この記事は、英語で書かれた記事を日本語に翻訳したものです。オリジナル版のリンクやデータについては、翻訳上の編集などを行っておりません。
いわゆる「無駄な会議」は以前からありましたが、現在も根強く続いています。このテーマについて、私自身が2022年初頭に書いたLinkedInの投稿を思い出しました。
「2022年には、1日の仕事のバランスを改善したいと思います。自分の1週間の予定を立てる中で、すでに会議が多すぎると感じています。内向型な私にとっては、じっくりと思考する時間が確保でき、会議は1日に2~3ほど設定されているのが理想です。最近では毎日、1日中会議をしているように感じます。人との付き合いは好きですが、常に会議があると心身ともにとても疲れます。」
現状について考えても、問題は変わっていません。過去2年間にわたり、スケジュールに喜びを感じる瞬間もありました。仕事に集中して業務をすべて片付け、チームをサポートし、さらに昼食を準備する余裕があったようなときです。そうした瞬間には、「これだ!ついに私も進化した」と感じたものです。
しかし、それから数週間が経つと、また会議が連続する日が続くようになり、1日の終わりにはくたくたに疲れ果てるようになりました。そうした日々には、自分がまったく何も学んでいないように感じました。ただ、私はそうした考えをすぐに打ち消し、望みはまだ残っていると考えます。すでに知っていることを学び直す必要があるだけなのだ、と自分に言い聞かせます。人生のほとんどがそうであるように、あらゆることは自分が確立した習慣(良くも悪くも)や、何を最優先に考え、自分に降りかかる状況にどう対処するかに行き着くのです。
この記事では、皆さんの会議とウェルビーイングの取り組みに役立つことを2つ、ご紹介します。
- 無駄な会議を減らすことが、自分や従業員のウェルビーイングのためだけでなく、自社の最終利益にとっても必要な理由
- 自分の習慣や、自社の文化的な規範を変え、あらゆる人にとって健全な会議文化を育むために実施できる、6つのシンプルなアイデア
無駄な会議の隠れたコスト
従業員が会議に費やす時間数は、新型コロナウイルスの感染拡大前と比べて250%に急増しています。こうした状況は、従業員のストレスがますます高まり、また、一度に多くのことに取り組みすぎていると感じる原因になっています。私自身、Indeed の職場のウェルビーイングに関するプロジェクトの担当者であり、ナレッジワーカーであり、またピープルマネジャーを務めている立場であることからも、幸福度、満足度、目的意識、そしてストレスレベルを表す指標である、職場のウェルビーイングに無駄な会議が与える悪影響を見過ごすことはできません。
Microsoftの調査によると、常に休憩なく会議が続くことにより集中力や意欲が失われ、ストレスレベルが急激に高まることが分かっています。その他の研究でも、出席する会議が多すぎることにより、人は礼儀正しさがなくなり、精神的にも身体的にも疲労しやすいことが明らかになりました。多くの従業員はタスクを完了するために勤務時間外に残業し、有意義なディープワーク(集中して仕事に取り組むこと)の機会がほとんどありません。さらに、表面的な努力でひっきりなしにビデオ会議を行うことは極めて負担が大きく、特に内向的な性格の人にとっては苦労が絶えない場合があります。
人的なコスト以上に、無駄な会議には金銭的コストもかかります。不必要で非生産的な会議によって無駄になる数百万ドル分もの時間に加え、職場のウェルビーイングへの悪影響は、収益性や総資産利益率、企業価値評価の低下につながります。明らかに、無駄な会議の代償は高くつくと言えるでしょう。
無駄な会議を減らす6つの方法とは
増え続ける会議数に対して、極端な対策を取り入れている企業もあります。たとえば、有名な例としては、Shopifyが会議の一掃を実施し、カレンダーボットを使って会社全体で30万時間分の会議を削除した例があります。一方で、ハイブリッド勤務の導入が進んでいる現状では、チームが協力して働き、職場のウェルビーイングを促進する仲間意識とビロンギング(自分の居場所があると感じられること)を育む時間が少しは必要です。また、従業員の多くは1日の終わりにカレンダーを整理するような余裕がありません。
それよりも、理不尽な会議数を減らし、職場のウェルビーイングを向上するために、調査に基づく以下の戦略を試してみましょう。
1. 会議数を削減する
会議数を削減する努力をするだけでも、結果を大きく改善することができます。76社を対象にした2022年のアンケート調査で研究者は、会議数を40%削減することで、生産性が71%改善するほか、従業員の満足度も52%向上し、ストレスは57%低下するという結果を得ました。
不必要な会議を削減するには、引き算の考え方を活かして監査を実施することから始めましょう。現行の会議のうち、2つ以上を組み合わせる、頻度を減らす、または完全になくすことが可能な場合があります。新しい会議を設定する前に、そのテーマについての会議を本当に設定する必要があるのか、Slackやメールなど、他の手段で対応できないかなどを考えます。会議の必要性をなくすため、時間帯に合わせて働く非同期的コミュニケーションを活用できる部分があるかもしれません。会社または部門全体で協働のための時間を導入する、または会議が勤務時間のすべてを費やさないように会議を行うための時間枠を指定すると良いでしょう。さらに、マネジャーなどのリーダー職は、オフィスアワー(相談対応時間)を設けて、個別の面談が減っても必要に応じてアドバイスや専門知識を提供できるようにすることをお勧めします。
