Indeed FutureWorks 2025:Adam Grantが語る、オンボーディングシステムの機能不全、従業員のバーンアウト、意外なAIの進歩

By Indeed

組織心理学者でありベストセラー作家でもあるAdam Grantが、不確実性の時代にリーダーが知っておくべき職場研究の意外な結果を解説します。

キーポイント 

  • Adam Grantは、AIのEmotional Intelligence(EQ)について自分が間違っていたことを認めており、これはリーダーにとって大きな警鐘となるでしょう。
  • リーダーは、不快であったり自分の信念に反したデータであっても、それに向き合い、テクノロジーが職場の人間関係に与える影響を再考する必要があります。
  • 採用やオンボーディングのプロセスが機能不全に陥っており、優秀な人材を逃している可能性があります。「ベストプラクティス」に固執するのではなく、変化の激しい世界で成功するために、「ベタープラクティス」による継続的な改善を続けるべきです。

たとえ自分の間違いが証明されるとしても、データを直視することを恐れないとAdam Grantは言います。 

昨年、著名な組織心理学者でありベストセラー作家でもある、Glassdoor Chief Worklife ExportのGrantは、AIが特定の人間のスキル、特に共感力に追いつくことはないと確信していると述べました。

しかし、その後の研究により、医師、カウンセラー、デート相手からチャットメッセージを受け取った人は、その発信者が人間かAIかを見分けられないという実証的なエビデンスが得られました。実際に、ニューオーリンズで開催された Indeed FutureWorks 2025でGrantが述べたように、調査の対象者は、AIとのチャットの方が「より多くのサポートを受け、より理解され、より気にかけてもらっている」と感じているのです。

この事実には居心地の悪さを感じます。人間と話す方がよいと言う人がほとんどなので、矛盾もあります。しかし、エビデンスがそれを実証したのです。 

「朗報は、発信者がAIだと伝えると、とたんに好感度が下がることです」とGrantが続け、会場から笑いが起こりました。GrantはGlassdoor PresidentのOwen Humphriesとともに登壇し、働く環境を大変革し、新たな形を作る、このような直観に反するデータや誤解について議論しました。

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面接でのひっかけ問題は、面接を受ける人よりも面接官について多くを物語る

一部の面接官は、ジャンボジェット機にゴルフボールがいくつ入るかといった回答が難しい質問を好みます。しかし、このようなひっかけ問題では応募者について何も知ることができない、とGrantは述べています。「しかし、どの面接官がナルシストでサディストかが明らかになります」と彼は言います。「冗談を言っているのではありません。信じられないかもしれませんが、これに関しては実証されています。そのような質問を投げかけるマネージャーは、人が困っている様子を見るのを楽しむタイプのマネージャーなのです」

代わりに、Grantは重要なヒューマンスキルを評価する多様でクリエイティブな方法を勧めます。たとえば、GE社のある航空機エンジン工場では、技術的なスキルがあるだけでなく、協調性も備えた整備士を採用したいと考えていました。そこでグループ面接を実施し、応募者にレゴブロックでヘリコプターを協力して組み立ててもらいました。ここで評価者は、パーツを独占する人とチームとして作業する人を観察しました。 

「リーダーは、グループを成功させる人を雇いたいと考えます」とGrantは述べています。「その場で一番になることにこだわらず、全体のレベルを上げたいと思う人です」

面接のやり直しの機会

Grantによると、米国陸軍の新しいデータでは、応募者に2回目の面接機会を与えた場合に1回目からどう変わったかを見ると、1回目の面接結果よりも正確にその人の将来性を予測できることが示されています。 

「誰にでもやり直しの機会が与えられるべきだと思います」とGrantは述べました。

彼は同様の状況を直接経験しています。キャリア初期に、Grantは営業担当者を採用する仕事に就いていました。そのとき、一見まったく場違いな履歴書を見つけたことがあります。数学専攻、趣味でロボットを作っているという内容でした。案の定、その応募者は面接では散々でした。 

面接後、Grantは社長と話をしました。「その候補者が、面接では振るわず営業に全く向いていないと社長に説明しました。アイコンタクトすら取れないのですから」とGrantは述べます。「社長は私を見て、『でも、これは電話での営業の仕事ですよね』と言ったのです」 

