医療人材の定着率改善は、採用ではなく「システムの再設計」から始まる

By Indeed

医療従事者は仕事への情熱を失ったわけではありません。仕事の構造に合わせられなくなってきたのです。業界リーダーたちは、この職業が「続ける価値のあるもの」になるよう、どう取り組んでいるのでしょうか。

キーポイント

  • 医療従事者の離職を招いているのは燃え尽き症候群と過労で、目的意識や情熱の欠如が原因ではありません。
  • 定着率の改善は、従業員に対する説得ではなく、従業員を支えるシステムの再設計から始まります。
  • 人材獲得や人事部門のリーダーたちは、採用やオンボーディングの段階から職場のウェルビーイングを改善することで、信頼と安定性を再構築できます。

米国最大の雇用を提供する業界が限界点に達しつつあります。Indeed の「2025 Pulse of Healthcare Report(医療業界の動向レポート)」*によると、医療従事者の5人に2人が自分の仕事は長く続けられないと感じており、4人に1人は医療業界から完全に離れることを検討しています。そしてその内約6割が、すでに転職活動を行っています。かつて離職率として捉えられていた課題が、今やこのキャリアが持続可能かを問う危機的状況となっているのです。

Indeed は、従業員たちが抱える持続可能性に関する危機の根本原因をより深く理解するため、Pulse of Healthcare(医療業界の動向) 調査を開始しました。転職に関心のある米国の医療従事者900人以上を対象とした調査に基づき、このレポートでは離職率を高める要因と、医療システムの安定化に役立つ対策を検証しています。

このレポートによると、医療従事者の需要はパンデミック前の水準より3分の1高いまま維持されていますが、医療システムの中核を担う人々は職場に留まることに苦労しています。雇用主から十分なサポートを受けていると感じているのは5人に1人のみで、半数近くが現在の職務で疲弊していると回答しています。

しかし、やりがいが失われたわけではありません。患者との関係は、医療従事者にとって最も大きな充実感の源であり続けています。情熱はまだあります。問題は仕事の構造にあるのです。

Pulse of Healthcareレポートの以下の洞察では、医療従事者が最も必要としているものと、雇用主がより持続可能な労働環境を構築する方法について探ります。

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プレッシャーにさらされるシステム

医療業界では長い間、過重労働が「献身」と混同され、それが評価されてきました。慢性的な人員不足、膨大な事務作業、限られたキャリアップの機会などを原因として、多くの労働者がこの分野の将来に疑問を抱いています。不満の主な原因としては、40%が報酬、36%が人員配置、33%が成長機会を挙げています。医療従事者は勤務時間中の43%で人手不足を感じており、患者ケアや学習、体力回復に向けるエネルギーがほとんど残らないと述べています。

Indeed の職場のウェルビーイングスコアによると、職場のウェルビーイングは2020年4月にピークに達しました。

医療従事者のウェルビーイングは、新型コロナウイルス感染症のパンデミック期間中に一時的にピークに達しました。2020年4月、従業員はかつてないほど高く評価されていると感じました。人々は公の場で彼らを応援し、マネジャーはサポートを提供し、強い目的意識が仕事の原動力となりましたが、その感謝はすぐに薄れていきました。拍手喝采が終わったのち、パンデミック前から存在していた亀裂がまた広がったのです。システムは完全に回復することはなく、それを支えていた多くの人々も同様に回復しませんでした。

過重労働は人員配置の問題だけでなく、持続可能性の問題でもあります。企業が過重労働に対して残業代や称賛で報いると、燃え尽き症候群を助長するサイクルが生まれます。その結果、経験豊富なプロフェッショナルが新人の参入を上回る速さで退職することになり、労働力が縮小していきます。この組織的知識の喪失は、患者ケアや従業員の士気、医療機関全体の安定性に影響を与えます。

医療人材の定着につながる「仕事の再設計」 

医療人材の定着とは、「働き続けたいと思える仕事」にすることですが、この取り組みは初出勤の日よりずっと前から始めなければなりません。組織の価値観を伝える求人から、今後の方向性を決めるオンボーディング体験まで、あらゆる接点が組織に対する医療従事者の印象を左右します。 

しかし多くの場合、求人では「レジリエンス(回復力)」「マルチタスク」「ペースが速い環境」などが強調され、まるで燃え尽き症候群になるのも仕事の一部であるかのように示唆されています。一方で、サポート体制やメンターシップ、チームワークを重視した求人では、従業員のウェルビーイングを大切にしていることが候補者に伝わります。

Indeed の2025年医療業界レポートによると、医療従事者の3人に2人が現在の仕事に満足していません。一方、満足している人は、サポートしてくれるチームと人間的なつながりがあることを、現在の職場にとどまる最大の理由として挙げています。

言い換えれば、ビロンギング(自分の居場所があると感じられること)こそが新たなメリットなのです。

ビロンギングこそが新たなメリット 

医療機関がビロンギングへの投資を行うことで、どんなに困難な勤務シフトでも乗り越えられる信頼関係とつながりを築けます。同僚やリーダーとのつながりを感じている従業員は、業務が厳しくてもその職場に留まる可能性が高くなります。

