
グローバル企業のAccentureが、実習生制度、研修、スキルに特化したアプローチを通じて、課題を解決し、イノベーションを推進する取り組みをご覧ください。
キーポイント
- Accentureのスキルファースト採用戦略は、米国で募集する求人の半数以上で学位要件を取り除くことから始まりました。
- Accentureの実習生制度は、スキルファースト採用戦略を強力に支えるものであり、米国における新卒レベルの採用者数の20%を占める継続的な人材パイプラインを構築しています。
- どのような企業も、競争力を保つためにはスキルファースト戦略を採用すべきだと、Accentureの採用リーダーは話します。ただし、その変化は必ずしも劇的なものである必要はありません。まずは、ダイバーシティの推進、必要なスキルに焦点を当てた採用、優秀な人材の定着といった、特定の目標に対応できるように採用戦略を切り替えるという、小さな取り組みから始めるとよいでしょう。
約10年前、Accentureは、急速に成長する中で、会社の競争力を保つために必要な人材を求めていました。77万人以上の従業員を有するグローバルコンサルティング企業であるAccentureの主な強みは、その人材、つまり従業員のアイデアやイノベーション、専門知識です。あるときAccentureのHRチームと人材マネジメントチームは、従来の採用戦略では自社で必要とする規模やスピードで人材を十分に確保できないことに気付きました。
AccentureのTalent Strategy Executive兼North America Apprenticeship Program DirectorであるBeca Driscoll氏は次のように述べています。「当時、Accentureの新卒レベルの求人の大半は「大卒以上」を必須条件としていました。その結果、米国の労働者の半数にもリーチできていませんでした」
Accentureは、このことをきっかけにスキルファースト採用を導入しました。スキルファースト採用は、学歴や前職、経験年数といった要素ではなく、求職者の具体的な能力や適性を重視する採用戦略です。Driscoll氏は次のように続けます。「成功を測る指標は学歴だけではないことが分かっています。私たちは資格に限らず、スキルや潜在能力を重視しています」
Accentureは、採用戦略を再考することで、組織内のダイバーシティを促進するだけでなく、厳しい労働市場で引き続き雇用のニーズを満たすことができています。同社は、2022年からの18か月間で20万人の新規採用を実施しました。
Accentureは、スキルファースト採用の先駆者として、より多くの企業が独自のスキルファースト戦略を導入できるよう支援する取り組みを行っています。最近、Indeed のSocial Impactチームは、公共企業や民間企業の雇用主や上級幹部を対象とした一連のイベントでAccentureと連携しました。イベントでは、AccentureのU.S. Public Service Industry Lead兼Austin Office Managing DirectorであるTamara Fields氏が、Indeed やスキルファースト採用を推進する他の組織のリーダーたちとともに、知見や解決策を共有しました。
「Accentureはスキルファースト採用を先駆けて導入し、この取り組みをリードする存在となっています。単なるリーダーにとどまらず、スキルファースト戦略を成功に導くプロセスやツール、組織体制を構築するイノベーターでもあります」と、Indeed のGlobal ESG Programs and Partnerships担当Senior DirectorであるParisa Fatehi-Weeksは述べています。「Indeed は、Accentureと提携してその取り組みを広め、より多くの企業がスキルファースト採用戦略を導入できるよう支援することを誇りに思います」
Accentureがスキルファースト採用戦略を成功に導いた道のりと、その成功例を参考に、どのような組織でも効果的かつ公平な採用手法を導入する方法をご紹介します。
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求人を作成するスキルに重点を置く
スキルファースト採用戦略で重要なステップの1つは、不要な学位要件を取り除くことです。現在、Accentureで募集している求人の約半数では、4年制大学の学位が必須条件となっていません。
これにより、従来なら見逃されていた可能性がある候補者にも、キャリアのスタートを切るための貴重な機会への道が開かれます。しかし、この取り組みを効果的に進めるには、採用企業側が職務に必要なスキルを明確に定義し、学歴や職歴のない候補者にそうしたスキルがあるかどうかを見極める力を身につける必要があります。