Grantはこの応募者を面接に呼び戻し、試験として腐ったリンゴを売るように伝えました。すると、その人はGrantを魅了しました。それは腐ったリンゴではありませんでした。よく熟し、栄養がたっぷり詰まっていました。種を蒔けば、数え切れないほどのリンゴが収穫できます。 

「私は彼を採用し、彼は全社で営業成績一位になりました」とGrantは述べました。

面接で企業文化の問題について正直になることの効果

新しい職場でのハネムーン期の反動には注意が必要です。「候補者が採用されるとき、仕事や企業文化について非常に良いイメージを持っているものです。しかし入社して数週間経つと、これは仕事であり会社なのだと気づき、思っていたほど楽しいわけでもエキサイティングでもないことを実感します」とGrantは言います。その結果、仕事に対する満足度やエンゲージメントが低下し、従業員のバーンアウトのリスクや離職の可能性が高くなります。 

Grantは、求人の課題点や企業文化における問題について話せる、ある程度の自由度を面接官に持たせることが有益だと述べています。「これには、採用の歩留まりが低下するリスクが若干ありますが、定着率は向上します」とGrantは言います。

オンボーディングの問題

「組織に人を参加させるやり方には、大きな問題があります」とGrantは述べました。「マネージャーが新入社員と初日に会うことが大切であると、シリコンバレーの企業に伝えなければならなかったことがあります。この状況を何とかできないものでしょうか」

新入社員のオンボーディングでは通常、仕事の内容や組織の価値観について学びますが、それではパフォーマンスや定着率は向上しないとGrantは言います。 

London Business Schoolの組織行動学教授Dan Cable氏の研究により、離職率を大幅に削減する、より効果的なオンボーディング手法が明らかになりました。その方法とは、自分のハイライトをまとめて共有してもらうこと(ハイライトリール)です。 

「自分のキャリア、最高の瞬間、誇りに思う学びについて考え、それを新しいマネージャーや新しいチームと共有してもらいます」とGrantは言います。そうすれば企業はどうすれば候補者の強みを活かせるかを把握し、新入社員は「入社初日から自信を持てる」ようになります。 

「静かな崩壊」はバーンアウトと同じものであり、企業文化の担い手が危険にさらされる

最近のGlassdoorのデータによると、企業が予算や人員を削減する中、従業員の間でバーンアウトに関する議論が急増しています。「多くのリーダーは、この問題に気づいていません。従業員が直面している精神的な疲弊について話せる心理的安全性を作り出していないことが、その一因です」とGrantは述べています。これを「静かな崩壊」と呼ぶ人もいますが、Grantによると、これはバーンアウトという従来からある問題の呼び方を変えたものに過ぎません。 

「バーンアウトのリスクが最も高いのは、企業文化の担い手」すなわち、企業の価値観を代表する従業員だと彼は言います。「企業文化の担い手は基本的に2つの職に就いています。彼らは自分の業務を全うしつつ、同時に膨大な時間を費やして[...]企業文化について語る、企業文化の守り手であり担い手です」そうした人材を引き留める第一歩は、誰が企業文化の担い手になっているかを他の従業員に特定してもらうことです。「同じ名前を何度も耳にすることになるでしょう」と彼は言います。「それらの人々を守る必要があります。そうした人材は昇進させることが大事です」

「ベタープラクティス」はベストプラクティスに勝る

「世界は加速度的に変化しています。ベストプラクティスの多くは、もはや存在しない世界で構築されたものです」とGrantは述べています。「すでに時代遅れな慣行かもしれませんが、私たちはそれに気づいていません」 

Grantの解決策は何でしょうか。ベストプラクティスではなくベタープラクティスに目を向け、改善や新しい研究に対してよりオープンになることです。 

Grantは、当時CEOであったLarry Page氏とともにGoogleでプロジェクトに携わったときのことを振り返りました。Page氏に対してGoogleにとっての最大の懸念事項は何か質問したところ、Page氏は同社が「企業文化の博物館」になることだと答えました。「過去の仕組みや慣行をガラスケースに入れて眺めるだけになってしまう」ことをPage氏は心配していた、とGrantは回想します。「そして(Page氏は)『ガラスケースを壊さなければならない』と言いました。私たちは既存の仕組みを破壊し、新しい慣行を構築しなければなりません」 

私たちは前例のない時代に生きていますが、賢明なリーダーであれば世界が常に変化していることを知っています。そして働き方も同様に変化する必要があるのです。

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