2022年10月中旬、ニューヨーク市・マンハッタンのJavits Centerで行われたIndeed FutureWorks 2022のメインセッションには、俳優で起業家の Ryan Reynolds氏が登壇。数百人が参加したセッションで、同氏は「皆さんが一丸となれば、海の潮のように大きな物事を動かす力があります。今こそ、その力を使うときです」と語りかけました。


 Indeed の最高マーケティング責任者(Chief Marketing Officer)のJessica Jensenとのセッションで、Reynolds氏は、求職者や採用企業へのアドバイスとして、自身が30年間、ハリウッドでどのように自信喪失と闘ってきたかについても触れました。

1990年代の連続ホームコメディー『ふたりの男とひとりの女』の役で話題となっていた際、Reynolds氏は今となっては恥ずべき言動をとっており、それが演技の妨げとなっていたと言います。

Reynolds氏はある日、そのことについて番組の共同制作者のDanny Jacobson氏に呼ばれ、「自分を良く見せようと、人を貶めるのは良くない」とたしなめられました。Reynolds氏はその助言を受け止め、同じ過ちを繰り返すことはなかったと話しました。

この経験からReynolds氏は、「誰かを貶めず、全ての人が上昇すれば、海の潮が満潮になってあらゆる船を持ち上げるように、大きな物事を動かす力となります…。皆さんにも、潮のように大きな力があるのです。今こそ、その力を使うときです」と、参加者に語りかけました。

以来、Reynolds氏は自信と共感を大切にしながら、リーダーとしての資質を高めてきました。2018年には自身の制作会社Maximum Effortを立ち上げ、勇敢さ、大胆さを奨励する職場を目指しました。また、あらゆる文化に歩調を合わせ、品位とアイディアを尊重するよう努めました。

Reynolds氏は人材採用において、履歴書のチェックリストを重視しないと言います。「私たちの生きる世界では、ますますゲーミフィケーションが進んでいます。私たちは、自分が勝利を収めるため、他の人を圧倒して、打ちのめそうとする本能があると思います。一瞬でもその本能を抑え、人について学ぼうという気持ちに変えられるかどうか。それが文字通り私の人生のすべての側面を変えたリーダーシップの価値です」とReynolds氏は言います。

このセッションでは、ほかのさまざまなプレゼンターも登壇し、今日の雇用状況、仕事の未来、従業員のウェルビーイングに関して20件以上のプレゼンやセッションが実施されました。

今年のプレゼンターの多くは、職場や採用活動で人間らしさを重視することに注目しており、このイベントには特筆すべき瞬間が何度もありました。求職者、従業員、採用企業が注目した賞賛すべきハイライトを、5つご紹介します。

これからの「仕事」は変わりつつあります。あなたも、変わる時です。

Indeed の LaFawn Davis
「私は14歳のときから働いており、学位は持っていません。人材採用における障壁についてよくわかっているからこそ、この仕事は私にとってとても重要なのです」と Indeed のシニアバイスプレジデント ESG担当(SVP of ESG)のLaFawn Davisが、スキルを重視した採用の重要性に関するセッションで聴衆に語ります。

労働および採用市場は急速に変化しています。FutureWorks 2022全体を通して、Indeed のエグゼクティブは大きなトレンドや小さなトレンドに対応するための助言とベストプラクティスを提示しました。

たとえば、Indeed のChief EconomistであるSvenja Gudellはこう言います。「米国では、失業者1人に対して1.7件の求人があります。これはかつてないことです」。こうした状況のなか、採用企業は人材獲得競争をどのように勝ち抜いていけるのでしょうか。Gudellは、「見過ごされている人材プール」に目を向けることだと話します。

同様に、Indeed のシニアバイスプレジデント ESG担当(SVP of ESG)を務めるLaFawn Davisも、従来の型にはまらない採用活動の実施が絶対不可欠であると言います。つまり、犯罪歴、高等学校卒業資格、障がいに関する障壁を取り除く必要があるということです。 

Davisは、「仕事を取り巻く状況は根本的に様変わりしており、採用企業がそうした状況に対応していくには、過小評価され、採用されていない人材を探し、受け入れることが必要です。そうした人材には、雇用に関する従来の障壁に直面している求職者も含まれます」と話します。たとえば、The Sentencing Projectによると犯罪歴のある従業員は定着率が高いというデータがあるにもかかわらず、犯罪歴のある求職者のうち60%は出所してから1年以上の間、職につくことができません。 

さらに、Davisが示した驚くべき統計データの1つを紹介します。Indeed Hiring Labによると「公平、機会、雇用」という言葉を使った求人検索の割合は昨年5月以降、45%上昇しています。Davisは言います。「人々は差別から抜け出す道を模索しています。帰属と尊重を求めています。今こそ、あらゆる人のために仕事を再構築する必要があります。仕事の未来を形作るために、まずは私たちが行動を起こしましょう」

