ニューロダイバーシティを推進するメリットとは? Shawn Brown氏 インタビュー

By Indeed (米国)

もしも企業が、自分たちは豊富な人材プールを見過ごしており、そのことに気付いてもいないのだと知ったらどうするでしょう?

職場のニューロダイバーシティの向上をミッションに、エンジニア、デザイナー、また人気YouTuberとしても活躍するShawn Brown氏は、多くの企業で、ニューロダイバーシティの求職者や従業員を採用し、定着させる取り組みが十分に行われていないと話します。

ニューロダイバーシティ(Neurodiversity)とは、「脳の多様性」とも呼ばれ、これまでは自閉症や多動症、学習障害などと診断されてきた、脳や神経に由来する個々人の違いを、能力の欠如や優劣ではなく、多様性として捉えて社会の中で生かしていこうという考え方です。

また、人々が学び、考え、周囲と関わる上での脳の自然な多様性を指し、失読症や自閉症、注意欠陥多動性障害(ADHD)などと診断されてきた様な、さまざまな個性が含まれます。

こうした多様性は見た目からは認識されづらいものの、本人の生活や働き方には深く関わっています。

では、ニューロダイバーシティに対して、よりインクルーシブな採用活動や職場環境を構築するために、企業には何ができるのでしょうか?

自身が識字障害の一種であるディスレクシアの症状を抱えているBrown氏は、採用企業がニューロダイバーシティの人材を活かせる支援しており、Indeed Interactive 2021でも、その事について語ってくれました。

今回は、そんなBrown氏に、小さな事からでも企業がニューロダイバージェント(多様な脳を持つ個人)の人材を惹きつけ、定着させるためにできることを聞きました。

Brown氏のアドバイスを実践すれば、より、ニューロダイバージェントの人材の活躍を促せるだけでなく、すべての人にとってよりインクルーシブで働きやすい職場環境が実現されていくでしょう。

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自身の経験から支援活動を開始

今は理想の仕事に就いているBrown氏ですが、まったく異なる人生を歩んでいた可能性もあるのです。

現在、Brown氏は、自身で始めた人気のYouTubeチャンネル「Invent Stuff」で、子どもたちが考案した奇抜な発明品を、共同創始者と一緒に実際に制作して紹介しています

しかし、Brown氏は10代の頃、情報を記憶する能力に影響を受けるとされるディスレクシアの診断を受けました。 Brown氏は当時を振り返り、「それまではクラスでも成績優秀だったのに、(自分の症状に対する配慮がなかったため)テスト中に無力感で頭を抱えるしかない子どもに変わってしまいました」と言います。

その後、大学では平等に「教育を受ける権利」を確保するため、学校などが必要かつ適当な変更・調整を行う「合理的配慮」を受けられるようになりましたが、Brown氏はニューロダイバージェント(多様な脳を持つ個人)の多くが、非常に苦労していると語ります。 

「何百万もの人が、学校の勉強についていけなくなったり、退学したりしてしまい、エンジニアなどの教育が必要な多くの仕事に就く機会を失っています」  こうした経験から、Brown氏はニューロダイバージェントの人材の未来を明るいものにするため、ニューロダイバーシティアドバイザーになる訓練を受けました。そして現在は各所でニューロダイバーシティの人材が企業にもたらすメリットを伝えています。

ニューロダイバーシティをポジティブに捉え直す

では、企業は何から手を付ければ良いのでしょうか。

まず重要なのは、ニューロダイバーシティは人間にとって自然なことだと知ることだとBrown氏は強調します。 

「私自身もそうですが、ニューロダイバージェントの中には、ディスレクシアや自閉症、ADHDが、自身の『障害』になっているとは、全くもって考えていない人もいるのです」 

それでも付きまとう世間のマイナスイメージーー。それが大きな障壁となることを、Brown氏は自らの仕事探しで体験してきました。

たとえば、採用プロセスで合理的配慮を要望するという選択肢があったとしても、Brown氏が企業に人とは違う自分の学び方について開示したのは、失読症の支援機関で働く仕事に応募したときだけでした。 

「自信がありませんでした。私のディスレクシアがどういうものなのか、採用担当者が本当に理解しているとは思えず、応募した職種に就いたとしても最終的には不利な立場に置かれるだろうと感じました」と、Brown氏は説明します。

使用される言葉も重要です。ニューロダイバーシティに対するマイナスイメージは、「障害」や「~症」といった、実態と一致しない否定的な意味合いを持つ言葉から来ている部分もあるでしょう。

Brown氏は、人々のニューロダイバーシティへ対する捉え方そのものを見直すことが重要だと考えています。「日常生活においても、ディスレクシアは私自身にデメリットよりもはるかに多くのメリットをもたらしているのです」 

ニューロダイバーシティへの学びと変革を推進する

ニューロダイバーシティが受け入れられる職場にするには、採用企業が認知を広げるだけでなく、実質的な変化を推進していくことが大切だとBrown氏は言います。 

ニューロダイバージェントがもつ学習のニーズやスタイル、好みは人それぞれであり、万人に適した解決策はありません。多様なニーズには多様なソリューションが求められるのです。

