「求人情報に給与を明示しない、候補者の学歴ばかりを重視する、職歴に空白期間がないかを気にかける…。そうした企業は、スキルが高い多様な人材を取り逃しています」。Indeed FutureWorks 2022の基調講演で、Indeed のエグゼクティブバイスプレジデント 兼 ゼネラルマネージャー のMaggie Hulceは、このように述べました。


会場の様子

21世紀に働く人々は、人生経験や、職場へ求めるものがこれまでとは劇的に変化しています。

10月12日、13日にニューヨーク市のJavits Centerで開かれた Indeed の ソートリーダーシップカンファレンスでは、このテーマが繰り返し話題になり、10か国以上から、オンラインや対面でセッションに参加した多様な職務につく人が、働き方の未来やその人材を取り巻く状況への影響について話し合いました。

対面でのFutureWorksへの参加者は、会場全体に設置されたインタラクティブなインスタレーションを通じて、これらのテーマに今までにない方法で向き合いました。

インスタレーションは、給与の透明性や人材不足といった緊急性の高いさまざまな採用の問題について深く考えるきっかけとなるものでした。Indeed がこのような複雑な課題をどう提示したのかや、それに対する参加者の反応を紹介します。

賃金の平等カフェ:「給与の透明性について考えよう」

 

FutureWorksの会場で提供されたコーヒーには、カップの紙スリーブの色に、白、ラベンダー、青があり、参加者はいずれかから選ぶことができました。そして、それぞれの色のスリーブには給与の透明性に関する質問が、挑発的に書かれていました。

- 「Does talking about salary make you feel like you’re in hot water?(給与について話すときは気まずくなりますか?)」 

- 「Does your company post salary ranges on job searches? Spill the tea(あなたの会社は求人検索で給与情報を提示していますか。ぜひ教えて!)」 

- 「On a scale of water to coffee, how transparent is your company about pay?(水からコーヒーまでの色の具合で表すと、給与に関するあなたの会社の透明性はどの程度ですか?)」 

ちょっとしたカップの飾りが、これまではタブー視されてきた「給与」の話題について、議論するきっかけを作りました。給与の透明性は、今では企業が向き合わなければならない話題です。Indeed の調査によると、求人投稿に給与幅が示されている場合、求職者の75%においてその求人に応募する可能性が高まることがわかっています。 

Infosysの人材獲得マネージャー、Carrie Wallace氏は「私の会社はとても透明性が高いです。求人では経験とスキルを重視しており、給与についても魅力的な水準を維持しています。給与を掲載しておくと人材を獲得しやすくなります」と話しました。

「賃金の平等カフェ」では、男女間の給与の公平性についても活発に議論されました。

米国の女性の賃金は、依然として男性1ドルに対して約82セントの水準です。Custom Staffing Incorporatedで執行担当バイスプレジデントを務めるLiz Mercado氏は、カプチーノを飲みながらこう話ました。「女性として、男性の同僚と同等の賃金を望んでいます。会社が私たちは家族だと言うなら、それを証明してほしい。透明性を示してほしい」

同一賃金カフェで使用されたカップ
Custom Staffing, Inc.のデリバリーマネージャーを務めるDavid Dresser氏は次のように述べています。「今日の求人市場では、求職者の声がより重要視されるようになっています。企業は給与を提示する必要があります。そうしないと、応募は集まりません。最初は消極的なクライアントもいましたが、給与の提示を推奨しています。」

最近の米国の州法では、さまざまなレベルで給与の透明性を求めています。そして給与の透明性に対する採用企業の考えは、Indeedの調査からわかるように非常に好意的なものになっています。Indeed では2018年以来、自社の求人に給与幅を記載し、給与の透明性確保に取り組んできました。

Select Medicalのマーケットリクルーターを務めるEmily Sauder氏はこう言います。「当社では、Indeed の取り組みに呼応して透明性の維持に努めてきました。情報を開示することにより、求職者がすばやく決断し、納得のいく職につける可能性が高いため、Candidate Experience(候補者体験)は向上しています。満足度の高い従業員は長く職場に留まります。この状況は私たちにとっても喜ばしいことです。これらすべての起点になっているのが、応募プロセスなのです」

人材プールの拡張:「完璧な経歴の人ばかりだとは限らない」

会場内のTeamWorksエリアの近くには小さなステージがあり、LEDで投影された鯉が泳いでいました。このステージは現在の人材プールを表していて、ステージに上がると、足元をわずか数匹の鯉が泳いでいます。ある地点まで来ると、採用を妨げるよくあるフィルター(学歴、非の打ちどころのない身元調査の結果、職歴に空白期間のない履歴書)が消え、鯉の数が増えて、うろこが光を放ちます。 

Tata Consultancy Servicesのリクルーターを務めるMichael Juta氏はステージを降りてから、次のように述べました。「私は履歴書の空白期間について質問しないようにしています。パンデミック以降は、特にそうしています。多くの人が個人的な理由で仕事を辞めたからです。つらい時期でしたが、私たちはこの状況を皆で乗り越えてきました。そのことを認めなければなりません」

ソーシャルメディアマネージャーのJulie Kemper氏は多くのアメリカ人が犯罪歴を持つことに驚きつつも、このように言っています。「はっきりわかるのは、人々が抱えている困難な状況について私が無知だったということです。経歴に傷がない人ばかりではないという現実を直視すべきです。社会の状況を受け入れる必要があります」

会場内に設置された小さなステージ
DoorDashの採用担当者を務めるJavier Lopez氏はこう言います。「犯罪歴のある人が採用されるよう努めたいと考えています。長い回り道が必要なことも多いですが、Indeed のサポートにより、状況は大きく改善しています。私は履歴書よりも、他の仕事に応用できるスキルを重視しています」

厳格な採用要件にこだわることで採用企業が失うものは何でしょうか。10人のうち9人には職歴に空白期間があり、米国の人材の約3分の2は大卒の資格を持っていません。そのような人たちは、すぐに人材プールから除外されてしまいます。

SuccessKitの創業者であるJulian Lumpkin氏はこう述べています。「当社は大卒の資格のない人や、犯罪歴のある人も採用しています。社会的な観点から見ても、求人市場からこのような求職者を除外しないことは重要です。私たちとしても、自社の仕事とは無関係なことのために人材を逃すことは、本意ではありません」

以上、ニューヨークで行われたIndeed FutureWorks 2022で話題になったインスタレーションを紹介しました。

この記事は米国版 Indeed LEADから翻訳・編集しました。

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