派遣先企業が派遣社員と雇用契約を結ぶことを「直接雇用」といいます。派遣社員の雇用先は派遣元企業ですが、自社の社員として直接雇用に切り替える場合、どのようなメリット・デメリットがあり、どのようなステップを踏む必要があるのでしょうか。社会保険労務士法人堀下&パートナーズ・代表の堀下和紀さんに伺いました。
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求人を作成する派遣社員を直接雇用に切り替える際のルール
派遣先企業が派遣社員を直接雇用に切り替えることは法的に問題なく、切り替える際のルールも特に定められていません。
一方で、「原則として、派遣元企業は派遣先企業との間で、派遣社員の雇用期間終了後に派遣先企業が派遣社員を直接雇用することを禁止する契約を結んではいけない」(労働者派遣法第33条)とされています。
ちなみに、派遣先企業が正社員を募集する場合、同じ事業所に1年以上勤務する派遣社員に対しても募集情報を提供する義務があります(労働者派遣法第40条)。
派遣社員を直接雇用するメリット・デメリット
派遣社員の契約形態を直接雇用に変更する際には、メリットとデメリットをしっかりとおさえましょう。
◆メリット
1.派遣費用が発生しない
派遣元企業を通す場合、給与は直接雇用の従業員よりも高めに設定されています。
2.帰属意識が高まる
派遣社員は派遣契約で定めた業務しかできませんが、直接雇用では企業の様々な業務を行なうことができます。その中で、自然に愛社精神が芽生え、帰属意識が高まります。
◆デメリット
1.解雇しづらい
直接雇用する従業員は労働基準法の保護対象になります。原則、よほどのことがない限り解雇は無効とされます。
2法的な規制と労務管理のコストが増える
直接雇用は労働基準法の様々な規制を受けます。また、給与計算、社会保険手続きなどの間接費用が増えます。
直接雇用に変更する方法と流れ
派遣期間終了後、派遣社員との合意の上で雇用契約を結べば、企業は派遣社員を正社員や契約社員として直接雇用することができます。以下の通り、変更手続きを進めてください。
1.直接雇用する目的を派遣社員に明示する
派遣社員に直接雇用に切り替えるメリット(おもに労働条件など)を説明します。
2.派遣社員と派遣元企業との契約内容を確認する
派遣社員が派遣元企業との雇用契約を解消しているか確認してください。契約内容によっては、違約金などが発生する場合があります。
3.直接雇用するための雇用契約を結ぶ
派遣社員と企業双方の合意の上、雇用契約を結びます。
4.労働条件通知を文書で明示する
雇い入れの際に従業員に労働条件を文書で明示することは、労働基準法で定められた企業の義務です。
直接雇用への切り替えは派遣期間終了後に行う
直接雇用への切り替えで何よりも重要なのは、派遣社員の派遣期間が終了した後に行うことです。そして、派遣社員と派遣元企業との間できちんと雇用契約が解消されているか確認する必要があります。
派遣元企業との雇用契約が解消されていないのに、派遣社員と直接雇用の契約を結んでしまった場合、派遣元企業に対して手数料や違約金が発生するケースもあるので注意しましょう。
直接雇用する前に必要性を慎重に検討する
派遣社員を直接雇用に切り替えることは、法的になんら問題はありません。ただし、一度雇用契約を結んでしまうと解雇するのは簡単ではありません。
直接雇用の可否はメリット、デメリットをきちんと分析した上で慎重に検討してください。
※記事内で取り上げた法令は2023年1月時点のものです。
<取材先>
社会保険労務士法人堀下&パートナーズ 代表 堀下和紀さん
慶應義塾大学商学部卒業。大手企業を経て、社会保険労務士法人堀下&パートナーズを設立。訴訟、労働組合案件等トラブル解決を含め、労働法務に関する指導数は100社を超える。
TEXT:塚本佳子
EDITING:Indeed Japan + 南澤悠佳 + ノオト

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