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DEIBの目標に役立つAIの使い方と、マイナスの影響を回避するための注意点とは?

過小評価されたグループは、全体の割合と比較して、ダイバーシティ、エクイティ(成果を発揮するために、必要なリソースがすべての方に与えられること)、インクルージョン(誰も取り残さないような施策や環境を作ること)およびビロンギング(自分の居場所があると感じられること)の目標達成に、AIの利用がプラスの影響をもたらすと期待する割合が高いものの、懸念を抱く割合も高くなっていることが、最近の Indeed の調査で明らかになりました。

キーポイント

  • Indeed の調査によると、人事・採用担当や求職者は、DEIB(ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン、およびビロンギング)の目標へのAIの影響は、マイナスよりもプラスの方が多いと考えていることが明らかになりました。
  • 過小評価されたグループに属する人事・採用担当や求職者は、AIによるプラスとマイナスの両方の影響があると予想する傾向があります。
  • 専門家は、人事・採用担当にとってAIは意思決定ではなく、支援を行うツールであるべきだとしています。

AIに関する人事・採用担当や求職者の見方や、採用活動にAIが及ぼす影響を調査するため、Indeed が委託した最近の研究では、驚くべき結果が明らかになりました。Indeed のAIに関するグローバル調査によると、過小評価されたグループに属する回答者の多くは、平均的な回答者に比べ、AIはDEIB(ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン、およびビロンギング)の目標にプラスの影響を与えると予想する傾向にあることが分かりました。 

たとえば調査では、全世界の障害のある求職者のうち、「AIが障害のある人にマイナスの影響を及ぼす」と回答した人の割合(20%)よりも、「プラスの影響をもたらす」と回答した人の割合(35%)が高くなりました。「プラスの影響をもたらす」と回答した障害のある求職者の割合(35%)は、同様の回答をした求職者全体の割合(27%)よりも高くなっています。調査ではまた、障害のある人事・採用担当についても同様の傾向が明らかになっています。

さらに、ゲイ、レズビアン、バイセクシャルが性自認の人事・採用担当や求職者、および黒人またはアフリカ系アメリカ人である求職者でも同じ傾向が見られ、AIはDEIBの目標の妨げではなく、役に立つと予想する割合が高くなっています。それに加えて、職場のDEIBについては、AIが良い変化をもたらす力になると考える傾向もあります。

しかし調査では、その逆の傾向も示されました。ゲイまたはレズビアンが性自認の求職者は、職場でのLGBTQ+に関する問題に対して、AIがプラスの影響をもたらすことを期待する傾向があります。その一方で、「AIがLGBTQ+に関する問題にマイナスの影響を及ぼす」ことを懸念する回答者の割合(22%)は、回答者全体の割合(12%)の2倍近くに上ります。

一見すると、世界7か国で7,000名以上の人事・採用担当や求職者を対象とした調査結果は、矛盾しているように思えます。しかし、Indeed のEmployee Lifecycle担当Global Directorを務めるJessica Hardemanによると、この結果は当然だと言います。なぜなら、歴史的に疎外されてきたグループは、職場におけるAI利用が秘める、可能性とリスクの両方を認識しているためです。 

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Indeed のEmployee Lifecycle担当Global Directorを務めるJessica Hardeman

最大限に活用することで、AIは障害のある人にとっての新たなアクセシビリティ支援ツールとなります。企業が、さまざまな言語や文化のバックグラウンドを持つ従業員を対象に研修を実施する場合にも、そのスピード向上にAIが貢献するとHardemanは説明します。逆に、AIが過小評価されたグループに対する既存のバイアスを定着させてしまう恐れもあり、「結局は、最善を目指してAIを使っているかどうかが大切です」と、Hardemanは言います。

自社のDEIBの目標を前進させるのに役立つAIの使い方と、後退の恐れにつながる一般的な注意点を回避する方法を見ていきましょう。

DEIBの目標達成に向けたAIの使い方

正しく導入すれば、AIツールはDEIB担当にとって重要なパートナーになります。Indeed はAIを使用して求人内容を見直し、インクルーシブな表現の記載担保をするのに役立っているとHardemanは言います。また、Hardemanのチームでは生成AIを使って、さまざまな国に合わせたトレーニング用コンテンツのアニメーションやボイスオーバーを開発しています。 

