採用活動に行き詰った時、コアコンピタンス=企業活動において中核となる強みを見直すことが打開策となるかもしれません。コアコンピタンスの確立方法や採用活動への生かし方に関して、大手企業の人事領域で活躍されてきた株式会社人材研究所・代表の曽和利光さんに解説していただきました。
Indeedに求人を公開しませんか?
求人を作成するポジショニング重視型とコアコンピタンス重視型
企業が経営戦略を決める際の考え方は、大きく2つに分けられます。
1つ目は「ポジショニング重視型」です。マーケットの現状を見極め、ニーズが存在するところや自社の力が発揮できそうなポジションを選んで攻めていく考え方を指します。このタイプの企業では事業内容が短期的に変化していくことが多く、人材も流動性が高いという特徴があります。もしくは事業がどのように変わっても通用するような複合的なスキルを持った人材を採用し、その時の事業内容に合わせて発揮するスキルを次々に変えてもらう方法を取る場合もあります。
そして2つ目が「コアコンピタンス重視型」です。ポジショニング重視型とは反対に、自社の強みを起点に事業戦略の方向性を決めていく考え方を指します。採用方針としては、自社の中核となる事業の競争能力向上に寄与してくれる人材を採用し、スペシャリストとしてじっくり育てていくやり方がマッチします。おのずと人材流動性は低くなり、従業員にとっては腰を据えて働ける安定した職場と捉えることができるでしょう。専門性を身に着けた人材に長く勤めてもらうことが期待できます。
どちらの型が良いということはありませんが、自社の型と採用方針がずれていると採用活動がうまくいかなくなる恐れがあります。自社の経営戦略はどちらのタイプであるのかを正確に把握し、それに合った採用方針を策定することが大事です。
コアコンピタンスを確立するには
では、自社のコアコンピタンスを確立するにはどうしたらよいのでしょうか。実は、多くの場合、コアコンピタンスを「新たに生み出す」必要はありません。少なくとも長年続いている企業には、必ず他社には追随できないような確固たる強み、つまりコアコンピタンスが存在しているはずで、逆にそうでなければコアコンピタンスたりえないからです。しかし、長年その会社に在席している経営者や社員にとってはそれが当たり前のことになりすぎて、強みであることに気付いていない場合が多いのです。
隠れたコアコンピタンスを可視化するためには、社外の第三者に見てもらい、強みや魅力を発見する方法が有効です。もしくは、社員の中でも外側に近い目線を持っている新入社員に意見を聞くのも良いでしょう。さらにもう一つ、会社の歴史の中から見つけるという方法もあります。長い歩みの中で起きた事件や難局を乗り越えられた、その理由となる行動や考え方には共通項があるはずであり、そこにコアコンピタンスが見出だせるでしょう。また、創業者が残している文章や、昔から大切にされている社是などといった企業のルーツとなっている言葉にも、ヒントが隠されていることがあります。
コアコンピタンスを採用活動に生かすには
自社のコアコンピタンスをしっかり認識している企業はまだまだ少ないため、コアコンピタンスを確立していること自体が強みとなります。注意したいのは、コアコンピタンスを確立したにも関わらず、採用活動で前面に出さず、別の特徴ばかりをアピールしてしまうことです。せっかくの強みが求職者に伝わらないだけでなく、採用したい人物像と実際に応募してくる人の間にミスマッチが起き、採用活動を難航させる原因になりかねません。
真のコアコンピタンスを言語化して発信するだけで、十分求職者の心を掴むコンテンツになり得ます。特に、比較的安定志向の多い日本人には「コアコンピタンス重視型」の企業が好まれる傾向にありますから、強みを前面に打ち出して積極的に採用活動に生かしていくとよいでしょう。
<取材先>
人材研究所 代表取締役社長 曽和 利光さん
京都大学卒業後、リクルートに入社。人事部のゼネラルマネージャーとして培ったスキル・ノウハウと、2万人の面接経験を融合しワンランク上の人材を採用する独自手法を確立。その後、大手生命保険会社などで一貫して人事領域で活躍し、2011年に株式会社人材研究所設立。著書に『就活「後ろ倒し」の衝撃』(東洋経済新聞社)などがある。
TEXT:北村朱里
EDITING:Indeed Japan + 波多野友子+ ノオト

Indeedに求人を公開しませんか?
求人を作成する