株式会社物語コーポレーション様

2023年11月30日に開催された「Indeed FutureWorks Japan」。そのなかのコンテンツのひとつとして、「Indeed Hiring Awards 2023」が開催されました。

「Indeed Hiring Awards」は、2023年より新たに創設されたアワードとなり、採用戦略・採用施策・Indeed活用の観点から、採用に関する優れた企業の取り組みを表彰します。

初開催の今回は64社の企業様よりエントリーをいただき、厳正な審査の結果、4社の企業様がそれぞれ「グランプリ」「ストラテジック部門賞」「チャレンジ部門賞」「Indeedエクセレンス賞」を獲得されました。こちらの記事では、今回見事グランプリに輝いた「株式会社物語コーポレーション」様のパートナー(パート・アルバイト)採用施策についてご紹介をさせていただきます。お答えいただいたのは、同社営業企画部でパートナーの採用・定着強化を担当する川添 良介様です。


株式会社物語コーポレーション プロフィール

1949年に愛知県豊橋市にて創業。「焼肉きんぐ」や「丸源ラーメン」など、外食事業の運営およびフランチャイズチェーンを展開。郊外ロードサイドを中心に、現在国内外で680店舗を出店している業態開発型リーディングカンパニー。自己実現を目指す経営理念「Smile & Sexy」を基軸に、長期経営ビジョン「『個』の尊厳を『組織』の尊厳より上位に置き、とびっきりの笑顔と心からの元気で世の中をイキイキさせる」の実現を目指す。

インタビュー内容のダイジェストを動画でもご紹介


未来を見据えた採用戦略で、これまでアプローチしていなかった層を開拓

川添 良介様
インタビューにお答えいただいた営業企画部 川添 良介様

──このたびは「Indeed Hiring Awards 2023 グランプリ」の受賞おめでとうございます。まずは受賞の感想から教えてください。

川添 正直、ウチでいいの?と最初は思いました。というのも、私自身、パートナーの採用や定着については、これまで他社の方や異業種の方とさまざまな情報交換をしていまして。そこで伺った手法などを利用し、それらを弊社らしく表現できるようにするには?と考えながら採用活動に取り組んできました。そういった交流のおかげと思っているものですから、本当にウチが賞をもらっていいの?と。

ただ、弊社の取り組み内容が、このように対外的に評価されることは非常に嬉しいですし、励みになります。また、パートナー採用に関する取り組みを今後も継続して行かなくては、と再確認できたように思います。

──改めまして、本当におめでとうございました。採用活動を開始されるにあたり、どのような課題があったのでしょうか。

川添 大きく2点ありました。1つ目は採用環境ですね。今から2年ほど前、コロナ禍による時短営業の解除以降、業界問わず採用環境は一気に厳しくなっていきました。その一方で、我々の店舗というのは新規出店が多いため、業容が拡大していく中で、今後も雇用を継続的に強化するには、今までの採用手法だけでは間に合わない可能性があると感じていました。

これまで、弊社のパートナー人材の採用対象は学生や主婦の方がメインだったのですが、これまでにない属性の方たちの採用を強化しなくては、長い目で見たとき企業の成長に採用が追いつかなくなる危機感を持っていました。

そして2つ目が、組織における多様性の問題です。弊社は経営理念のうちのひとつとして、ダイバーシティー&インクルージョンを掲げています。ただ、正社員採用に関しては、外国籍の方の雇用など強化されているものの、パートナー領域でみるとまだまだ分母が少ない状況で、問題提起を始めていく必要がありました。

──シニア層や外国籍の方の採用が進んでいなかったのはなぜでしょうか。

川添 パートナーに関しては、学生層や主婦層からの応募が弊社の場合はそもそも非常に多く、短期的に見れば人材は十分充足していたわけです。

しかし、少子高齢化の問題なども叫ばれ続けています。また、主婦層の方たちに対する需要は非常に高くなっていて、採用が難しくなってきてもいます。これまでメインだった層以外の方たち、つまりシニアや外国籍といった方々の採用強化は、中長期的な観点で非常に重要であると考えるようになりました。

今までシニア・外国籍といった方たちの採用が進んでいなかった理由は、やはり先入観が邪魔していた部分があったと感じています。例えばシニアの方なら働く時間が限られているのではないか、外国籍の方なら、コミュニケーションの問題で初期教育に時間がかかり、戦力化まで時間を要するのでは、といった先入観ですね。

