採用面接では、基本的人権を尊重しない質問、応募者の適性や能力に関係のない質問はしてはいけないというガイドラインがあります。では、奨学金に関する質問はNGなのでしょうか。 うたしろFP社労士事務所の社会保険労務士、歌代将也さんが解説します。
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求人を作成する奨学金の有無に関して、面接で質問してもいい?
採用面接を行う際の大原則は、「応募者の基本的人権を尊重すること」「応募者の適性・能力に基づいて行うこと」です。これは、厚生労働省の「公正な採用選考の基本」というガイドラインのなかで示されています。つまり、基本的人権を尊重しない質問、応募者の適性や能力に関係のない質問は避けるべきということです。
奨学金に関する質問がこの「避けるべき質問」に当てはまるかどうかについては、聞き方や質問をする目的次第だと言えます。
たとえば、先述の厚生労働省のガイドラインでは、「家族に関すること(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)」の質問は、本人に責任のない事項の把握に当てはまり、「採用選考時に配慮すべき事項」として挙げられています。
もしも、応募者の家族の収入や資産などを把握する目的で、面接時に奨学金について質問するような場合は、「配慮すべき事項=避けるべき質問」として捉えることができます。
一方で、応募者から「自分は苦学生で、アルバイトと勉強を両立させてがんばってきました」といった自己紹介があったことに対して、流れで奨学金について質問する場合は、応募者の特性をより深く知るためのものであり、問題にはならないと考えられます。
また、企業が福利厚生の1つとして、奨学金の一部または全部を代理で返還する「奨学金返還支援(代理返還)制度」などの制度がある場合に、その説明をするなかで奨学金の有無について質問することも問題ないでしょう。
面接時のNG質問として注意すべき事項は?
厚生労働省のガイドラインでは、具体的には、以下のような項目が「採用選考時に配慮すべき事項」として挙げられています。
● 本人に責任のない事項の把握
- 本籍・出生地に関すること
- 家族に関すること(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)
- 住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近郊の施設など)
- 生活環境・家庭環境などに関すること
● 本来自由であるべき事項(思想信条にかかわること)の把握
- 宗教に関すること
- 支持政党に関すること
- 人生観、生活信条に関すること
- 尊敬する人物に関すること
- 思想に関すること
- 労働組合に関する情報(加入状況や活動歴など)、学生運動など社会運動に関すること
- 購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること
● 採用選考の方法
- 身元調査などの実施
- 合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施
しかし、奨学金に関する質問でも、NGと捉えられる場合もあれば、問題がない場合もあるように、全ての質問をこの規則に当てはめて判断するのは難しいと言えます。
たとえば、兄弟姉妹などの家族構成や家族のなかで担っている役割の話から、応募者の適性を把握できることもあるでしょう。
また、応募者がどういう働き方や生き方を望んでいるかという質問は、「本来自由であるべき事項の把握」に当てはまるようにも見えますが、この先一緒に働いていくための適性、会社との相性を把握するために必要な質問と捉えることができます。
面接の質問で失敗しないために気をつけたいポイント
「避けるべき質問」に当てはまるかどうかで迷った場合は、「差別を引き起こす質問になっていないか」「適性・能力を把握するための質問になっているか」の2点をしっかりと確認しておきましょう。そして、仮に微妙な質問をしてしまった場合も、「適性・能力と関係のない事柄で、採否を決定しない」ということが大切です。
奨学金の有無も、適性・能力と関係のない事柄です。質問する場合には意図を明確にして、応募者に「奨学金を利用していると採用されにくいのだろうか」と疑問や不安を与えないよう心がけましょう。
※記事内で取り上げた法令は2022年6月時点のものです。
<取材先>
うたしろFP社労士事務所 社会保険労務士 歌代将也
TEXT:武田明子
EDITING:Indeed Japan + ミノシマタカコ + ノオト

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