キャリア面談とは? その意義と効果的な進め方

By Indeed

キャリア面談とは、社員が上司とキャリア形成について話し合うことです。キャリア面談を行うことで、どういったメリットがあるのでしょうか。キャリア面談を成功させるために上司がするべきことや注意点などについて、ユースキャリア研究所・代表の高橋浩さんに伺いました。

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キャリア面談とは

「キャリア面談」とは、企業(上司)と社員(部下)が1対1で、社員のキャリア形成について話し合いをする機会です。

社員自身が認識している「自分の強み」や「興味・関心を持っている分野・業務」などを共有しながら、中長期的スパンで社員が目指す自分の姿を明らかにしていきます。そして、それを実現するための方法を話し合うことで、上司は社員が自主的に自己研鑽を積んでいくよう導きます。

キャリア面談は20年以上前から多くの企業で実施されていますが、当初は社員の適材適所を知り、適切な人材配置をすることが目的でした。つまり、企業(人事)主導で行われていました。

時代や働き方の変化により、昨今では企業がキャリアを提示するのではなく、自主的・自発的なキャリア形成を重視する、社員主導の内容に変わってきています。

キャリア面談を行う意義と得られる効果

キャリア面談を実施することで、企業は社員の特性や将来の展望を知ることができ、社員は自らのキャリアについて考え、明確なイメージを形成することができます。そのため、うまくいけば以下の効果を得ることができ、双方にとって大きなプラスになります。

◆キャリア面談による企業の効果

  • 社員の定着率が上がる
  • 生産性が向上する
  • 的確な人材の登用につながる

◆キャリア面談による社員の効果

  • モチベーションのアップにつながる
  • キャリア形成の目標、あるいは課題が明確になる
  • エンゲージメント(帰属意識)が上がる
  • 自発的に能力開発(自己研鑽)するようになる

キャリア面談のために上司が準備すること

一般的にキャリア面談は30分〜1時間程度で行われます。限られた時間の中だけで、社員を理解するのは難しいため、面談を担当する上司は事前準備をして社員への理解度を深めておきましょう。

1.「キャリアシート」を作成し、社員に記入してもらう
「キャリアシート」とは、これまでの経験や身につけたスキルなどをまとめた書類のことです。この様式を上司(企業)が作成し、事前に社員に記入してもらうことで、より充実したキャリア面談を実施することができます。

<キャリアシートの内容>
1)Can=できること(経歴・業績)
2)Will=やりたいこと(興味・関心)
3)Must=やるべきこと(役割)
4)Vision=なりたい自分(将来像)
5)Problem=仕事上・キャリア上の困りごと(困難)

2.「キャリアシート」に沿って、質問を考える
キャリア面談では、Can、Will、Must、Vision、Problemごとに質問をしていきます。あらかじめ質問を想定しておきましょう。ポイントは、Can、Will、Mustは「過去」について確認し、Visionは前記3つを合体させた姿として、社員の「未来」について聞くことです。

<質問例>
Can……「過去に成果をあげた仕事は?」→得意分野や能力・スキルを確認する
Will……「過去に熱中した仕事は?」→どんな仕事に情熱を感じるかを確認する
Must……「自社における自分の役割は?」→上司の期待と一致しているかを確認する
Vision……
「今後、興味・関心のある分野は?」
「今後、トライしたい仕事は?」
「自分の強みを生かせる仕事はどんな分野?」
「どんな能力があればやりたいことができる?」
「役割を果たすためにはどんな能力を身につける必要がある?」
Problem……
「現在、仕事を進める上で困っていることは?」
「伝えておきたい個人的事情は?」

3.これまでの仕事を通じて感じている社員の特性をまとめる
キャリアシートは社員が分析した自分自身です。自社でキャリア形成を積んでもらうためには、企業側が求める社員の役割や、これまでの仕事を通して上司が感じている社員の特性などについてまとめておくことも重要です。

キャリア面談を実施する時の留意点

キャリア面談はうまくいけば絶大な効果を得ることができます。最大限の効果を得るためにも、以下のポイントに留意しましょう。

1.社員の考えを尊重する
何よりも大切なことは、面談をする上司が社員を受け入れるマインドを持つことです。社員の考えが企業側の期待とは違っていても、まずは話を聞き、同じ目線で対話をしてください。

2.Willから話を始める
1を重視するためには、前項で記した「Will」から話を始めるのがポイントです。Will→Can→Mustの順番で過去の経験をたずね、それを踏まえてVisionへとつなげましょう。「Must」から始めると企業側の論理で話が進んでしまう可能性が高くなります。

3.WillとMustを両立させたビジョンを話し合う
WillをうまくMustに落とし込むための話し合いをしましょう。上司側の論理(Must)だけで話を進めると、社員はやらされているという義務感だけになってしまい、モチベーションは上がりません。とはいえ、社員側の希望(Will)だけでは企業のためにならず、社員の身勝手なキャリアになってしまいます。

4.社員に対する企業側の期待をきちんと伝える
社員のMustあるいはVisionが企業の期待とずれているケースは多々あります。その際には、「今後、あなたにはこんなことを担ってほしい」「こういう人材になってほしい」など、社員への期待をきちんと伝えることも大切です。ただし、指示・命令ととられないように気をつけてください。

5.Problemに対して上司や会社ができる支援を検討する
仕事内容や労働条件、職場の人間関係、さらには個人的事情など、社員が困りごとや不満を抱えている場合もあります。これに対して、上司や会社ができる支援を考えてあげましょう。困難を取り除くことによって社員は元気に活躍することができます。

6.形式的にならない
キャリアシートに沿って確認して終わりという、形骸化したキャリア面談になってしまうことも考えられます。それでは実施する意味がありません。また、社員側が忖度して企業の求めるビジョンをキャリアシートに書くケースも見受けられます。企業の期待と合致しているため、これも確認して終わりという意味のないものになってしまいます。これでは、社員のモチベーションアップにも企業の生産性アップにもつながらず、双方にとってメリットがありません。

面談の内容を業務に反映させる

キャリア面談で社員のビジョンを確認したら、人事も含めて社員の要望を叶える努力が必要です。希望する部署への配置転換や、やってみたい業務にチャレンジさせる機会を作ってあげましょう。

また、キャリア面談を有意義なものにできるかどうかは、面談に臨む上司の能力も大きく影響します。外部のキャリアコンサルタントに依頼し「キャリア面談研修」を実施するなど、上司に学ぶ機会を与えることもキャリア面談を成功に導く1つの方法です。




※記事内で取り上げた法令は2023年1月時点のものです。

<取材先>
ユースキャリア研究所 代表 高橋浩さん

弘前大学教育学部を卒業後、半導体関連企業に入社。エンジニア、品質管理、経営企画、企業内キャリアカウンセリングに従事。2012年、ユースキャリア研究所を設立。行政や大手企業におけるキャリアカウンセラー、キャリア開発研修講師、大学講師(法政大学キャリアデザイン学部)などとして活動している。

TEXT:塚本佳子
EDITING:Indeed Japan + 南澤悠佳 + ノオト

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