新型コロナウイルスの感染拡大は、仕事に対する求職者の意識だけでなく、企業の採用活動のあり方も根本的に変えました。

Web面接の実施から応募要件の変更に至るまで、採用企業は求職者へのアプローチの仕方を再検討しています。これは特に、多くの採用企業が求職者を惹きつけるのに苦労している現在の求人市場においては、きわめて重要なことです。採用企業は、この困難な状況にどう適応しているのでしょうか。

Indeed は全米の採用企業502社を対象に、現在の採用活動や将来の人員計画にコロナ禍が与えた影響についての調査を実施しました。

その結果、大部分の企業が、採用のあり方をより柔軟にしつつあることがわかったのです。必要のない資格や、高望みの応募要件を設定する時代は終わりました。

代わりに調査結果が示したのは、より広い視点を持ち、これまでとは異なるタイプの応募者も考慮するようになった、採用企業の姿勢です。これはすべての人にとってメリットがある変化です。

ほとんどの採用企業が、四大卒以上の学歴要件の廃止を検討

Indeed の調査によると、採用企業の多くが「大卒以上」という基本的な要件の再検討にオープンであると示されました。これは、求職者にとって見逃せない変化です。

調査対象となった米国の採用企業の75%が、四大卒以上を応募要件としてはいるものの、そのうちの59%が将来的にこの要件の廃止を検討すると回答しています。

こうした傾向は大企業において特に顕著です。従業員数1,000人以上の企業の67%が大卒の学歴要件の廃止を検討すると回答したのに対し、従業員数が10人以下の企業では53%に留まりました。

こうした変化には、企業の変わりゆくニーズや優先事項が反映されていると言えます。

回答企業の約3分の1(30%)は、こうした応募要件をなくすことでもっと多様な人材にリーチできると答え、4分の1を超える(26%)企業は応募者の学歴が業種と一致していることはほとんどないと回答しました。

可能であれば、採用企業は候補者のスキルや関連分野での実務経験を考慮した上でOJT(実地研修)を行うことで、候補者の職種への適性をより正確に判断できるかもしれません。OJTで納得のいく結果を得られた場合、求人内容における学歴要件は見直していくべきでしょう。

四大卒以上を「必須」から「望ましい」要件に変更するだけで、より広い、多様性豊かな求職者層に新たな機会を生み出せます。

異業種からの関心と採用が増加

採用企業は、候補者の経歴についても、新たな視点を持ち始めています。全体の4分の3を超える(76%)企業が、異なる職種や業界出身の応募者の採用をこれまで以上に検討していると回答しました。

その結果、求職者も新たな方向性を見出しています。採用企業の78%は、これまでのキャリアとは異なる職種に応募する応募者が増えたことにより、採用活動の方法も変化していると報告しました。 

Indeed のデータは、採用企業や求人職種のほとんどで、応募者の将来性は過去の職務経験と同じくらい重要だと示しています。

他業種からの応募者を検討している採用企業のうち33%は、採用した従業員に職場で研修の機会を与えることに前向だと回答しました。また、29%は経験にこだわらず広く募集をかけることでより多様な候補者層にリーチできると回答し、23%は全体としてより多くの応募者を惹きつけられると答えました。 

他業種出身の応募者を探すことは選択肢の1つです。採用企業の73%は業界外から採用したことがあると回答していますが、踏み切れずにいる企業もあります。

業界外からの採用を躊躇する理由として、そうした企業の38%は専門的な研修や教育の必要性を挙げ、21%は業種外の求職者からの応募を受けたことがないと回答しました。

しかし、学歴要件と同様に、業界外の候補者を検討するよう採用企業が仕事内容を考え直すことは、従来とは異なる応募者に対してもインクルーシブな対応をすることにつながります。

多くの採用企業でリモートワーカーの採用が増加

コロナ禍の米国では、数百万人が初めてリモート勤務(テレワーク)を経験し、それから2年経った今でも在宅勤務は魅力的な特典となっています。

調査対象となった採用企業の大部分は、候補者を惹きつけるために継続してこの選択肢を提供しており、新型コロナウイルスの感染拡大前と比較すると、74%がリモート勤務の人材を以前より多く採用しています。

ただし、企業の規模によってこれには大きな差があり、大企業(従業員1,000人以上)の84%がリモート勤務の人材を採用しているのに対し、従業員100人以下の企業では54%にとどまっています。 

今日の厳しい採用市場において、採用企業の57%がリモート勤務の選択肢が応募者を惹きつけるのに役立つと感じており、56%がより多様性のある人材にリーチできると考えています。また、35%は地元の人材に頼るだけでは十分な数の応募者が集まらないと回答しています。 

上記と同じように、採用活動もまた、リモートで実施されることが増えています。62%の企業が候補者の面接に柔軟なスケジュールで対応し、過半数(51%)が電話面接やWeb面接を使用していると回答しています。

採用プロセスの早い段階から柔軟に対応する姿勢を示すことで、採用企業は競合他社との差別化を図れるのです。 

柔軟な採用活動は誰にとってもメリットがある

調査結果に基づくこうした傾向は、今、多くの企業が採用活動における柔軟性を強化していることを示しています。

学歴よりもスキルを重視する評価システムやOJTの実施、リモート勤務という選択肢の提供など、今日の採用トレンドは、これまでのルールが見直され、企業が採用における新たな可能性を見出していくことへ意欲的であると感じさせてくれます。

こうした変化により採用企業は、より豊富で多様な候補者にリーチできるようになります。そうして採用された人材は企業に新しい考え方をもたらし、さまざまに異なる背景や経験、スキル、知識、居住地を通じてチームを豊かにしてくれます。

採用企業は、今日の採用における課題に適応することで、さらに柔軟でインクルーシブな未来への道を開いていけるでしょう。

この記事は米国版 Indeed LEADから翻訳・編集しました。

翻訳・編集:Indeed Japan 編集部