また、採用された人は、新しい職場において歓迎されていると実感できなければなりません。Indeed の最高人材責任者(Chief People Officer)を務めるPriscilla Korantengが言うように、職場でのウェルビーイングの優先はあらゆる企業で成功の究極の尺度となりつつあります。

Korantengはこう言います。「職場で満足感を得ている人は、自分のことを幸せであると感じます。90%の人は職場で自分が抱く感情がとても重要だと考えています。職場でのウェルビーイングの促進は、収入や利益と同じぐらい重要なことなのです」 。

今こそCandidate Experience(候補者体験)を考え直すとき

Indeed のエグゼクティブバイスプレジデント、Maggie Hulce
Indeed のエグゼクティブバイスプレジデント(EVP)を務めるMaggie Hulceは一般的な応募プロセスを評価するために50件の求人に応募しましたが、40%以上の採用企業から回答がありませんでした。「がっかりしたと同時に、大きな驚きでした」

「質の低い候補者体験の代償は高くつきます」と Indeed のエグゼクティブバイスプレジデント 兼 ゼネラルマネージャー エンタープライズ担当(VP and GM for enterprise)のMaggie Hulceは語ります。

求職者の72%は企業とのネガティブな経験を他者と共有し(Indeed 調べ)、64%は採用プロセスに失望させられた企業の商品を購入しなくなる可能性が高くなります。さらに、応募者の不満は昨年75%増加し、この10年で最大の増加となっています。 

Hulceは一般的な応募プロセスを身を持って評価するために、50件の求人に応募しました。結果、40%以上の採用企業から回答がなく、「とてもがっかりしたと同時に、とても驚きました」と述べています。

「何年も前から、候補者体験の質が低いと、採用活動のコストが増加し、売り上げにも響く可能性があることはわかっていました。そのため Indeed では採用プロセスの無駄を極力排除すると同時に、候補者体験の問題点を改善するよう努めています」 

「採用プロセスが複雑で時間がかかる場合、人材を獲得できないのは確実でしょう」とHulceは続けます。2023年に Indeed は多くの市場でクリック課金型(PPC)モデルから応募開始ごとの課金(PPSA)および応募に対する成果報酬型課金(PPA)モデルに移行する計画であると発表すると(日本導入未定)、会場は拍手に包まれました。

目標は、採用プロセスを合理化し、それにより求職者の満足度を高め、採用活動を効率化し、結果的に採用活動のコストを抑えられるように、企業を支援することです。最終的に、求職者にも採用企業にもメリットが生まれます。

「私たちは企業が支出と目標を一致させたときに驚くべき成果が得られるのを見てきました。私たちの究極の望みは、採用件数をできる限り増やすことです」

インプロ(即興演劇)は仕事にも有効

Jason Sudeikis氏
コメディアンで俳優のJason Sudeikis氏は Indeed の最高マーケティング責任者(CMO)であるJessica Jensenに、キャリア初期に演じたインプロ(即興演劇)が管理者としての土台を築く上でどう役立っているかを話しました。

Jensenとのオンラインでの会話で、コメディアンで俳優のJason Sudeikis氏はキャリア初期に演じたインプロが、後に管理者としての土台を築く上でどう役立っているかを話しました。Sudeikis氏は一般的な演技法を包括的チームビルディングに適用しました。「よく耳を傾けることが必要です」と、Sudeikis氏は言います。『サタデーナイトライブ』でのアンサンブルプレイヤーとしての経験から、Sudeikis氏はチームメイトに権限を与えることの重要性も学びました。

『サタデーナイトライブ』を離れ、映画における目覚ましいキャリアを築いた後、Sudeikis氏はエミー賞を受賞した大人気コメディードラマ『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』の企画、制作、主演を務める機会を得ました。Sudeikis氏はインプロで培ったリーダーシップとチームワークのスキルを巨大な予算のハリウッド作品の監督業に応用しました。Sudeikis氏はこう言います。「人に任せ、権限を与えることに慣れましょう。自分の考えの奥にある意図を伝え、それをもとに動いてもらうのです」

概して、チームを基本としたクリエイティブなプロセスは大規模に発展していくことがあります。Sudeikis氏はこう言います。「小さな制作室の中で番組の脚本を書き、その脚本を優れたソートリーダーに渡し、フィードバックを受けるのは興味深いことでした。インプロのクラスに戻った気分です」。インプロのグループでは全員の意見がグループの成功に不可欠です。