人間中心の設計を通じた共通認識の構築

医療ケアの提供という共通の使命を持っているにもかかわらず、医療機関の雇用主と従業員では、優先事項が異なることがよくあります。共通認識の構築は従業員の声に耳を傾けることから始まります。企業のリーダーが信じていることを確認するためではなく、従業員が実際に経験していることを理解するためです。

ニューオーリンズで開催された Indeed FutureWorks 2025* では、人材獲得および人事のプロを招き、職場のウェルビーイングに関するインタラクティブな体験型セッションに参加してもらいました。そして参加者の皆さんに、人材の獲得からオンボーディングまで、候補者と従業員の体験のさまざまな段階でウェルビーイングを向上させるために、自分の組織で実行できる「小さな変化」を1つ挙げるようお願いしました。 

その後に続く会話で、1つの共通したテーマが浮かび上がりました。それは、医療業界において人材を定着させる最大の機会は、さり気ない人間的な配慮から始まるということです。

特に以下の4つの重要なテーマが際立っていました。

人間中心の採用活動

参加者は、幸福感と目的意識は第一印象から始まるという点で一致しました。多くの人が、ビロンギングやチームワーク、価値観を反映するよう求人や採用ページの見直しを推奨しています。また、マネジャーによる歓迎の電話や職場の一日を紹介する動画を提案する人もありました。採用プロセスに人間味を加えることで、応募者が応募前に自分がその職場で働く姿をイメージしやすくなるのです。

実践における目的意識

調査対象となった医療従事者の半数が、患者との関係を仕事満足度の最大の源として挙げています。Indeed FutureWorks 2025に参加したリーダーたちは、実際の患者の体験談、ミッション重視のオンボーディング、部門横断的なシャドーイング(実地研修)を通じて、自分の仕事と患者の治療成果を結びつけるシンプルな方法を紹介しました。このような瞬間は、従業員が医療分野を選んだ理由を再認識し、新たな目的意識を呼び起こすのに役立ちます。 

予測可能性とサポート 

安定性を通じてストレスを軽減することに焦点を当てたアイデアが多く出されました。例えば、一貫した勤務スケジュールの提供、シフト変更の早期通知、90日間の同僚によるメンターシップ制度などです。予測可能な働き方を提供することで、不安を和らげ、従業員の仕事以外の生活への敬意を示すことができます。 

データもこれを裏付けています。医療従事者は、仕事の満足度を高める要因として、一定で予測可能な勤務時間(41%)、休暇の取りやすさ(36%)、勤務スケジュールの柔軟性と自由度(33%)を上位に挙げています。また、10人中6人以上が、十分な人員配置があれば、休暇を取れるようになり、患者とより多くの時間を過ごせると回答しています。

心理的安全性

人々は安心して発言できる職場にとどまります。参加者は、感情面の定期チェック、燃え尽き症候群予備軍を検知するためのマネジャー研修、匿名の「パルス(短いアンケートなどを頻繁に行う)」調査と、その後の具体的な行動を提案しました。フィードバックが変化につながることで、ウェルビーイングは単なる流行語から実体験へと変わります。レポートによると、70%以上の人が、フィードバックを集計して終わりではなく、これをもとに経営陣が行動することで労働条件が改善されると回答しており、これが職場改善の最大の要因となっています。

どのアイデアにも共通する点がありました。それは、従業員の定着は、日々の心配りから生まれるということです。雇用主と従業員が協力してより良いシステムを構築し、リーダーシップが従業員の洞察に基づいて行動することで、職場のウェルビーイングは単なる方針ではなく、企業文化の一部となります。

医療従事者の燃え尽き症候群からビロンギングの醸成へ

医療従事者の定着率向上には構造的な変化が必要ですが、大規模な戦略に頼る必要はありません。それは日々の選択を通じて築かれます。偏見なく部下の話に耳を傾けるマネジャー、柔軟性を体現する同僚、スピードよりも持続可能性を重視した求人を作成するリクルーターなどです。こうした瞬間が信頼を築き、信頼が定着につながります。

人材部門のリーダーには、ウェルビーイングと効率性の両方をサポートするシステムを設計することで、医療ケアの未来を形作る力が備わっています。これにより、医療従事者は自分自身を犠牲にすることなく、他者を助けられるようになります。人間的なつながり、専門的なサポート、バランスの取れた業務量などの要素を優先することで、危機をつながりへと変えられます。

医療業界では、「人々が留まりたいかどうか」ではなく、「彼らに留まる理由を提供できるかどうか」が問われているのです。

この情報は、Indeed が本サイトのユーザーに参考情報として提供しているものです。Indeed は、貴社の採用担当者や法務アドバイザーではなく、求人内容について責任を負うものではありません。また、本サイトに掲載されている情報は、成果を保証するものではありません。

*リンク先の記事は米国の情報源からのものです。日本に特化していない情報、データ、事例が含まれている場合があります。

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