Accentureは以前からスキルやスキル開発に力を入れてきました。「私たちは常にテクノロジーの最前線に立っているため、従業員が最新の知識を身につけられるように、毎年研修に多額の投資を行っています」とFields氏は述べています。Accentureは、職位や地域に関係なく、世界中の従業員に当てはまる8,000以上のスキルを収めたデジタルライブラリを作成しました。Fields氏はこれを「唯一の信頼できる情報源(single source of truth)」と表現しています。このライブラリは、特定の能力があるかどうかを見極めて評価するための共通の基準を、全従業員に提供するものです。
スキルを標準化することで、Accentureは特定の職務に学位が必要かどうかを見極め、職務に必要な能力を正確に反映した求人情報を作成できるようになっています。学位を持たない求職者にとって公平な採用プロセスを実現できるだけでなく、Accentureが人材を定着させるための戦略の一環としてスキルアップの機会を提供し、変化する需要に柔軟に対応する上でも役立ちます。また、従業員ごとにスキルプロファイルが作成されており、新しいプロジェクトに取り組んだり、研修コースを修了するたびに自動的に更新されます。
こうしたプロファイルについて、Fields氏は次のように述べています。「私たちは独自のAIを構築し、スキルや熟練度を評価しています。その中には、私たちが「近接スキル(proximity skills)」と呼ぶものも含まれます。この情報を活用することで、別の仕事に関心がある場合や、現在の仕事が縮小している場合に、研修を実施して新しい仕事に挑戦することができる人材を特定できます」
Driscoll氏は、次のように話します。「Accentureが、経験レベルにかかわらず従業員に求め、採用時に重視している最も重要なスキルは、学習能力です」
組織の考え方を変える
Accentureは、学位要件を廃止する際に、この変更の目的が「スキルの低い人材を採用すること」ではなく、「より多様な人材を惹きつけるための障壁を取り除くこと」であると組織全体に理解してもらうという課題に直面しました。そのため、組織の考え方や文化を変える取り組みを行い、あらゆるレベルで一人ひとりの行動や態度に影響を与える必要がありました。
そこで、まず採用担当者を教育し、現場にリソースを配置して、マネジャーと新入社員の両方について成果を上げられるよう体制を整えました。また、時間が経つにつれ、新入社員にはさらにサポートが必要であることが分かったため、企業文化に馴染めるように、メンターシッププログラムやジョブシャドウイングを導入しました。こうした取り組みは、従業員向けリソースグループ(人種やジェンダー、年齢、宗教、性的指向など、共通のアイデンティティを持つ従業員が活動するグループ)やサポートネットワークとともに、新入社員がAccentureを自分の居場所だと感じ、主体的に活躍できるようにする上で役立ちます。
自社の人材パイプラインを構築する
Accentureは2016年に実習生制度を立ち上げました。現在は、スキルファースト採用戦略の基盤となっています。
「私たちは、実習生制度を通じて、これまで埋もれていた高い潜在能力を持つ人材にリーチできると考えました」とDriscoll氏は話します。
Driscoll氏は、製造業や専門技術職の分野で実習生制度が多様な人材を惹きつけ、定着させてきた実績があることを理解していました。Accentureの課題は、この仕組みを企業の環境に適応させることでした。パートナーシップは不可欠であり、Accentureは認定プログラム、コミュニティカレッジ、非営利団体、職業訓練施設と協力して、さまざまな人材にこの制度への参加を促しています。
また、グループを形成することも実習生制度の大切な要素です。特に、実習生に企業という環境の経験がない場合には、Accentureの文化に適応してもらう上で重要になります。Driscoll氏は、次のように話します。「コミュニティを築くことが大切です。そうすることで、実習生はつながりを感じ、早い段階で成果を上げられるようになります。そして、それがさらなる成長や飛躍につながります」グループを作ることはビロンギング(自分の居場所があると感じられること)の意識を高め、定着率の向上を促します。
成功を測定し、リーダーの責任を明確にする
Accentureにとって、成功を測定する主な指標は収益(ボトムライン)です。「欠員が出たままだと、収益を失うことになります」とFields氏は話します。企業には、規模に合わせて人材を迅速に確保することが求められます。Accentureは、これまで実習生制度を通じて2,500人以上の従業員を採用しています。これは北米における新卒レベルの採用者数の20%に相当します。
