ナレッジワーカーのAIに対する不安を大きな力に変えるには?

By Indeed
オフィスでPCのモニターを見ている2人

ナレッジワーカーのAIに対する不安を大きな力に変えるには?

Indeed のChief EconomistであるSvenja Gudellと、Data Science担当Vice Presidentを務めるDonal McMahonによると、生成AIはナレッジワーカーの仕事を奪うのではなく、実際には生産性を高めるそうです。この記事では、生成AI時代に雇用の安定性に関する不安を緩和し、従業員が成果を発揮できる環境を整える方法を紹介します。

投稿者:Allison McLellan

キーポイント 

  • 調査によると、企業は従業員と比較して生成AIの使用への意欲が高い一方で、従業員は生成AIが自分の仕事に及ぼす影響について、依然として恐れや不安を感じていることが分かっています。
  • GudellとMcMahonは、今日の生成AIの進化を、過去の自動化技術が労働者に与えた影響と比較し、新しいテクノロジーがナレッジワーカーにとってデメリットではなく、メリットとなる可能性について説明します。
  • 管理者層は生成AIの試行錯誤を受け入れ、従業員のAIに対する不安を緩和する戦略の導入とともに、生成AIを活用して職種への付加価値を高める方法について従業員を指導する必要があります。

Indeed でChief Economistを務めるSvenja Gudellによると、生成AIの急速な進化は、ナレッジワーカーに影響を与える近年最大の技術革新であり、多くのナレッジワーカーが初めて雇用の安定性に関する不安を抱いていると言います。生成AIの導入が職場で見られるようになってから1年以上が経ちましたが、ナレッジワーカーが懸念すべき理由は今も存在するのでしょうか。

Indeed の経済研究部門、Hiring Labによる最新のレポートでは、生成AIが私たちの働き方を根本から変える一方で、人々の仕事をすべて奪い取る能力は持っていないことが分かっています。しかし、人事(HR)ソフトウェア会社のWorkdayによる研究は、企業と従業員の間には「AIへの信頼度のギャップ(AI Trust Gap)」が存在することを明らかにしました。それによると、管理者層の62%がAIを受け入れる準備ができているのに対し、従業員の数値は52%と低く、そこまで意欲的ではありません。また、従業員の4分の1が、AIが導入された場合に、勤務先が従業員よりも企業としての利益を優先するだろうと考えていることが分かりました。

では、根強いAIに対する不安を緩和するために、企業には何ができるのでしょうか。

/LEADのインタビューで、Gudellと、Indeed でData Science担当Vice Presidentを務めるDonal McMahonが、過去10年にわたる従来型AIの進化から学んだ教訓に基づき、生成AIが従業員に与える将来の影響について予測しました。この知識を活かして、自社の従業員が仕事をこなすだけでなく、活躍できるようになる方法について以下のように話します。

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生成AIと、他のタイプのAIはどこが違うのでしょうか?

Svenja Gudell:私たちとAIとの関わりは、すでに数十年に及びます。たとえば、人気のあるストリーミングアプリの映画や音楽のおすすめ機能には、AIアルゴリズムが使われています。しかし、生成AIはその名が示すとおり、コンテンツを生成するAIのサブセットです。かなり本物に近いテキストや画像、音声を生成する能力があることが、これまでのAIと違う点です。

Donal McMahon:まさにその点が、生成AIによる根本的な変革です。時間の経過とともに、AIがますます多くのことを対話で学習し、より適切な結果を出せるようになるでしょう。従来型AIと比較して、人間に対する生成AIの理解がはるかに深まっていることは明らかです。

従来型AIと比較して、生成AIは労働市場にこれまでとは異なる影響を及ぼしているのでしょうか?

Gudell:自動化による技術革新が登場したときに、最も影響を受けたと考えられるのは肉体労働による仕事です。自動化も従来型AIも、ナレッジワーカーにはそこまで大きな影響は及ぼしませんでした。

今はその状況が逆転しており、過去に自動化による影響が少なかった仕事が、生成AIによって最大の影響を受ける可能性がある仕事となります。たとえばマーケティングやHR、ソフトウェア開発の仕事をしている場合、大きな影響を受ける恐れがあります。一方で、運転手のほか医療や介護、保育業界で働く人々など、対面で行う必要がある職種は、影響を受ける可能性が低くなるでしょう。

McMahon:AIツールが幅広く利用可能になったため、ナレッジワーカー層は拡大しています。これは、求人を奪い合うナレッジワーカーにとっては恐ろしく感じるのかもしれませんが、生成AIの台頭により、ソフトウェア開発やエンジニアリングなどの分野において新しい仕事も生まれています。テクノロジーにより、これまで教育を受ける機会や、便利な高性能ツールにアクセスする機会がなかった人々にも、チャンスが広がっているということです。

将来的に確実に安定していると考えられてきた職業について、生成AIの出現により廃れる可能性はあるのでしょうか?

