地方で若い世代が活躍できる職場をつくる 株式会社ヒダカラの取り組み

By Indeed

日本有数の豪雪地帯であり、古い街並みや豊かな自然が観光地としても人気を集める岐阜県飛騨市。一方で、少子化や若い世代の転出により人口減少が他の地域よりも早く進み、特に生産年齢人口の減少が深刻な地域でもあります。

そんな中、飛騨市の株式会社ヒダカラには20代・30代の若い世代が相次いで入社し、2020年の事業開始から約2年で社員数は18名と急増しています。労働力不足が叫ばれる地方都市で、企業の成長を牽引する社員を採用する方法を、共同代表の舩坂香菜子さんに聞きました。

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地方都市で働きがいを求めるマルチプレーヤーを採用

――株式会社ヒダカラは、どんな会社でしょうか。

飛騨市や周辺市町村の名産品を扱うサイトの企画・制作やコンサルティング、自治体のふるさと納税事業のサポートなどが主な業務内容となっています。

私と夫は、以前は大手のインターネット関連サービスを提供する企業で働いていました。私が飛騨市に赴任したことがきっかけとなり、岐阜県出身の夫と二人で起業しました。この地域にはとても素敵なものがたくさんあるのに、その良さが他の地域の方にはまだまだ伝わっていないと感じたのです。ヒダカラでは、地場産品を通じて飛騨の魅力を広く伝えていきたいと考えています。

――飛騨地域にはIT関連企業が少ない中、即戦力となる人材をどうやって採用したのでしょうか。

創業してすぐの頃は、知人の紹介がきっかけでした。確かに、ECに関わる仕事の経験がある方はほとんどいませんでした。でも、経験やスキルよりも「飛騨を盛り上げたい」という、私たちと同じ思いを持っているかどうかを重視して採用活動を行いました。ExcelやPowerPoint、メールのやりとりといった一般的な事務のスキルさえあればOKで、IT関連の知識はチームで助け合って進める中で覚えていただこう、というスタンスです。

また、社員18名中のうち13名が女性です。女性にこだわって採用していたわけではなく、意欲があり当社にマッチしていると感じられる方を採用していたら、偶然にもほとんどが女性だったのです。

――採用活動を通じて、求職者のニーズなどの気付きはありましたか?

採用を進める中で、飛騨には「もっとやりがいのある仕事をしたい」と考えている女性が多いと感じるようになりました。当社は仕事の内容も待遇も、性別に関係なく全く同じです。同じ仕事をしていても男性より評価されづらい、もっと挑戦してみたいと考えていた女性にとって、働きやすい職場と感じてもらえたのかもしれません。

また、大企業と違って、中小企業では一つの部署の仕事だけをしていればいいということは少ないと思います。営業も製造も経理も少しずつ関わるとか、商品の開発から実際にお客様にお届けするところまで携わるといった具合です。マルチなスキルや経験を持っている方こそ、実は中小企業が多い地方都市に多くいらっしゃるのではないでしょうか。

企業の理念や価値観への共感を重視

――採用活動での工夫点を教えてください。

求人サイトでは、当社が大切にしていることや、どんな思いでこの仕事をしているかをしっかり伝えるようにしています。当社の理念や価値観に共感していただける方にエントリーしてほしいと考えているためです。

選考では、「ヒダカラに入った後に何をしたいと考えているか」を重視しています。最近ではありがたいことに様々なメディアで当社を紹介していただくことが多くなり、「ヒダカラの仕事は面白そう」と感じていただける地元の方が増えてきたと思います。

しかし、テレビや新聞などで紹介されるのは業務内容のほんの一部です。ECやPRの仕事の華やかな部分にだけ憧れて入社すると、日々のコツコツとした地道な作業とのギャップに違和感を持たれるのでは、という懸念もあります。ですから「商品開発がしたい」「デザインがしたい」「この商品を広めたい」など、ヒダカラというフィールドを使って、実現したいことを持っている方を採用しています。

――求職者の思いと、ヒダカラの思いの一致を重視されているのですね。

そうですね。加えて、他の地域から応募を検討される場合は、飛騨で働くことに対して「生活に不便はないか」「地域になじめるだろうか」といった不安を持っておられるだろうとも考えています。
そのため、社員の1日の過ごし方や仕事に対する気持ちなど、経営者だけでなく社員自身のストーリーも紹介するようにしています。こうした工夫で、少しでもミスマッチを減らしていきたいです。

時短やリモート勤務で働き方も柔軟に

――社員には子育て中の方もいると聞きました。社員が仕事と子育てを両立するために、企業としてサポートしていることはありますか。

時短勤務の制度を取り入れています。勤務時間が短くても、給与や賞与、人事評価の条件はフルタイム社員と同じです。時短勤務では自身で業務の調整をしなければならないことも多いので、より細やかな進捗管理や社内外の人とのていねいなコミュニケーションが求められると思います。

万が一、勤務時間が短いゆえに業務の量や内容をかなり制限しなければならない、となった場合は、社員みんなで話し合ってチーム全体の仕事の進め方を見直すことになると思います。

――最初から時短勤務などの制度を作っていたというよりは、入社した社員の事情やライフステージ、志向に合わせて制度を整えているという感じでしょうか。

そうですね。当社ではリモートで勤務している社員も多いのですが、「日中は普通に出社し、早めに帰宅して子どもの部活の送迎後に2時間だけリモートで勤務する」といった働き方も可能です。私自身も子育て中なので、子どもを習い事に送ってからまたリモートで仕事をした経験はたくさんあります。前日までに連絡があれば、いつでも・どこでも仕事をしてもらって構わないという柔軟さは、働きやすさにもつながっているのではないかと考えます。

自社を知ってもらうための情報発信が鍵

――地方の中小企業が意欲的な社員を採用するために、実施すると良いことがあれば教えてください。

採用しているか否かにかかわらず、普段から常に自社のPRや事業の情報発信を大切にすることでしょうか。地方都市では、若い世代が家族と同居していることも多く、小さな会社だと「経営は大丈夫か」と心配されることもあると思います。

私たちは手がけるプロジェクトの広報にかなり力を入れ、地元の方に当社を知っていただくようになりました。少しずつでも情報発信を続けることで、信頼は積み重ねられるはずです。

また、その業種や業界に対して「こういう仕事は大変だ」と世間が持っているイメージもあると思います。私たちも白川郷で豆腐の製造・販売を始めた時は、募集条件に目を通す前に「朝が早くてきつそう」と誤解されてしまったようで、採用に大変苦労しました。

さらに、都会に比べて「地方の企業は給料が高くないし、面白い仕事は無い」と思われていたりしますよね。だからこそ、その仕事の何が楽しくて、どこにやりがいを感じているのか強く訴えていかなければなりません。むしろ「自分たちの発信でイメージを払拭していくぞ」というくらいの意気込みを持った情報発信が必要ではないでしょうか。




<取材先>
株式会社ヒダカラ 共同代表 船坂香菜子さん
1987年、奈良県奈良市生まれ。大学卒業後、大手インターネット関連企業に就職。飛騨市に出向し、関係人口、ふるさと納税、地域のネット通販支援を行う。2020年に夫とヒダカラを起業。

TEXT:石黒好美
EDITING:Indeed Japan + 笹田理恵 + ノオト

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