しかし、アクセシビリティやインクルージョンを向上させる施策の多くは、シンプルかつ費用対効果が高く、幅広い影響をもたらすことができます。

たとえば、Brown氏は提案するのは、異なるタイプの職場環境を提供し、従業員が自由に選べるようにすることです。これには、さまざまな配置のワークスペースを提供したり、単にオフィス内で従業員がノイズキャンセリングヘッドフォンを使うのを許可したりすることが含まれます。 

「ADDやADHDを持つ人は、賑やかな環境でも問題なく成果を発揮できますが、自閉症の方にとっては、照明や周囲の音は、大きな影響を及ぼします。したがって、座席表でデスクを指定するのではなく、個々の従業員が働く環境を選べるようにすることは大きな効果があるでしょう」とBrown氏は説明します。職場でニューロダイバーシティへの認知や理解が進めば、上記のような改善策は特に大きな効果を発揮するでしょう。

Brown氏は、ニューロダイバーシティについて管理職を対象に研修を実施することで、従業員のニーズが明確にイメージできるようになり、誤解を解くことにもつながると話します。

また、ニューロダイバーシティは比較的認知度が浅く、取り扱いに注意を要するテーマでもあります。職場で話し合う際に、従業員がブロックを感じないよう、適切な用語を学んでいることも大切です。 

「間違った用語を使ったり、失言をしてしまうのではないかという強い恐怖心を誰もが持っています。そして、その恐怖心が行動を妨げたり、支援が行き届かない原因となっていることもあります」とBrown氏は指摘します。

ニューロダイバージェントの求職者への採用は柔軟に対応する

ニューロダイバージェントの従業員にとって、職場の小さな変化は大きなメリットになり得ますが、それは求職活動においても同じです。

どのニューロダイバージェントの求職者にもそれぞれの強みとサポートが必要な面があるため、採用方法もそれに合わせて対応するべきでしょう。

まず最初に、求人票の内容を見直すことから始めると良いかもしれません。Brown氏は、求人票の要点は3つ以下に絞り、さまざまな要件を書き連ねないようアドバイスしています。

また、分かりにくい決まり文句のような表現や、専門用語も避けましょう。「求人票に『柔軟でオープンな人材を募集』と書いてあっても、具体的にどういう人を指しているのか分かりません」とBrown氏は疑問を投げかけます。 

またBrown氏は、採用活動においても、「先入観を持たず、オープンマインドでいること」を推奨しています。

たとえば、求職者をふるいにかける方法から見直してみましょう。Brown氏と同じディスレクシアである友人は、専門分野では高い能力を発揮しますが、応募書類では多少の誤字脱字が入ってしまうこともあるそうです。

そうした仕事には直接関係のないミスにより書類選考で不採用とすると、応募者の仕事の機会が奪われるだけでなく、企業側にとっても、活躍する可能性の高い人材を見逃すことになります ワークスペースについては、オフィス内に分かりやすい標識を設置し、従業員が移動しやすくすることをBrown氏は推奨しています。

また、ニューロダイバージェントの求職者にとっては、面接官とのアイコンタクトが難しい場合があります。その点についても柔軟に対応してほしいとBrown氏は提案します。

さらに、実際の仕事の能力と経験については、求職者に直接、尋ねることが大切です。また、多くの企業が、候補者の将来性を見極める最善の方法であるリファレンス先への問い合わせをしていないと、Brown氏は指摘します。 

最後に、採用面接の際には、すべての候補者に、次のようなシンプルな質問をすることを忘れないよう、Brown氏は勧めています。

「この面接の間や、その後の選考プロセスのなかで、よりあなたがご自身のスキルや能力を発揮しやすいようにサポートしたいのですが、何かできることはありますか?」

この質問により、候補者との対話が生まれる可能性があり、何か調整が必要な場合にも候補者が安心して企業に伝えることができます。

Brown氏は、この質問は求職者と企業の双方に自信を与えるとともに、ニューロダイバーシティの候補者のために企業が実行できる、シンプルかつ、最も効果が高いことだと断言します。

アクセシビリティとインクルージョンはすべての従業員に役立つ

「結局、チームや組織に所属するすべての人の考えは異なるものです」とBrown氏は言います。

だからこそ、社内のダイバーシティを推進し、育成することは企業の責務となります。職場のニューロダイバーシティに関する認知を高め、インクルーシブな環境を作るには、従業員を教育し、職場環境に実質的な変化を起こす必要があるとBrown氏は話します。

それにより、管理職や従業員に必要な知識や用語が身に付き、ニューロダイバーシティを人種や民族、ジェンダーアイデンティティ、年齢などと同じように、人間の多様性の大切な一面として捉えることができるようになるでしょう。 

また、豊富で幅広いニューロダイバージェントの人材プールを活かせるよう、採用活動を見直していくことも大切です。求人票をシンプルにまとめ、応募者のリファレンス先へもコンタクトを取りましょう。

そして何より重要なのは、採用プロセスのなかで、人とは違う候補者の学習スタイルやニーズをどうサポートできるか、候補者本人に尋ねることです。

上記のステップを実施すれば、ニューロダイバージェントの求職者と企業にとってメリットとなるけでなく、職場のインクルージョンとアクセシビリティの向上にもつながります。

Brown氏のアドバイスは、企業がすべての人にとって明るい仕事の未来を構築をしていくための、手がかりとなるはずです。

この記事は米国版 Indeed LEADから翻訳・編集しました。

翻訳・編集:Indeed Japan 編集部

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