McMahon:将来的にも確実に安定しているような仕事は、これまでにも存在していないと思います。産業革命やインターネットなどの技術革新が良い例でしょう。時代とともに産業や仕事は常に変化してきましたが、現在は、変化のスピードがかつてないほど加速しています。生成AIは、個人としても社会としても、私たちがより多くのことを達成するのに役立つツールですが、人間の発想力のほか、互いを理解し、信頼関係を築き、適切な判断を下す人間の能力をいまだに必要としています。したがって、これは淘汰ではなく1つの進化であると言えるでしょう。

Gudell:生成AIの出現により仕事が廃れるという悲観的な見方がある理由は、過去に自動化によって影響を受けた肉体労働の仕事を思い出すためだと考えられます。同じ手順を手作業で繰り返すような職業に就いていた人々は、機械による自動化で仕事を失う可能性が高く、それに対してできることはほとんどありませんでした。しかし、生成AIの出現は、職業そのものを奪うのではなく、職務のうちの一部のスキルに影響を及ぼすことが考えられるため、過去の状況とは異なると考えています。 

私たちは、この仮説を職場での生成AIに関するHiring Labの調査で検討しました。Indeed の5500万件の求人データベースと、2,600以上のスキルを含むスキル分類を活用して、仕事で必要とされる主なスキルに関する生成AIのコンピテンシー(能力)に基づき、仕事への影響度を判定したのです。 

ほとんどのタスクについて、生成AIがこなす能力はまずまずのレベルにとどまる可能性が高く、現時点において、得意なスキルよりも不得意なスキルの方が多いことが分かりました。その結果、生成AIは職種により度合いは違うものの、多くの仕事を変化させると考えられますが、圧倒的大多数の職種において仕事を完璧にこなす能力は持っていません。実際に、生成AIがほとんどのタスクをこなせた職種は、全体の20%にすぎないことも明らかになっています。 

職場に導入された新しいテクノロジーに対して無力感を抱くのではなく、新しいスキルを身に付けて生産性を高め、職務で成果を発揮するためにテクノロジーを活用しましょう。たとえ自分の仕事に影響が及んだとしても、やがてそのテクノロジーが自分にとっても役立つものになるかもしれません。また、企業側は、自社のチームがテクノロジーを活用する方法を学べるようサポートする必要があります。

キャプション:仕事で必要とされる主なスキルに関する生成AIのコンピテンシーを評価するHiring Labの調査では、大多数の職種において、生成AIは仕事を完璧にこなす能力を持たないことが分かっています。

代替テキスト:「生成AIの影響を受けやすい仕事は20%未満」というタイトルの棒グラフ。縦軸に0%~50%の値を取り、横軸は影響の受けやすさを高度から低度の範囲で表し、19.5%の仕事は生成AIの影響の受けやすさが高度、45.7%は中程度、34.6%は低度であることを示しています。

生成AIがさらに普及する5~10年後に、労働市場や採用活動がどうなっているかについて、未来をどのように予測していますか?

McMahon:Indeed のデータ内にすでに表れているパターンを見ると、生成AIによって採用活動にかかる時間は短縮されると思います。Indeed が候補者と求人のマッチングを行う場合、生成AIは求職者と採用企業への理解度を高めることができ、これまで以上に迅速かつ適切に求人のマッチングを提供できるようになります。

履歴書は応募者のスキルや経験、そして職務にもたらす価値のすべてを反映していないため、より適切なマッチングのためには履歴書を超えた理解が必要です。同様に、求人内容も、仕事で成功するために従業員が必要とするすべてを記載してはいません。
AIが進化し、能力に基づいて適切な求人のマッチングを行い、スキルファースト(資格や職歴よりもスキルを重視する)採用支援することで、履歴書も時代遅れとなる可能性があります。

Gudell:過去のAIや自動化以上に、生成AIによって私たちは働き方の調整を余儀なくされ、活動的な従業員が増えるかもしれません。また、日常業務にAIツールを効果的に取り入れる方法を学ぶ必要もありますが、生成AIはその方法を見出す際にも役立つでしょう。

ただし、生成AIの影響をいつ実感し始めるかについては、私たちの見方が楽観的すぎる可能性もあると思います。このテクノロジーはまだ発展途上で、今後30年にわたって生成AIとAIにできることは大きく飛躍することが予想されます。

生成AIテクノロジーの予想される発展に備えるため、現段階で企業やHR担当者に何ができるのでしょうか?

Gudell:生成AIが仕事をすべて奪い去るとは考えませんが、生成AIの使い方を理解している人が、理解していない人から仕事を奪うようになるでしょう。したがって、企業側がAIに関するスキルアップの手段を提供することが非常に重要です。

生成AIはまだ新しいものなので、個人的にも大規模にも、試行錯誤を受け入れるよう全員にお勧めします。正式に実施しない場合でも、何らかのルールは設定する必要があります。また、現行の生成AIはかなり高額であり、最新のツールを使わなければならないというプレッシャーを感じないことが大切です。自社の既存のワークフロー内でうまく機能するのは何か、見極めると良いでしょう。

McMahon:管理者層は模範となる必要があります。生成AIの開発について最新情報を把握し、従業員に与える影響について前向きな見通しを伝えることで、従業員もみならうようになります。

どのような企業や組織でも、変革をもたらす従業員を特定し、維持することが成功の鍵となります。管理職は、生成AIのテクノロジーを活用して職務に明確な価値を付加する方法について、従業員と話し合うことが重要です。こうした率直な話し合いによって信頼関係を構築し、組織内でのAI導入について相互に理解することが可能になります。

AIを取り入れる際にさらに重要なのは、特にHRの分野では、自分自身や自社の従業員がもたらす人間特有の価値観を決して見失わないことです。
Gudell:結局のところ、生成AIはある意味、かなり人間主体だと言えます。生成AIだけで機能するのではなく人間によるプロンプト(指示文)が必要であり、人間味が必要とされています。

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