ノートパソコンを持って微笑む人

職場に満足している従業員は企業にポジティブな影響を与えます。米国で数百万の Indeed ユーザーからの回答を分析した、オックスフォード大学の研究者による新しい調査では、従業員の満足度が高い企業は、従業員の定着率、事業収益が高く、株価も上昇していることが分かっています。変化の激しい経済情勢や売り手市場の採用環境に多くの企業が取り組む中、職場のウェルビーイングを優先する企業は継続して業績を伸ばしていくでしょう。 

それでは、リーダーにとってこの事実が持つ意味とは何でしょうか。今回は、ウェルビーイングを高めて職場環境を改善する方法について、6人の専門家と行ったインタビューに基づき、企業にも個人にも役立つさまざまなヒントを紹介します。

Jan-Emmanuel De Neve氏(オックスフォード大学のWellbeing Research CentreでDirectorを務め、世界幸福度報告書の共同編集者)

従業員が最も大切にしていることを重視する:「何が大切かについて従業員を対象に調査すると、ランキングの上位はインクルージョンやビロンギング(自分の居場所があること)、職場の友人など、漠然としたものが選ばれます。」

全体的なウェルビーイング向上を目指す:「典型的なアメリカ人に『最近、人生にどのくらい満足しているかを0~10の数字で評価してください』と尋ねると、回答は6.9です。典型的なフィンランド人に尋ねれば、7.8と回答するでしょう。北欧諸国でウェルビーイングに関する回答の評価が高い理由は、雇用の維持や医療へのアクセスに関する不安が少ないためだと考えられます。この評価点を目指すと良いかもしれません」。

他者の役に立つ:「腑に落ちないかもしれませんが、世界幸福度報告書で分かった最も驚くべき結果は、困難な時期ほど人々は互いを助け合い、ボランティア活動が活発になることです」。[1]

Monica Mo氏(ソーシャルインパクトプラットフォーム、WellSeekの創設者兼CEO)

人間らしいロールモデルになる:「透明性を維持し、弱さを正直に見せるリーダーになりましょう。自分も人間であるという事実を認めることで、周りの人も失敗したときには素直に認めることが可能になります」。

従業員のチェンジマネジメントスキルを高める:「人は不確実なものに抵抗し、変化をコントロールしたいと願いますが、それは前進を妨げるやり方です。変化に抗わないことが、上手に適応したり、最善のオプションを検討することにつながります。管理職やリーダーとして、従業員には変化に対処するだけでなく、自らが変化の一部となるような主体性を促すことが大切です」。

メンタルヘルスの維持に上司が担う役割を理解する:「従業員が不満を抱いていることを示す最大の特徴は、意欲ややる気の低さです。熱意が失われている場合は注意が必要です。チームとのつながりを感じないことも兆候の1つです。最近の調査では、約70%の従業員が自分のパートナーと同じくらい、上司がメンタルヘルスに影響を及ぼすと回答しました。」[2]

Ian Sanders氏("365 Ways to Have a Good Day: A Day-By-Day Guide to Living Your Best Life"(良い一日を過ごすための365の方法:日々最高の人生を生きるための入門書)の著者)

シェフのようにクリエイティブになる:「ここ数年、私たちは不確実性に対処してきました。人間であれば誰でも、「変化するということは、物事が自分の手に負えなくなることだ」と感じることもあるでしょう。しかし、さまざまな食材を1つの料理にまとめ上げるシェフのように考えることをお勧めします。遊び心を持っていろいろ試し、変化を違う視点から捉え直してみましょう。」

従業員にデスクを離れるよう推奨する:「仕事では孤独を感じる場合があります。時に自分のデスクを離れて、周囲や人と触れ合う時間を持つことが大切です。オフィスの中を歩いたり、休憩室に行くなどして、同僚に声をかけてみましょう。休憩をとった後の裁判官は、仮釈放などの審査で寛大な判断するという調査結果もあるほどです。これは気持ちの余裕に関する、分かりやすい例だと言えるでしょう。」[3]自分とチームの状況を確認する:「自分が今、どう感じているかを自問して、状況を確認しましょう。ただし、現実的に考えると、私たちが毎日100%幸福であることはありません。絶好調の日もあれば、誰とも話したくないような日もあることを、人間らしさとして認めることが大切です。」