観客の前でその場の題材を盛り込んだインプロを披露するAneesa Folds氏
Aneesa Folds氏(別名Young Nees、中央)は観客の前でその場の題材を盛り込んだインプロを披露しました。「さあ皆さん、次は私の番 / ここはJacob Javits Center / そう Indeed / 皆さんを満足させるのが私たちの役割 / さあ皆さん、始めるわよ / ビヨンセが私に仕事を辞めろって / 冗談でしょ? / 向こうは超リッチ / だから答えはノー」

インプロと言えば、Lin-Manuel Miranda氏が結成した即興のヒップホップコメディーグループFLS+のメンバーがサプライズで登場し、FutureWorksの参加者にテーマを提案してもらい、フリースタイルの即興パフォーマンスを披露しました。テーマはもちろん、仕事です。

男女の賃金格差の解消には、全業界の支援が必要

Indeed のJessica Jensen、Girls Who Codeの創設者のReshma Saujani氏、プロデューサーのLena Waithe氏、NFLコーチのDr. Jen Welterが議論をする様子
Indeed の最高マーケティング責任者(CMO)のJessica Jensen、Girls Who Codeの創設者のReshma Saujani氏、プロデューサーのLena Waithe氏、NFLコーチのDr. Jen Welterによる「給与水準の均等化」での賃金の格差に関する議論

パンデミック中、女性は世界中の職場で8000億米ドルを失いましたが、賃金格差はパンデミックよりはるか前から存在しています。ハリウッドのプロデューサーのLena Waithe氏、NFLコーチのDr. Jen Welter、Girls Who CodeとMarshall Plan for Momsの創設者のReshma Saujani氏は、Jensenがホストを務めるライブパネルで女性の「給与水準」の均等化の必要性について話し合いました。3人の女性は、女性のために公平な仕事の未来を実現するための考えをシェアしました。

「私のような有色人種の少女、移民の少女、難民の娘がコンピュータプログラミングの職を得ることができたら、その家族全員が中流階級の仲間入りができることを私はわかっていました」とSaujani氏は言います。「わが国は手ごろな料金の保育制度が整備されておらず、有給の産休がなく、母親であることを理由に女性が不利益を被る唯一の先進工業国です。米国のワーキングマザーは、男性が1ドルの収入を得る間に58セントの収入しか得ることができません」 

Waithe氏は次のように言います。「私は橋の役目を果たしたいと思っています。ハリウッドは社会を映す鏡であり、今の社会についてのストーリーが語られる場です。私のロールモデルはウーピー・ゴールドバーグでした。私も誰かにとってのロールモデルになれたら、と願っています」 

Dr. Welterが初の女性コーチとしてアリゾナ・カーディナルスに着任したのは2015年のこと。それまで、NFLは1920年の設立時から一貫して男性社会で、女性コーチの誕生は、リーグ設立から100年近くが経過した後でした。

Dr. Welter自身、当初は「女性のすることではない」という理由で最初のコーチ職を辞退するところでしたが、今はこう述べています。「初ということは、唯一という意味です。今は、初の女性コーチとして、私が最後の女性コーチにならないようにしたいと思っています」

Great Place to WorkのCEOのMichael C. Bush氏は、Indeed のタレントストラテジーアドバイザー(Talent Strategy Advisor)のKyle M.Kと、職場における公平性、インクルージョン、幸福について語りました。

採用活動に新しいモデルを

Indeed の最高経営責任者(Chief Executive Officer)のChris Hyams
Indeed の最高経営責任者(Chief Executive Officer)のChris Hyamsは基調講演で、技術の進歩が求人市場にどう影響しうるかについて話しました。「シリコンバレーの人は創造的破壊は好ましいものだと言いますが、自分の仕事が破壊され、奪われてしまった人にとっては好ましいものではありません」

「人材はどこでも確保できますが、良い機会はどこでにもあるわけではありません」と Indeed の最高経営責任者(Chief Executive Officer)のChris Hyamsは基調講演で述べました。家族や健康と同様に、仕事が人生でいかに重要な要素かについても述べました。人は仕事によって誇りや尊厳を持ち、仕事に人生の目的を見出しています。根本的に、仕事を理解することは人を理解することでもあります。

採用プロセスの障壁を取り除くには、新しい採用活動のモデルが必要です。Hyamsは Indeed が採用活動で大事にしている3つの信条に触れました。データに基づいて世界の傾向を予測すること、求人を関連性の高いスキルを持つ人材の目に留まりやすくし、採用に至るまでの時間を短縮すること、採用企業と応募者のコミュニケーションプロセスを合理化することです。つまり採用活動をよりシンプルに、よりスピーディーに、より人間らしくすることです。

以上、ニューヨークで行われたIndeed FutureWorks 2022のメインセッションのハイライトをお届けしました。

この記事は米国版 Indeed LEADから翻訳・編集しました。

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