そういった先入観から、他社さんを含め、こういった方たちの採用にまだ着手しきれていないところも多い。だからこそチャンスがあるのではないか、と考えるようになったのです。

<株式会社物語コーポレーションの取り組み>

「グランプリ」受賞 株式会社物語コーポレーション様
「グランプリ」受賞 株式会社物語コーポレーション様

現場との「対話」から見えてきた、求職者が本当に求めていたもの

川添 良介様

──これまで開拓していなかった層の採用にチャレンジするため、まずは何からスタートしたのでしょうか。

川添 シニアや外国籍の方を採用して定着しているお店と、全く採用していないお店の両方の店長に直接会って、ヒアリングをすることからスタートしました。また、在籍して活躍されているシニア・外国籍のスタッフにもお話を伺いましたね。

まず店長へのヒアリングに関しては、なぜ導入が進んでいるのか・いないのかを明らかにすることが目的です。雇う側の意見を聞くことで、会社の仕組みを整えていくために重要なヒントがもらえると考えたからです。

また、スタッフへのヒアリングに関しては、その中身を求人原稿に上手く応用できないかという目的がありました。要はそれぞれの属性の方たちが、働く上で何を求めているのか知り、それを原稿に表現することで共感度を高められるのではないかと考えたわけです。

──現場の声から見えてきたものはありますでしょうか。

川添 本当に収穫があったと思います。例えば外国籍の方ですと、アルバイトは週28時間までと法令で決まっています。一方で、学費や生活のため、母国への送金のためなどお金が必要な方も多く、最低でも週25時間以上は勤務時間を確保したいといった現実がある。あとは、日本語を話す環境かそうじゃないかも、彼らにとっては非常に重要なポイントです。そういった生の声から得た情報を、求人原稿にうまく落とし込んでいくことができました。

あるいはシニアの方ですと、開店準備や仕込み、清掃など裏方的な仕事をメインに任せた方が良いのかといった先入観がありました。ただ実際にお話を伺うと、かなりアクティブでコミュニケーション能力に長けている方が多かったり、想定外のことが多かったですね。

──具体的に、どのように採用活動へ反映させたのでしょうか。

川添 まず外国籍の方ですと、オンラインとオフラインの両面で強化施策を行いました。オンラインであれば、弊社のホームページに外国籍の方向けのバナーを設け、そのバナーから入ると全て平仮名の求人情報が閲覧できます。これもヒアリングから得た情報で、漢字があまり読めない方が多いことが分かったので、求人情報への理解度を深めていただくため、こういった工夫をしました。あとは、週何時間以上働けます、その場合の収入はこれくらいです、といった具体的な情報を原稿内で表現し、応募しやすい環境を作っていきました。

また、オフラインに関しては外国籍の方に特化した求人ポスターを作成しました。ふりがなを振るのはもちろん、福利厚生に関してはテキストだけではなくアイコンでも表現して、より直感的に理解できるような工夫をしたり。細かなところですが、こういったことの積み重ねで採用の成果が変わっていったと思います。

──シニアの場合はどうでしょう。

川添 シニア採用の求人原稿に関しては、シニア向けのものを用意していました。その際に重視しているのは、例えば「主婦の方、大歓迎」など、他の採用ターゲットに関する内容を併記しないようにすることです。こういった記載があると、シニア向けの求人原稿でも「自分は選ばれないんじゃないか」と思われてしまいます。

あくまでも、シニアの方を採用したいということを、ストレートに原稿で表現しています。その上で、体調不良の場合はいつでも休めるとか、重いものを持つ体力の必要な仕事はありませんなど、シニアの方が気にする情報をきちんと原稿内で抑えておくことも重要ですね。

──実際の業務内容にも工夫をされたと伺っています。

川添 例えばウォッシャー(食器などを洗うポジション)の業務一つでも、実は5つぐらい工程があるんですね。その工程の中で、重たいものを持つのが厳しいのであればその業務を業務内容から除き、別の方に任せるといった振り分けを、きちんと本人たちと合意した上で行うといったことがあります。

あとはコミュニケーションが得意なシニアの方なら、気遣い・配慮といった能力を存分に発揮してもらえる仕事をお任せする。それにより、もっとお客さんからの満足度が上がるといった結果も出ましたので、こういった事例を今はどんどん横展開している状況です。

