人事領域でデータを収集・分析して活用する「ピープルアナリティクス」で、AIを活用する場合、どのような活用方法や効果が期待されているのでしょうか。企業の採用をピープルアナリティクスを活用して支援する株式会社アッテル・代表取締役社長の塚本鋭さんに伺いました。
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求人を作成する採用でのピープルアナリティクスの活用方法
「ピープルアナリティクス」は、人事の領域で「人」にまつわる様々なデータを収集・分析し、それらを活用して成果をあげるための手法です。海外の先進IT企業からはじまり、日本でも広がってきています。「採用」「配置」「育成」「評価」「退職」など、幅広い領域での活用が期待されていますが、特に明確なデータを出しやすい「採用」は取り入れやすいと言われる領域です。
採用選考を行う際は、限られた時間のなかで活躍人材・定着人材を見極める必要があります。そのため大きく以下の3つの目的での活用が一般的です。
◆選考の精度の向上
自社に合った人材を見極めることを目的とした活用です。人が行う書類選考や面接では、どうしても精度のバラツキが出てしまいます。そこで、自社に合った人材を定量化して分析し、求職者がそれに当てはまるかどうかを見極めることで補完しようという考え方です。
◆選考の効率化
どちらかと言えば、大企業に多い使われ方です。新卒採用時に短期間で何千人といった求職者を選考するような場合に、データを活用することで活躍人材の見落としを予防したり、評価スコアを使って通過率の高そうな求職者から優先して確認できるようにしたりすることが可能です。
◆内定受諾率の向上
内定辞退率が高い人のデータを見ることで、内定者フォローやコミュニケーションを改善するために活用することもあります。たとえば「なぜ内定辞退をしたのか」「どこで満足度が下がって内定辞退をしたのか」「どういう人が内定辞退しているのか」「どういう選考方法だと内定辞退率が高いのか」などを分析します。
ピープルアナリティクスでAIを活用するには?
採用時のピープルアナリティクスで活用されているAIには、大きく分けると2つの活用状況があります。1つは、ディープラーニングをベースとした技術の活用、もう1つは、機械学習などを含めた幅広い意味でのAIと呼ばれる技術の活用です。
前者のディープラーニングは、たとえば、面接動画を撮影し、それを解析して判断するような使われ方をされます。しかし、ディープラーニングはデータ数が多い方が精度があがる技術のため、一社の採用時に活用されるケースは、現時点では多くはありません。
一方、後者の機械学習などの活用では、自社や各部署に合った活躍人材・定着人材を見極める「選考の精度向上」を目的として、導入する事例が増えています。既存の従業員のデータを活用し、応募者の「活躍可能性」を分析するような使い方です。
たとえば、同じ企業でも部署や職種によっても活躍人材は異なるので、部門や職種ごとに活躍する人の特徴を分析し、活躍人材・定着人材を抽出するための「採用基準」や「配置基準」をAI(機械学習)で見つけ出します。
また、エントリーシートでの選考や面接では、人による選考に加え、機械学習やAIに情報を読み込ませることで、人には見落とされてしまった活躍可能性の高い応募者をピックアップするような活用も可能です。
このように、採用時のピープルアナリティクスでAIを活用することで、人の苦手な部分や、定量化した方が精度が上がる部分をカバーすることができます。
採用時にAIを活用するときの注意点
採用時にAIを活用するときの注意点は、大きく3つあります。
◆求職者の納得感が得にくい
「採用基準」や「配置基準」を明確にして、精度の高い選考が行えることがAIの特徴です。しかし求職者によっては、人ではなく「AIに選考されている」ということに納得できなかったり、快く感じないという人もいます。選考過程でAIをどのように活用しているかを求職者に説明し、納得感を持ってもらうことが大切です。
◆差別の助長につながる場合がある
たとえば、「採用基準」や「配置基準」の設定に、性別や人種によって不利になるなど、検証を行っていないバイアスのかかった評価モデルを使用してしまうと、差別を助長したり誤った判断を下してしまう可能性があります。
◆個人情報の取り扱いに注意が必要
求職者のデータを同意を得ないまま活用することで、問題になることもあります。個人情報については利用目的・方法を明示し、その方法以外に使わないことが重要です。
AIは上手に活用すれば採用の精度向上への効果が期待できますが、あくまで手段の1つです。活用すればすべての課題が解決する魔法のツールではありません。
また、採用選考で活躍人材を獲得するための第一歩は、自社の活躍人材・非活躍人材のデータを集め、そのデータを正しく可視化することです。次のステップとして、AIの活用を検討してみてはいかがでしょう。
<取材先>
株式会社アッテル・代表取締役社長 塚本鋭さん
東京大学・大学院において、機械学習(AI)や大規模シミュレーションに関する研究に従事。人工知能学会研究会優秀賞・東京大学工学系研究科長賞(総代)など受賞。2013年にクラウドソーシング会社に参画、2018年に株式会社アッテルを設立。
TEXT:武田明子
EDITING:Indeed Japan +ミノシマタカコ+ ノオト

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