舞台中に立つVP of Software EngineeringのAvery Moon

2025年2月26日、品川ザ・グランドホールとオンラインにて同時開催された「Indeed PLUS Tech Summit」。Indeed PLUS連携ATS(採用管理システム)・連携求人サイトを担当する技術者を中心に、Indeed PLUSのビジョンや今後の開発方針を共有するイベントが執り行われた。

冒頭、Indeed Japan株式会社 代表取締役/ゼネラルマネジャー(※1)の大八木 紘之は「Indeed PLUSという新しい取り組みを始めて1年、皆様のご協力を得て、求職者と採用企業の双方に対して大きく価値を広げることができたと思っております」と感謝の意を表明。本イベントでは1年間の成果とプロセスを振り返り、この先にどのような未来を作っていくのかを議論したいと参加者に呼びかけた。

(※1)役職はイベント開催時点のものです。

Indeed PLUS連携ATS・連携求人サイトの協力に支えられたIndeed PLUSの軌跡

登壇するVP of Software EngineeringのAvery Moon
VP of Software EngineeringのAvery Moon

キーノートセッションには、VP of Software EngineeringであるAvery Moonと、VP of ProductのJohn Foxが登壇。AveryはIndeed PLUSを開発・リリースした背景として、日本特有の採用市場の構造的課題に着目したことを説明した。

「日本の採用市場は非常に細分化されており、特定の職種ごとに専門性の高い求人サイトが存在し、それぞれが独自の価値を提供しています。これは素晴らしいことですが、その反面、求職者と企業の双方がそれぞれ複数のサイトを利用しなければならず、採用活動における負担となっています」(Avery)

2024年1月30日にローンチされたIndeed PLUSは、複数の求人サイトやATSを連携させることで、この細分化された採用市場に存在するギャップを埋め、求職者と求人のより効率的なマッチングの実現を目指して開発された。

Indeed PLUSを利用することで、一度の求人投稿で国内主要求人サイト利用者の最大約7割(※2)に求人票を届けることが可能(※3)となる。

Indeed PLUSがもたらした変革として、Averyは特に以下の4つの取り組みを強調した。

  1. 質の高い求人票のための求人フォーマットの標準化
  2. 一貫した応募プロセスの実現
  3. Indeed PLUS連携ATSにおいてスポンサー求人の仕組みを統一
  4. 一度の投稿で求人を複数のIndeed PLUS連携求人サイトに配信(※3)(※4)

「Indeed PLUSによって、各連携求人サイトの独自のデザインやブランドは維持しながらも、求人情報のフォーマットと応募プロセス、スポンサー求人の仕組みは統一されました。その結果、求職者も企業も、自分が選んだ求人サイトまたはATSで、より効率的に求職・採用活動ができるようになりました」(Avery)

AveryはIndeed PLUSの成長を示す具体的な数字を挙げ、現在では25以上のATSと11以上の求人サイトが連携していること(※5)を報告した。さらに注目すべきは、Indeed PLUSからの配信した求人の応募数が平均で従来の約3.2倍(※6)に向上したと言う成果だ。2024年第4四半期以降には64万件の新規求人が追加され、すでに51万社(※7)がATSを通じてIndeed上で検索可能な求人情報を公開している。

しかしこうした成果の背後には、多くの試行錯誤があったことをAveryは率直に認めた。プレゼンテーション中、英語での説明を一旦中断し、日本語に切り替えて「Indeed PLUSとの連携については、パートナーの皆様に多大なご負担をおかけしました。そうした状況にも関わらず、柔軟にご対応いただいたパートナーの皆様に心から感謝申し上げます」と改めて感謝の意を伝えた。

(※2)株式会社ヴァリューズ シェア調査 2024年6月 (日本国内の主要求人サイトを1年に2日以上利用しているユーザーのうち、 Indeed・タウンワーク・とらばーゆ・はたらいく・フロム・エー ナビ・リクナビNEXT・リクナビ派遣を利用しているユーザーの割合。人材紹介等を除いた約60サイトを競合求人サイトとし、PC・スマートフォン間の重複は加味せず集計)

(※3)Indeed PLUS 利用の際には、Indeedの利用規約、掲載基準、使用制限が適用されます。

(※4)Indeed PLUSは配信最適化の結果、複数ではなく単一の連携求人サイトにのみ掲載される場合があります。

(※5)2025年2月20日現在。Indeed PLUS 連携求人サイトは随時追加予定です。掲載対象となる連携求人サイトの種類や掲載可能時期は変更の可能性があります。

