
Janice Bryant Howroyd氏が Indeed のLaFawn Davisとともに、AIを適切に使用して採用活動を行う方法や、あらゆる場所で起業のひらめきを得ることについて、実践的なアドバイスを共有します。
キーポイント
- スキルは教えることができるが、イノベーションに取り組む意欲そのものは教えられない。
- AIツールは使えば使うほど優秀になる。
- 時には、成功のあとに戦略がついてくる場合もある。
人種隔離が行われたノースカロライナ州で育ったJanice Bryant Howroyd氏は、起業家精神は遺伝だと話します。「ただ、法人企業を設立するという意味での起業家精神ではありませんでした。」
Indeed FutureWorks 2024のステージで、人材派遣とビジネスサービスのソリューションを提供する数十億ドル規模の巨大企業、AceOne Groupを創設したHowroyd氏は、彼女の祖母が昼食時に自宅のダイニングルームのテーブルから、町の反対側に住む白人にBBQを売っていたことを説明しました。また、彼女の祖母は料理をする小屋を解放し、近所に住む黒人家族にも食事を提供していました。そうした成長期の経験をもとに、Howroyd氏は「Acting Up: Winning in Business and Life Using Down-Home Wisdom(自分のやり方を貫く:米国南部の伝統的な知恵を活かしてビジネスと人生で成功する方法)」という本を書きました。Indeed のChief People & Sustainability OfficerであるLaFawn Davisに対し、Howroyd氏は「顧客の需要を満たす」ことの価値と、「互いの予想を超える」ような方法で顧客にサービスを提供することの重要性を学んだと話しました。
「最終的には、すべての顧客が祖母のダイニングルームにある同じテーブルで食事をするようになりました」とHowroyd氏は話します。
現在72歳のHowroyd氏は、1978年に900ドルを借りて絨毯店の奥に自分の会社を設立した時に学んだ教訓を胸に歩んできました。現在、JBHの愛称でも知られるHowroyd氏は、数十億ドル規模の企業を築き上げた初のアフリカ系アメリカ人女性であり、女性のマイノリティが経営する米国で最大の非上場の人材マネジメント会社のリーダーです。
「素晴らしい経験だというだけではありません」とHowroyd氏は言います。「私たちは驚くべき未来を構築しているのです」
Davisとの広範囲にわたる対話の中で、Howroyd氏は子ども時代の経験がいかに自身の起業家としての才能を鍛え上げたかについて話し、成功が常に明確な戦略から始まるとは限らない理由と、人事で人間味を維持する大切さについて説明しました。話の要点は以下のとおりです。
起業家精神を身に付けた方法について
Howroyd氏が子ども時代に影響を受けた人物は、祖母だけではありませんでした。彼女は早くから周りにいる女性の姿を見て育ったことで、勤勉に働くことの価値を学びました。
「私は人種隔離が行われた米国南部の社会で育ち、高校2年まで人種別学校に通いました。そこで私は、人々が仕事に向かうために並んでいるのを見ていました。皆、夕方になると歩いて帰ってきました。ウーピー・ゴールドバーグの『ロング・ウォーク・ホーム』という 映画を見たことがあれば、当時の生活と仕事の在り方を表しているのがお分かりでしょう。しかし、そうした中にプロフェッショナリズムや組織、予算管理があり、気配りがあることにも気付きました。これらは、現在の人事関連職で私たちが達成を目指すべきことです。人々が、日々の生活や仕事、地域社会にそういった価値観を持ち込んでいるのを目の当たりにすることは、当時の私にとって非常に印象的でした」
成功の裏にある、戦略を持たない戦略について
最初のビジネスを立ち上げたとき、Howroyd氏は特に計画に従っていたわけではないと話します。
「戦略はありませんでした。ただ、激しい熱意と能力があり、成長の過程で援助をしてくれた人たちがいました。『会社を作れば人が集まるだろう』という、従来の方法は取りませんでしたね。顧客から、私たちのサービスを新しい場所や異なる方法で拡大して提供することを求められた時、初めて思いついたのです。サービスの提供を支えるには戦略が必要になる、と」
企業文化との相性(カルチャーフィット)に基づく採用が非常に重要である理由について
Howroyd氏は、一緒に仕事をしやすい人材を探しますが、同じような人材のみを採用するという意味ではありません。
「採用に関する戦略の策定という点で私が検討することの1つは、企業文化と相性の良い人材を見つけて確実に採用することです。スキルは教えることができます。
私たちとの協調性だけが大切なのではありません。なぜなら、同じようなことをしても、より良い成果にはつながらないからです。私たちが求める企業文化との相性とは、イノベーションの精神を共有してくれるかどうかです。」
人事で人間味を維持することについて
当日の午前中に行った基調講演で Indeed のCEO、Chris Hyamsは、AIツールを利用する人が増えれば増えるほど、ツールはさらに改善されると発言しました。Howroyd氏も完全に同意します。
「私は何年も、人事では人間味を維持すべきだと言い続けてきましたが、40年前にそれを言い始めたときには、単なるスローガンのようなものでした。しかし今日では、人間味を維持することの緊急度が高まっています。
私のチームが日々、AIを利用して多くを学んでいるのは素晴らしいことです。私たちが学んでいるのは、人材と人材へのアプローチだけではありません。クライアントの行動についても学んでいます。
AIの名前をAishaだとしましょう。有益で健全な情報を与えると、Aishaは優れた結果を出します。有益で健全な情報を与えないと、ここで言うのは差し控えますが、あの無礼な言葉で呼ばれるような女性になる場合があります。Chrisが話したとおり、適切に使えば使うほど優秀になるのです」
FEETの重要性について
これは皆さんが思い浮かべる意味とは違います。
「私の会社では昔、全員が毎日オフィスに出社していたころに、壁にFEETと書かれているのを見ていました。FEETは、会社を構築し、今後も構築を続けるための基礎となるものです。Fはイノベーションを行う自由(Freedom)、Eは優れた(Excellence)サービスの提供です。あらゆること(Everything)や人が大切であるため、その理解には時間(Time)をかけます。これは創設当初から、会社を成長させるための基本的な要素でした。
「私たちが存在し、企業を成長させる方法を模索するのは、人々をより良い仕事に導くだけでなく、自国により健全で安全安心な環境をもたらすためです。素晴らしい取り組みだと思います。」