学生バイトを採用しても、なかなか定着せずに困っている飲食店やアパレルショップなどが多いようです。学生バイトの人事採用に精通している曽和利光さんに学生が辞めてしまう本当の理由や、その対策、安定して学生バイトを確保する施策などについて伺いました。


今の学生バイトは「学業優先」

ひと昔前であれば「就活に専念したい」「部活が忙しくなってきた」など、学生がアルバイトを辞める理由はいろいろ考えられました。しかし、最近の学生バイトが挙げる理由として一番多いのは「学業」ではないでしょうか。
 
現在の大学では「シラバス」(講義要領・授業計画)が厳格化しており、授業に出席しないとテストが受けられなかったり、予習・復習を求められる授業も増えたりしているようです。学業に専念しないと単位を取れずに、落第してしまう状況があります。
 
こうした背景から、授業に出席できなかったり、テスト勉強の時間がとれなかったりと、学業に支障が出るアルバイトはすぐに辞めてしまう可能性があります。頼りになる学生バイトほどお願いしたくなるものですが、ほどほどにしておかないと、親からバイトを止められることにもなりかねません。

学生バイトの定着率を高める3つの対策


では企業として、学生バイトの定着率を高めるための対策としてはどんなことが考えられるでしょうか。飲食店やアパレルショップなどシフト制の仕事を例に挙げると、次の3つの施策があります。

1.テスト期間中などは、パートタイムやフリーターを充てる

大学のテスト期間中などは学生バイトの「長期休暇」と捉えて、主婦やフリーターといった学生以外のパートタイマーを中心にシフトを組みましょう。そうすることで、学生バイトに無理な勤務をお願いしなくて済みますし、学業を理由に辞められる心配もなくなります。そのためには、試験日などの学事日程を学生バイトから事前にヒアリングして把握しておきましょう。

2.相性が合う学生バイト同士でローテーションを組む

40〜50人のアルバイトを抱えているようなお店では、学生バイトがシフトへ入るたびに毎回初めて顔を合わせるという職場も少なくありません。学生にとっては、仕事内容だけでなく、仲間の存在も勤務継続の大きな要因になります。仲間意識や一体感がもてるチームづくりをしていきましょう。例えば、相性が合う学生バイト同士が同じ時間帯で働けるようにローテーションを組むのも1つのやり方です。

3.本音が話せる学生のバイトリーダーを配置する

学生バイトは、店長に対して言いたいことがあってもなかなか本音が言えないこともあるでしょう。そうならないように、店長と学生バイトたちとの橋渡しとなるバイトリーダーのポジションを設けるのもいいでしょう。シフト調整や新人教育などを任せ、他の学生が相談しやすい存在になって、学生バイトの本音を聞き出してもらいます。バイトリーダーとなる学生バイトは一定の権限や責任を負うことになるため、時給を上げるのが望ましいです。

長期的に学生バイトを確保するための施策

学生バイトは基本的に大学を卒業すれば必ず辞めてしまいます。長期的にバイトを確保するための施策も合わせて考えておく必要があります。その1つとして有効なのは、学生が応募しやすいように「採用ハードルを下げること」です。具体的には、以下の施策が考えられます。

◆応募者は履歴書不要で受け付け、必要な情報は面接で聞き出す

学生バイトの採用に履歴書を持参させるケースは多いと思いますが、実際は履歴書にどれほどの必要性があるでしょうか。応募者がどんな人か見極める必要はありますが、住所や連絡先などの必須情報は当日記入してもらい、応募動機などは面接で確認すればいいでしょう。経験談として、私が人事担当を務めていた企業では、履歴書不要でスタッフを募集したところ、応募者数が約3倍に増えました。

◆自社の魅力や職場の雰囲気が伝わる動画を用意

職場の雰囲気が分かる動画など、応募前に手軽にチェックできるコンテンツを用意しておくのも、学生バイトの採用には非常に効果的です。どのような職場の雰囲気で、どのような同僚と働くのかは、応募者にとって非常に気になる要素であり、仕事選びのポイントにもなってきます。そのニーズに応えるコンテンツがあれば、応募促進につながります。
 
こうした施策は、公募だけでなくリファラル採用でも有効です。ただし、リファラル採用の場合は、本人の許可を得たうえで紹介者に連絡先を教えてもらい、直接の連絡は人事担当者が行います。紹介者にも負荷がかからないようにするのが、リファラル採用を成功させるポイントになります。

ハラスメント対策として相談窓口の設置も

学生バイトの退職理由には、店長などからのパワハラやセクハラなども考えられます。立場の弱いアルバイトは、誰にも相談できずに退職を余儀なくされるケースが多いです。
 
対策としては、アルバイトスタッフが利用できるハラスメントの相談窓口を作ることです。窓口の存在は、立場が上のスタッフにとっての抑止力にもなります。相談窓口を導入する場合は、相談者の秘密を厳守することや、相談者に不利益が被らないようにすることなど、学生バイトが相談しやすい配慮も合わせて考えるようにしましょう。

<取材先>
株式会社人材研究所 代表取締役社長 曽和 利光さん
京都大学卒業後、リクルートに入社。人事部のゼネラルマネージャーとして培ったスキル・ノウハウと、2万人の面接経験を融合しワンランク上の人材を採用する独自手法を確立。その後、大手生命保険会社などで一貫して人事領域で活躍し、2011年に株式会社人材研究所設立。著書に『就活「後ろ倒し」の衝撃』(東洋経済新聞社)などがある。
 
TEXT:西谷忠和
EDITING:Indeed Japan + ノオト

※この記事は2021年9月13日に公開したものです

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