選考の結果、採用を決めた候補者に対して、企業側は採用の理由を本人に伝えるべきか否か。この疑問に対し、クレド・ライフクリエイション株式会社の深堀一雄さんは「伝えるべき」と明言します。では、その理由は何か? また、採用理由を明確にしておくことで生まれるメリットとは? 深堀さんに詳しい解説をお願いしました。

なぜ採用の理由を明確に伝えたほうがいいのか

面接などの選考を経て採用が決まった候補者に対し、企業はできるだけその理由を本人に伝えたほうがいいでしょう。なぜなら候補者からすれば、自分のどこが評価されたかを把握することがモチベーションアップに繋がり、いっそう入社後の活躍が期待できるからです。

たとえば志向性や適性が評価されたとなれば、職務のどのようなところで力を発揮すべきなのか、自ずと理解できます。あるいは、仕事に対する意欲的な姿勢が評価されたと知れば、さらに向上心をもって仕事にあたることができるでしょう。

採用の理由は候補者にとって、自らの強みを自覚するきっかけのひとつです。ただ漠然と人柄で選ばれたケースや、消去法で勝ち残ったようなケースなどと比べて、エンゲージメントが高まるのは自明なのです。

採用の理由を伝える際のポイント

候補者に採用の理由を伝える際は、できるだけ具体的に、そしてポテンシャルやコンピテンシーにおける評価を言語化する必要があります。

コンピテンシーとは行動特性のこと。つまり、与えられた職務に対して、なぜその人材が優秀な成果をあげられると判断したのか、という理由を明確に伝えることが大切です。

たとえば「事業拡大を目指すために、あなたの営業力が必要です」「今後のグローバル展開を見据えて、海外キャリアの豊富な人材を求めていました」など、評価ポイントを具体的に伝えることで、人材側にとっては自分のどのような部分が買われ、どのような働きを期待されているのかが浮き彫りになるわけです。

仮に、その人材の「コミュニケーション能力」を評価した場合、コミュニケーション能力が意味するものは1つではありません。これをさらに掘り下げ、対話の能力を求めたのか、どのような環境でも溶け込めそうな協調性を求めたのか、具体的に伝えるべきでしょう。

採用後のミスマッチを防ぐためのヒント

ただし、こうして採用理由を明確化するには、あらかじめ求めている人材のペルソナを特定することが大切です。そしてそれが、入社後のミスマッチを防ぐことにも繋がります。

かつて某大手電機メーカーは、「『出るクイ』を求む!」というコピーで、積極性と意欲に満ちた人材を募集していることを表現しました。また、某大手飲料メーカーは「やってみなはれ」という創業者の言葉を全面に出し、チャレンジ精神旺盛な人材を求めていることを表現しました。これらはいずれも、採用の基準となるコンピテンシーを端的に伝えるものです。積極性にもチャレンジ精神にも自信のない人材は、応募の時点である程度ふるいにかけられることになります。

つまり、自社がいまどういう人材を欲しているのか、あらかじめ採用戦略を練り込まなければ、明確な採用理由は語れません。実際に求人メディアやエージェントなどにコストを投じて募集をかける前に、組織として今後何を目指し、そのためにどんな戦力が不足しているのかを検討することが、採用活動の大前提です。

採用した人材が入社してから環境や待遇、社内のムードに違和感をおぼえるようでは手遅れです。昨今、多くの企業が取り入れている1on1ミーティングやオンボーディングなどの施策は、フォローの手立てとして有効ではあっても、入社前の時点で対策を打つに越したことはないのです。


<取材先>
クレド・ライフクリエイション株式会社 深堀一雄さん

TEXT:友清哲
EDITING:Indeed Japan + 波多野友子 + ノオト

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