さらに、AIツールは社内に定着した差別に関連する問題を明らかにする際にも役立ちます。DEIBの目標の追跡、測定、改善を行うビジネスを支援する企業であるDiversioは、AIの自然言語処理を使って従業員アンケートへの自由回答を選別し、一定の属性に集中している問題などを特定しています。 

たとえば分析によって、勤務形態の柔軟性に関する懸念が女性従業員に集中していることが分かった場合、Diversioは、親が子どもの学校の送り迎えをする時間に会議の予定を入れないようにする、コアタイムの導入を提案します。

DiversioのCEO兼創設者であるLaura McGee氏は、昇進に関する意思決定で重視されすぎることがある対人関係の影響を、AIが最小化する可能性について、次のように述べています。「社内の昇進は、仕事の成果ではなく、人間関係に基づくことが頻繁にあります。AIによる従業員のアセスメントでは、例えば誰と一緒に野球の試合を観に行って関係性を築いたかではなく、仕事の成果物に基づいて審査されることになります。」

そうしたツールは、より公平な機会を従業員に提供するだけでなく、従業員について「常に十分な情報を持っているわけではない」役員チームを支援することにもなると話すのは、DEIトレーニングとコンサルティングの企業である、Jennifer Tardy Consultingの創設者兼CEOを務めるJenn Tardy氏です。「自社内で昇進の準備が整っている従業員を特定するためにAIを使用することで、将来の機会に向けて多様性のある候補者を数多く社内で確保できます」と、Tardy氏は語ります。

DEIBの進捗をAIが妨げる可能性

AIツールは、ステレオタイプ(固定観念)やエクスクルージョン(排除)の要因となり得るデータを含む、幅広いデータでトレーニングします。AIに任せる最もシンプルなタスクでも、そうした情報に影響を受けることになります。 

人事・採用担当者はこの点についてもすでに認識しています。Indeed の調査によると、半数以上(53%)の回答者は、AIのトレーニングデータに存在するバイアスに懸念を抱いています。「AIは私たち人間の考えから学習しています。そして私たちは、機会の分配や人材のリプレゼンテーション(社会に存在している多様性の適切な反映)において公平性に欠ける考えを持っています」と、コンサルティング企業Korn Ferryで、Senior Partner and Global DE&I and ESG Strategistを務めるAndrés Tapia氏は言います。 

生成AIツールに面接のベストプラクティスを策定させるといった簡単なタスクも、バイアスの影響を受ける可能性があります。「そうしたベストプラクティスのうち、優位な立場にあるグループによって影響されるものがどのくらいあるでしょうか」とTapia氏は話します。職種によっては面接の手法が、これまでずっと面接に関する話し合いに含まれてきたグループに、意図せず偏ることがあるかもしれません。

その他のリスクとして、AIへの過度な依存により、DEIBの取り組みから批判的な視点が欠ける恐れをHardemanは指摘します。たとえば、有色人種の従業員が組織のどの階層に位置しているかについての分析が不足したまま、有色人種の従業員の割合のみに基づき、AIツールが「人材構成の公平性が構築された」として、誤った判断をする可能性があるとしています。

DEIBの目標をサポートするための、AIの責任ある使用のヒント

DEIBに関して、自社がAIのメリットを確実に最大化し、潜在的な危険を最小化するために、実施できることがいくつかあります。

  1. AIベンダーが自組織内でDEIBに関する懸念にどう対処しているかに注意する:自社のダイバーシティと影響について、積極的に情報を共有するベンダーを探しましょう。「御社のエンジニアリングチームはどのような構成ですか、と尋ねてみたときに、全員のプロフィールが同じであれば危険信号だと考えます」とMcGee氏は言います。
  1. AIのアルゴリズムを過信しない:AIが、応募者のスキルを評価するため、学位や資格などスキルを示す権威を与えられたものを探し、これが問題を引き起こすことがあります。たとえば、卒業大学や取得学位を重要視しすぎる履歴書選別ツールには、注意が必要です。これらはAIのアルゴリズムによるものであり、実際のスキルを示すとは限らないとTardy氏は言います。
  1. プロセスに人間が関わる:AIツールは、人間だけが持つ独自の体験の代わりになることはないとHardemanは言います。したがって、AIはあくまでも指針として利用し、人間の代わりとしてツールに判断を委ねないことが重要です。

結論として、真実を示す唯一の情報源とみなさなければ、AIは他のツールと同様に便利なリソースになり得るとHardemanは説明します。「AIは、人間による意思決定を支援するものであり、人の代わりに意思決定を下すものではありません。」