澤悠佳 + ノオト