並んで歩く2名

Gabriella Rosen Kellerman博士(“Tomorrowmind: Thriving at Work with Resilience, Creativity, and Connection — Now and in an Uncertain Future”(トゥモローマインド:現在も不確実な未来でも職場でレジリエンス、創造力、つながりを活かして活躍する思考法)の共著者)

楽観と実用主義を兼ね備えたリーダーになる:「現実的な楽観主義者となり、ポジティブな結果を想像することは、モチベーションの維持に役立ちます。常に最悪の事態を考える姿勢から離れ、現実的な楽観主義を身につけることで、前に進む道が見えるでしょう。」

先入観を持たずに問題を解決する:「変化をうまく乗り切るためには、迅速に認知する能力が大きな役割を果たします。迅速な認知能力とは、1つの思考のみに留まることなく、あるアイデアから別のアイデアへと視点を切り替えたり、ある分析を速やかに次のレベルへと発展させるなどができる能力のことです。私たちの周りで変化が起きているとき、柔軟性は可能性のある結果の幅を大きく広げる場合があります。また、機会を特定する準備を整えることにもつながるでしょう。」

短時間でもチームとのつながりを維持する:「忙しすぎて誰ともつながる時間がない、いつも時間が足りない、など「時間が足りない」という思考が邪魔になることがあります。しかし、医師と患者とのやり取りに関するある調査では、たった1分間でも誰かと効果的に関係を築くことは可能であることが分かっています。これを実践するだけで、職場で必ず深い人間関係を築けるということではありませんが、その積み重ねには意味があります。」[4]

Bill Burnett氏とDave Evans氏(スタンフォード大学教授で『スタンフォード式人生デザイン講座 仕事篇(Designing Your New Work Life)』の著者)

ラジカルアクセプタンス(良し悪しを評価せずに受容する)を実践し、激動の時代におけるレジリエンスを高める:「物事は二度と元に戻らないと感じるような時代に、混乱した状況に対処するのに最も効果的なツールは、状況を受け入れ、現実的に生きることです。」[5]

— Evans氏

個人的な違いに惑わされず、組織の目標を第一に考える:「同僚を変えることはできませんが、同僚に対する自分の考え方を変えることは可能です。たとえば、誰とも話さない、少し変わった同僚がいる一方で、常に誰とでもおしゃべりする同僚もいるでしょう。そうしたすべての同僚をあるがまま受け入れ、一人ひとりが、担当業務をやり遂げるために最善を尽くしていると考えることが大切です」。— Burnett氏

前向きさが何よりも重要であることを忘れない:「人間とは誰もが、非常に社会的な動物です。経営陣の前でスピーチをする時はいつも、「職場の嫌われ者」ではなく、健全で明るい人物として振る舞うことこそが、最も大切であると伝えています。」— Evans氏

[脚注は以下のとおり]

[1]2023年世界幸福度報告書によると、見知らぬ人を助けたり、お金を寄付したり、献血したり、ボランティア活動を行ったりする利他的な行為は、その行為を行う個人のウェルビーイングの向上に正の相関があることが判明。

[2]Indeed のWork Wellbeing 2022 Insights Report(職場のウェルビーイングに関する2022年版分析レポート)によると、調査対象の従業員の22%は、上司が直属の部下の職場における幸福度に対して部分的な責任があると回答。

[3]「アリストテレスは、人間は社会的動物であると言いました。幸福度調査で明らかになったのは、社会的なつながりが幸福度の向上に大きな役割を果たし、孤独には幸福度を低下する同様の力があるということです」。— 2023年版世界幸福度報告書

[4]Indeed による職場のウェルビーイングスコアは、米国などの一部の市場で展開中。「上司との関係」を含む、ウェルビーイングに影響を与える11の項目に基づく評価。

[5]「レジリエンスは、仕事の満足度とエンゲージメントのほか、全体的なウェルビーイングにポジティブな影響を与えることが分かっています。」— Harvard Business Review