──現場からの協力を得るためには、どんなことが重要でしょうか。

川添 まずトップダウン方式だと現場はやりたがりません。現場の協力を得るため一番良い方法は、なかなか採用ができないお店に対し、こういったシニア・外国籍の方などへアプローチしてみませんか?という風に、協力体制を依頼するところからです。

そこから店長に、シニア・外国籍の方などの採用メリットを感じてもらい、協力体制を得て採用強化を行っていく。そこで成功事例ができると、今度は店長同士がそれを共有し合って、「それならウチもやってみよう!」という風に少しずつ事例が増えていきました。

また、弊社では月一回、改善や改革、開発に関する発表の場があり、そこでエリアマネージャーや店長が「こういう取り組みをしてシニア活躍に成功しました」とか、「外国籍の方を採用してまだ一人も辞めていません」といった話をする。そうすると、会社から「採用して」と言われるよりも、説得力も受け止め方も全く違いますね。時間はかかりますが、この横展開が最終的に近道じゃないかと思います。

約1年半で、シニア・外国籍の方たちの在籍数は180%増を実現

川添 良介様

──さまざまな取り組みの成果についてお伺いさせてください。

川添 施策の開始から約1年半経過していますが、シニア・外国籍双方の在籍数は開始時と比べて180%増まで増えています。また、コスト面にも大きな効果が出ており、応募単価・採用単価ともに現状低い数字を出すことができておりますので、取り組みとしては非常に成功しているのではないかなと思っています。

また、コスト面の良さということもあるのですが、想定外の効果もありました。例えば外国籍の方が一生懸命に日本語を覚えたり、仕事を覚えようとする姿を見て、特に弊社の若年層のパートナーの方々が非常に刺激を受けていまして。彼らに対して協力的に仕事に取り組むようになったり、模範演技をしようといった姿勢を取っていくことで、結果的にお店の雰囲気やチームワークが向上するなどの事例も出てきています。

シニア層の方ですと、仕事を確実・丁寧にこなしたり、さらに細やかな気遣いができたりすることから、顧客満足度が上がったというお店もありました。

ここで一つ重要なポイントが、やはり店長がシニアや外国籍のスタッフたちのどういうところが良くて採用したかということを、きちんと既存のパートナーのメンバーに伝えるということです。現場の受け入れ態勢をきちんと作る、ということですね。

より幅広い層へのアプローチを実現するため、Indeedに期待すること。

物語コーポレーション川添様とIndeedセールス担当者
物語コーポレーション川添様とIndeedセールス担当者

──今後、Indeedに対して期待することがあれば教えてください。

川添 やはり、サービスとして多言語機能の搭載を実現して欲しいと思っています。実際に、今弊社で働く外国籍の方も、日本語が完全に読めるという方たちばかりではないので、現状のサイト構成ですと、どうしても漢字が多くなってしまいます。そこを改善していただけると、より幅広く外国籍の方からの応募なども見込めるようになるのではないかと。

Indeedのセールス担当の方とは毎月定例で打ち合わせをしていますが、常に提案をいただけている状況です。例えばユーザーが検索に用いたキーワードのランキングを毎月更新して共有いただき、その情報をこんな風に原稿に反映したらどうかといった、非常に具体的な示唆を与えてもらっていますね。痒いところに手が届く的確な提案ですので、私自身も判断がしやすく非常に助かっています。

先入観を取り払い、採用の現場に踏み込んでいくことの大切さ

──最後に、採用活動を振り返って、皆様に共有したいことはありますでしょうか。

川添 私自身も1年半前まではそうだったのですが、やはり「先入観で考えない」ことが重要かなと考えています。実際に当事者と対話をすることで、彼らが何を求めているのか、どうすれば継続して働いていただけるのかといったことの答えに辿り着くことができるのではないかと。

そして、ともに働く仲間に対して、耳を傾けていくこと。それが、結果的に今の採用環境を安定化させる重要な要素の一つかな、というふうに思っています。

今後の目標としては、やはりパートナーの定着率の向上ですね。飲食業界は離職率がどうしても他の業種・業態から見ても高いです。弊社は業界平均に比べると離職率は低いですが、それでもまだまだ課題は多い状況です。全ての属性の方が働きやすい環境の実現に会社全体として取り組み、今まで以上に定着し活躍することで、弊社での仕事を通じた経験が、イキイキと自分らしく過ごせる日々につながればと思っています。