Accentureでは、実習生制度を評価するために、修了率と、実習生から継続雇用への転換率を測定しています。また、実習生制度を修了した人のほとんどを採用しています。Accentureは、これらの指標についてリーダーの責任を明確にしており、新規採用者だけでなく、定着率やキャリアアップ、昇進も追跡しています。
Fields氏は次のように述べています。「費用対効果の観点から、私たちは、人材を確保し、育成して、会社に長期的に貢献してもらうことを目標としています。評価は、Accentureで実習者が活躍し、定着するかに基づきます」
スキルファースト採用は小さな取り組みから始める
Driscoll氏とFields氏は、スキルファースト採用を検討している企業に対して、1つの重要なメッセージを伝えています。それは「小さな取り組みから始める」というものです。
「大きな投資をする必要はありません」とDriscoll氏は話します。Driscoll氏は、採用戦略を再考することで取り組める目標を明確にするよう助言しています。たとえば、人材プールの拡大、特定のスキルに焦点を当てた採用、優秀な従業員の定着、ダイバーシティの推進などが考えられます。
学位要件を取り除くことを検討している場合は、HRと協力して、特定の職務に必要なスキルを評価することが重要です。求人内容は簡潔にまとめましょう。説明が長すぎると、すべての条件を満たしていないと感じた候補者が応募をためらう可能性があります。面接では、スキルに関連する行動や候補者の学習意欲に焦点を当てるようにしてください。また、多様なチームが評価プロセスに参加することで、意思決定を公平でバランスの取れたものにすることも大切です。
実習生制度の導入を検討している場合は、まずHRや財務、ITなど、業務が社内向けで体制が安定して確立されている部門に実習生を配置することをDriscoll氏は勧めています。
Accentureは、社内のIT部門で働くわずか5人の実習生を対象に、実習生制度を立ち上げました。「Accentureがクライアントという立場だったため、実習生にとって安全で学びやすい環境が整っていました」とDriscoll氏は話します。
社内業務での成功を示すことで、Accentureは実習生制度をより中心的な業務に拡大することができました。「この制度を拡大し、Accentureの人材戦略の一部として定着させるには、ビジネスが成長している分野、つまりクライアントサービスへと、この制度を広げる必要があることは理解していました」そうDriscoll氏は述べています。
実習生制度の成功には、文化の再構築が不可欠でした。Fields氏は、成功指標を把握することに加え、会社のタウンホールミーティングや会議で個別の実習生のストーリーを継続的に共有したと話します。「その影響の大きさは言葉では表現できません」とFields氏は振り返ります。Driscoll氏は、この取り組みにより、標準的な慣行がよりインクルーシブなものになったと述べています。「同僚に自己紹介をする際、出身大学を伝える代わりに、自分たちが取り組んでいる仕事や関心のあることを話すようになりました」
スキルファースト採用でより良い未来を築く
Accentureは、他の企業がスキルファースト採用戦略を導入できるよう支援することに力を入れています。というのも、現在直面している問題が、経済、さらには社会全体に影響を及ぼしているからです。
Fields氏は次のように述べています。「米国で私たちが直面している最も重要な課題はリスキリング(学び直し)です。私たちはこの課題を解決しなければなりません。テクノロジーは急速に進化しており、私たちの教育システムではそれに追いついていないのが現状です」
企業が自社のニーズを満たすためには、従来の人材プールだけでは不十分です。スキル開発に重点を置くことで、スキルを身につけた場所や方法にかかわらず、才能と潜在能力を持つ人材と雇用主がつながることができるとFields氏は述べています。「私たちは、このような才能を活かしていかなければなりません。そうすることで、国としても、そして私たち一人ひとりも、未来の現実に対応できるようになるでしょう」
スキルファースト採用に関するリソース
Accentureは、米国の主要企業のCEO 200人以上が参加する団体、ビジネスラウンドテーブルと協力し、「Bridging the Gap Between Talent and Opportunity(才能と機会のギャップを埋める)」という詳細なプレイブックを発行しました。
また、Accentureは、HR担当者が経営幹部と話す際に参照できる、実習生制度の価値提案に関するリソースガイドを作成しました。
また、米国労働省と商務省は、スキルベースの採用、昇進、人材マネジメントに関するガイド、Skills-First Hiring Starter Kit(スキルファースト採用の準備キット)を公開しています。
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