従業員の離職を防止し、長く働いてもらうためにはどのような方法があるのでしょうか。人事業務・プロジェクトの支援を手掛けるアルドーニ株式会社・代表の永見昌彦さんに、従業員エンゲージメントを向上させ平均離職率を抑える施策についてお聞きしました。
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求人を作成する新卒・中途の入社1年後の平均離職率とは
国内企業の入社1年後の平均離職率は、新卒の場合1割程度です。中途も、業種や役職によってさまざまですが平均するとやはり1割程度と言えるでしょう。
ただ、自社の離職率が1割を下回っていれば何も対策をしなくて良いと一概に言えるわけではありません。退職者の多少に関わらず重要なのは、一人ひとりが辞める理由をできるだけ正確に把握し、今後の人材育成や採用に生かすことです。
その一方、真の退職理由を聞き出すのは容易なことではありません。ポイントは、直属の上司ではなく人事担当者など、業務上直接の関わりがなかった立場の人が1対1でヒアリングを行うことです。また、ヒアリングのタイミングを退職手続き開始後もしくは完了後にすることで、退職者が安心して話せる環境を用意でき、本音を聞き出しやすくなるでしょう。
離職率が高い企業の傾向とよくある離職理由
よくある離職理由としては、人間関係のトラブル、業務内容と本人の希望とのミスマッチ、実際の待遇や給与と本人の希望とのミスマッチなどが挙げられます。ここで特筆すべき問題点として、離職率が高止まりしている企業には、採用担当者が現場の実情を把握していないといった傾向があります。
冒頭で挙げたトラブルに加え、給与や残業時間の面で法令が遵守されていない、ハラスメントが黙認されているといったいわゆる「ブラック企業」状態であることもあり得ます。もちろんこれはもってのほかですが、それに近い実情があるにも関わらず採用担当者が把握しておらず「当社は何の問題もないはずなのに、なぜか離職率が下がらない」と頭を抱えているケースが多々見られるのです。
この問題を解決するためには、まず採用担当者が自ら現場に足を運び、業務の様子を視察したり、従業員と直接コンタクトを取ったりすることで実情を把握しましょう。また、無記名の従業員満足度調査を行うこともおすすめします。一人ひとりの率直な生の声を収集できるほか、一度に全員に実施することで全体の傾向も把握しやすいからです。自社だけでなく地域や業界全体の待遇・給与の水準を適宜リサーチし、場合によっては見直しを検討することも必要です。
従業員エンゲージメントを向上させるための施策
従業員エンゲージメントを向上させて離職率を抑える方法を、選考時~入社時と入社後に分けて解説します。
◆選考時~入社前の施策
・先輩従業員との接触機会を設ける
場合によっては現場の先輩従業員に面接官を務めてもらうなど、候補者が入社した場合に一緒に仕事をする従業員と接する機会を設けると、入社後のスムーズな人間関係の構築につながります。
・適性診断を取り入れる
採用までのプロセスに適性診断を取り入れて選考の精度を上げることで、本人の適性と業務や企業文化とのミスマッチによる早期退職を防ぎます。
・業務内容や難易度を包み隠さず伝える
採用時に業務内容をしっかり説明することはもちろん、厳しい面や難しい点についても包み隠さず伝えることが重要です。「こんなに大変だと思わなかった」という理由での早期離職を防止できるほか、正直に話すことで信頼の獲得にもつながります。
◆入社後の施策
・メンタル面のサポート体制を整える
採用担当者や現場の上司が適宜様子を気にかけたり声掛けを行ったりするのはもちろん、業務上の悩み事やハラスメントなどについて相談できる窓口を設置することも有効な方法です。窓口は自社の人事部門やコンプライアンス部門内に設けるほか、外部業者を活用する方法もあります。
・メンター制度を設ける
入社した従業員1名に対して先輩従業員1名がペアになり、サポート役を務める「メンター制度」を取り入れることです。メンターとなる先輩は同じ部署内の身近な先輩、もしくは業務内容が近い他部署の先輩など、本人の業務内容や環境について把握していながらも直接の利害関係がない人物がベストです。
・公平な人事評価制度を導入する
公平な人事評価制度が整っていない環境では、新しく入社した従業員が「長く在籍している従業員のほうが優遇されている」「後から入社したものは評価されにくい」と不信感を持つケースが少なくありません。その結果、それが事実であるかどうかに関わらず離職を招く原因となるのです。実際に公平な評価を行うことはもちろん、それを行っていることを全ての従業員が客観的に理解できることが大事です。
このような従業員エンゲージメント向上に役立つ施策を自社の状況に合わせて実施し、離職率抑制を目指してみてください。
<取材先>
アルドーニ株式会社・代表取締役 永見昌彦さん
外資系コンサルティングファームなどで人事コンサルタントとして勤務した後、事業会社(ラグジュアリーブランド持株会社)で人事企画担当マネージャーとして人材開発・人事システム・人事企画を兼務。事業会社、コンサルティングファームの両面から人事に20年携わった経験を活かして、2016年にフリーランス人事プランナー・コンサルタントとして独立。2018年に法人化。現在、人事全般のプランニング・コンサルティング・実務に携わっている。
TEXT:北村朱里
EDITING:Indeed Japan + 波多野友子 + ノオト

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