介護採用は「選ばれる選考」へ。ニチイ学館が変えた求職者体験と現場文化

By Indeed
ニチイ学館メインビジュアル・介護採用は「選ばれる選考」へ。ニチイ学館が変えた求職者体験と現場文化

2025年11月11日、Indeed主催の「Indeed FutureWorks Japan」において、採用戦略・採用施策・Indeed活用の観点から、採用に関する優れた企業の取り組みを表彰する「Indeed Hiring Awards 2025」が開催されました。3回目の開催となる今回も、多くの企業様よりエントリーいただき、厳正な審査の結果、5社の企業様がそれぞれ「グランプリ」「ストラテジック部門賞」「チャレンジ部門賞(2社)」「Indeedエクセレンス賞」を獲得されました。

本稿では、「グランプリ」を受賞した「株式会社ニチイ学館」様に、どのような背景から採用活動を「文化づくり」へと再定義し、在籍数の改善を実現したのでしょうか。人財開発事業本部 ダイレクター 松本裕美子氏と、シニアエキスパート 千石友明氏に伺いました。


株式会社ニチイ学館 プロフィール

1968年創業。医療関連事業・介護事業・保育事業を中心に、社会生活になくてはならないサービスを全国で展開。企業理念「社業の発展を通して豊かな人間生活の向上に貢献する」のもと、介護サービスでは「自分らしい暮らし」の実現を支援。全国各地に拠点を持ち、訪問介護からグループホーム、有料老人ホームまで幅広いサービスを提供している。


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採用活動を「文化づくり」へ。理念を実現するための戦略的転換

インタビューに応える人財開発事業部 シニアエキスパート 千石友明様
インタビューにお答えいただいた人財開発事業部 シニアエキスパート 千石 友明 様

──このたびは「グランプリ」受賞おめでとうございます。まずは率直なお気持ちからお聞かせください。

千石 このような素敵な賞をいただき、大変ありがたく思っております。ただ、採用がとても円滑に進んでいるわけではなく、道半ばの状況ですので大変恐縮ではありますが、拠点の採用実務担当者や本社の採用担当者の取り組みが評価されたことがとても嬉しく思っております。

松本 第一報を聞いた時は本当に驚きました。授賞式当日は私は現場に行けなかったのですが、オフィスでみんなとウェブで様子を見ていて、ちょっと騒ぎになるくらい盛り上がって(笑)。今、机の上にトロフィーを置いているのですが、通りかかる人みんなに声をかけてもらっています。

今回の受賞で、やってきたことが間違っていなかったんだと実感できましたし、社内のモチベーションアップにもつながりました。喜ばしい受賞で、本当にありがとうございました。

──御社の事業内容について、改めてご紹介いただけますか。

松本 ニチイ学館は1968年の創業以来、医療・介護・保育を中心に、社会に不可欠なサービスを全国で展開してきました。企業理念は「社業の発展を通して豊かな人間生活の向上に貢献する」。介護を通して、ご利用者さまが自分らしく暮らせる環境を整えることこそが、私たちの提供する介護サービスの本質だと考えています。

この理念を実現していく上で、サービスを継続していくことが大前提となりますので、人の採用が事業を続けていく上で最も重要な課題だと捉えています。

──採用活動を開始された当初、御社にはどのような課題があったのでしょうか。

千石 喫緊の課題は、新規採用数を退職者数が上回ってしまい、在籍職員数が年々減少していることです。これは事業継続の根幹に関わる状況でした。

背景には「4つの壁」が存在していました。1つ目は業界の壁。介護業界全体に深く根付く「低賃金」「重労働」といったネガティブなイメージです。2つ目はリファラル採用の壁。社員紹介が個人依存になっており、組織的な取り組みになっていませんでした。3つ目は採用プロセスの壁。選考自体が「選ぶ選考」となっており、「選ばれる選考」への転換が必要でした。そして4つ目が社会的な壁。日本の介護職員総数が調査開始以来、初めて減少に転じたという厳しい現実です。

──厳しい状況下での採用ということですが、人材確保に向けてどのような戦略を立てられたのでしょうか。

松本 介護サービスを持続していくために一番必要なのは、介護を支えるスタッフです。今回の採用活動で私たちが目指したのは、単なる人集めではありません。理念を実現するための文化づくり、そして意識改革まで含めた取り組みへと捉え直しました。

千石 課題を乗り越えるため、今いる従業員の働きやすさと働きがいを高め、さらに仲間を増やす「組織魅力の創造」、そして業界全体の底上げを目指す「業界共創」に注力しました。また従来は、安定的なサービス提供のため、コストコントロールの観点からパート・アルバイト採用が優先されがちでした。しかし、介護職の魅力を高め、定着率を向上させるには、雇用の安定が不可欠だと判断し、経営方針として「正社員採用の強化」を明確に打ち出しました。

株式会社ニチイ学館の取り組み>

ニチイ学館の施策

Indeed連携による求職者体験の改善と、業界初の挑戦「合同マッチングフェア」

──具体的には、どのような施策を実施されたのでしょうか。

千石 求職者にどれだけ良い体験をしていただくかを重視し、選考プロセス全体の改善に取り組みました。選考中にしっかりと魅力づけをして、「ニチイ学館に来てみたい」と思っていただけることを意識して施策を実施してきました。

具体的には、全国6つの支社で採用研修を実施し、求職者から選ばれる企業を目指しました。面接を「合否を伝える場」から「魅力的な体験を提供する場」へと変革し、求職者から選ばれる企業を目指すことが目標です。