(※6)Indeedデータ(日本)Indeed のみで掲載からIndeed PLUSでの求人配信へ切り替わった求人の前後14日間の比較

(※7)Indeed連携ATSを経由してIndeed上で検索可能な求人を掲載する企業を指す

連携に関するフィードバックを受け4つの対策を実施

登壇するVP of ProductのJohn Fox
VP of ProductのJohn Fox

次のパートではVP of ProductのJohn Foxにバトンが渡され、Indeed PLUSとの連携における課題とIndeed側の対策が説明された。

Indeed PLUS連携ATS・連携求人サイトの技術者からフィードバックとして寄せられたのは、エンジニアがプラットフォームの活用方法を理解しづらい、プラットフォームの動作が予期せず変更される、Indeed PLUSの開発ロードマップが把握できない、連携プロセスに手間がかかるといった課題だ。

これらの指摘について、Johnは「シンプルさ、見つけやすさ、予測可能性、自律性の4点を主眼に改善していく」と述べ、開発者エクスペリエンスを向上させるための4つの対策について解説した。

対策1 テストツールとアナリティクス

最初の対策として、テストツールと解析機能の強化が挙げられた。開発者が自ら問題を診断できる「テストツール」は、クエリの問題点をリアルタイムでフィードバックするため、Indeedのサポートがなくても修正できる。また、開発中の「Data Viewer」などの解析ツールは、Indeed PLUS連携ATS・連携求人サイトのシステムにどのような問題が存在するのかを分析する。これらにより、開発者がIndeedのサポートに問い合わせて返答を待つといった時間のロスをなくし、開発効率を向上させることを目指していくと言う。

対策2 手順書の改定

2つ目の対策は、高品質な手順書の整備だ。これまでの手順書に不十分な点があったことを謝罪し、今後は「手順書なしには新機能をリリースしない」と言う原則を導入するとした。また、開発者が常に信頼のおける資料として参照できる手順書を目指し、堅牢なツールで品質を確保する体制を整えることを約束した。

対策3 セルフサービスサポート

3つ目の対策は、Indeed PLUS連携ATS・連携求人サイト開発者の質問にリアルタイムで回答する「Indeed PLUSチャットボット」。これにより、開発プロセスの円滑な進行をサポートできること、さらに複数言語に対応しているので、さまざまな言語でも気軽に質問できる利便性が強調された。

対策4 APIの安定性と予測可能性

最後の対策は、Indeed PLUS連携ATSや求人サイトの開発パートナーへ新機能や今後の変更点を可視化した、リリーススケジュールを提供すること。Indeed PLUS連携ATS・連携求人サイトの開発ロードマップに悪影響がないように、変更点が発生する場合は事前に告知することで、APIの安定性担保を約束した。

これらの対策に加え、イベントでは今後発表予定の新機能についても紹介され、更なる開発者エクスペリエンスの向上への期待が高まる内容となった。

パートナーと描く未来 ─ Indeed PLUSが目指す次なる進化

舞台中央に立つVP of ProductのJohn Fox

Johnはプレゼンテーションの締めくくりに、Indeed PLUS連携ATS・連携求人サイトとIndeedの継続的な協力関係の重要性について熱意を込めて語った。

「このIndeed PLUSと言う旅路は、皆様と共に歩んできた道のりです。これからも継続的なフィードバックをいただきながら、より良い求人配信プラットフォームを共に創っていきたい。開発者の皆様にとって真に価値あるエクスペリエンスを提供できるよう、これからも全力で取り組んでまいります」(John)

今回のキーノートセッションを通じて、Indeed PLUSの1年間の軌跡が鮮明に描き出された。ローンチ時の課題から目覚ましい成果、そして未来への明確なビジョンまで、包括的な全体像が示されたと言える。

「We help people get jobs.」と言うIndeedの変わらぬミッション。日本の複雑な採用市場においてIndeed PLUSは確かな変革をもたらしているが、これはまだ始まりに過ぎない。Indeed PLUS連携ATS・連携求人サイトからの声に真摯に耳を傾けながら、日本の採用環境に最適化されたソリューションを提供し続けていく──そんなIndeedの揺るぎない決意が感じられるキーノートセッションとなった。