研修では、参加者である従業員一人ひとりに「研修に来てくれてありがとう」という感謝カードを配り、感謝を伝えることの大切さをまず実感してもらいました。そして、求職者には、「来ていただいて、ありがとうございます」というウェルカムボードを用意するなど、具体的な求職者ファーストの施策を実践形式で学んでもらいました。

この取り組みにより、求職者に「ニチイ学館は温かい会社なんだ」と感じていただけただけでなく、現場では面接の第一印象が改善し、雰囲気が和やかになったという声も上がっています。こうした結果、採用までのリードタイムを約10%短縮することができました。

──「リファラル採用」についても教えてください。

千石 採用というと、これから新たに従業員になっていただく方にフォーカスを当てがちですが、リファラル採用は、今いる従業員の働きやすさと働きがいを高め、友人を紹介したくなる職場づくりを目指す施策です。

リファラル採用が個人の善意に頼りがちになるのを避け、組織として職場環境改善に注力しました。そこで、「紹介人数」ではなく「取り組み内容」を評価する方針へ転換しました。チーム単位で制度を評価する仕組みを導入した結果、各拠点でスタッフ紹介ボードや従業員エピソード集を作成したりと、前向きな会話やアイデアが自然と生まれるようになったのです。

さらに、紹介してくれた従業員一人ひとりへ社長が直筆でメッセージカードを書くなど、トップ自らが姿勢を示すことで、「ありがとうを伝える文化」が全社に広がっていきました。今では、応募者や入社者への「サンクスカード」もマニュアルではなく、現場の心からの行動として自然に生まれています。

──競合他社との協業で新たに開催された「合同マッチングフェア」について詳しくお聞かせください。

松本 2040年には約272万人の介護職員が必要とされており、将来的には約50万人が不足すると言われています。こうした2040年問題を踏まえて、私たち単体だけでの採用活動には限界があると考えました。

そこで、業界のリーディングカンパニーとして介護業界全体に貢献していこうと、複数の大手介護事業者にお声がけをさせていただき、「介護のお仕事マッチングフェア」を開催しました。競合6社が参加し、自社を含めた7社による合同開催となりました。競合同士が手を取り合うという、介護業界ではこれまでになかった試みです。

本当に初めての取り組みでしたが、ご参加いただいた各企業様には非常にご満足いただき、実際に採用につながったという嬉しいお声もいただきました。潜在的に介護の仕事に関心を持つ方々を、業界として一緒に受け入れていくという取り組みは、社会への強い意志と覚悟を示すメッセージになったと感じています。今後も、同じような取り組みを全国で広げていきたいと考えています。

リファラル期間前年比200%を実現し、定着率も改善

人財開発事業本部 ダイレクター 松本裕美子様
インタビューにお答えいただいた 人財開発事業本部 ダイレクター 松本 裕美子 様

──様々な施策を通じて、どのような実績が生まれたのでしょうか。

千石 まず、年間退職者数が前年比87%にまで減少し、長年の課題であった人員減少に歯止めをかけることができました。これにより、介護職員在籍数は長らく続いた減少傾向から脱却し、前年比101%とついにプラスに転じました。これはまさに、組織が再び成長へと向かうV字回復の兆しと言える結果です。 重点施策である正社員採用も143%、リファラル採用も200%と大幅な伸びを見せており、反転への確かな手応えを感じています。

それ以上に大きかったのは、組織文化の変化です。ウェルカムボードやリファラルへの取り組みを通じて、現場同士での意見交換が活発になり、様々な施策が展開されるようになったと思っております。

──こうした取り組みを通じて、Indeedとの連携についてはいかがでしたか。

千石 採用プロセス全体を可視化し、応募から面接までの歩留まりを丁寧に数値化しました。特に、応募状況を拠点別・職種別に分解し、「この拠点が弱い」「この職種に課題がある」といった改善ポイントが具体的に明らかになりました。全国展開する当社では、このようにピンポイントで課題を提示することで、現場が「これは自分たちの課題だ」と納得感を持って改善に取り組めるようになりました。

Indeed担当者とは、月1回の定例に加え、細かな点は2日に1回ほどの頻度で密に連携しました。こうした分析に基づく継続的な改善により、Indeed経由の正社員採用比率が7%アップしました。

──最後に、今後の展望についてお聞かせください。

千石 介護業界の魅力をしっかりと発信していくことが重要だと思っています。リファラル採用を通じてしっかりと、今活躍してくださっている従業員にフォーカスを当て、働きやすく働きがいのある職場づくりをすることで、採用活動を強化していきたいと考えています。

松本 今回の取り組みを通じて実感したのは、「良い職場づくりが、最高の採用活動である」ということです。私たちの挑戦は、単なる採用手法の改善にとどまりません。やはり、介護の仕事の社会的価値をどんどん高めていくような活動をしていきたい。介護の魅力をどんどん発信していきたいなと考えています。

Indeedには、応募数の大部分を占めていただいており、引き続き期待をしているところです。また、Indeedのテクノロジーでの貢献も非常に大きいと思っています。私自身、介護現場のDX推進に向けて「GENBA SMILE Lab」を立ち上げ、見守りセンサーや移乗支援機器など、現場で使うテクノロジーの有効性を検証しています。こうした新しい領域でもIndeedと連携しながら、介護という仕事の未来をともに創っていきたいと考えています。

──ありがとうございました。

Indeed Hiring Awardsについての詳細はこちらをご覧ください。
https://jp.indeed.com/lead/hiring-awards

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