2. 会議のない日を導入する
上記の調査によると、会議のない日を毎週1日導入することで、「自主性、コミュニケーション、エンゲージメント、満足度が改善し、…マイクロマネジメント(管理者が従業員の業務に過干渉すること)とストレスが減少し、生産性の向上につながった」そうです。
毎週の頻度では維持できない場合、毎月1日を試してみましょう。Indeed のマーケティング組織は、毎月第一金曜日を「Focus Friday」(集中する金曜日)に定め、マーケターがディープワークに集中するために、気が散ることやタスクスイッチングを制限できるようにしています。
3. 勤務時間中に短い休憩を組み入れる
会議数の削減は、0か100かの姿勢で取り組む必要はありません。予定よりも10分早く終わらせるだけでも、大きな違いが生まれます。実際に調査では、10分以下のマイクロブレイクを取ることで、気力と体力が高まり、職場のウェルビーイングが向上することが分かっています。その他の研究でも、短時間の休息がストレスを低下または予防し、1日中パフォーマンスを維持でき、1日の終わりに長時間かけて回復する必要が減るという結果が得られています。
一般的な30分または60分の時間枠を自動的に設定する代わりに、会議の責任者は実際に議題を話し終えるのに必要な時間がどのくらいかを判断し、それが5~10分であれば会議の予定も短くすると良いでしょう。30分または60分必要であれば、5~10分早く終えることで、参加者は次の会議の前に人間らしさを取り戻す時間ができ、心身を基本に戻して会議の多さによる疲労を防ぐことが可能になります。
4. 歩きながら話す
会議は、デスクの前に座って、画面越しに互いを見つめなければできないわけではありません。コロナ禍で学んだことがあるとすれば、業務を遂行するにはさまざまな方法があり、さらに生産性を向上させ、効果的に職場のウェルビーイングをサポートできる働き方は、これまで考えられていたよりも多いということです。
退屈な会議を減らすには、文字通り歩きながら会議を行う、いわゆるウォーキングミーティングを自社に取り入れてみましょう。これまでに歩きながら話したことがない場合、次回の1対1の面談で試してみることをお勧めします。携帯電話をポケットやホルダーに入れ、イヤホンをつけて、歩きながら会話してみます。全般的な健康に良い歩数が増やせるだけでなく、画面から離れ、ぺ―スを変えることで、頭脳が解放されて優れた発想力や協働につながる可能性があります。また、自社の経営陣がウォーキングミーティングを習慣にすれば、従業員も納得して受け入れるかもしれません。
5. 自分の時間を守るよう従業員に促す
会議が多すぎることで、生産性や気力が奪われると分かっているのに、そうした会議すべてに出席しなければならない理由は何でしょうか。会議を欠席することで、自分がないがしろにされたり批判されたりすることを恐れる会議のFOMO(Fear Of Missing Out、取り残されることへの恐れ)から、組織の規範まで、さまざまな説明が考えられますが、正直に言えば自分の上司による要請が主な理由です。このプレッシャーを克服するため、マネジャーは従業員が勤務時間を設計できる慣行であるジョブクラフティング(Job Crafting、主体的に仕事を作ること)に取り組み、従業員が影響を恐れずに会議の出席依頼を断ることを認めるようにしましょう。
毎週の勤務が始まるときに、会議への出席を依頼された全員がまず最初に以下を検討します。
- この話し合いに自分はどのように貢献できるか?
- この会議から自分の仕事に役立つ、どのようなことが得られるか?
- 他の誰もできない方法で他者を支援することができるか?
こうした質問に答えることで、どの会議の出席を受諾し、どの会議は礼儀正しく出席を断るべきかが判断でき、代わりの人に出席してもらうことも可能です(たとえば、個人的なコミュニケーションにやりがいを感じるチームメイトなど)。
さらに、従業員にはカレンダーで集中する時間枠を確保し、有意義な仕事や集中力が必要な仕事に取り組むよう促しましょう。この時間枠は保護され、緊急の会議で予定が変更される自由時間にはなりません。こうした新しい規範を支援するためには、マネジャーなど組織のリーダー職自身が健全な境界線の手本となり、集中する時間を確保し、目に見える形で不必要な会議への出席を断り、従業員にも同様に振る舞うよう推奨することが大切です。(アドバイス:自分が集中する時間を周りの人が尊重する可能性を高めるため、自分のカレンダーを公開し、保護された時間枠の意味を全員が理解できるようにすると良いでしょう。)
6. 自社の会議の原則を明確に定義する
会議へのアプローチを変更する取り組みを始めたら、それを公表しましょう。個人が健全な会議の文化をサポートするのに役立つ戦略を含め、組織のベストプラクティスと期待値の概要を説明する、会議の原則を記載した文書を作成します。会議のない日、マイクロブレイク、集中する時間、オプトアウト(参加しない)の自由に関するポリシーの詳細を説明し、以下のような効果的な会議を開催するための条件も含めましょう。
- 出席:出席を必須とする招待は、本当に必要不可欠な参加者のみに使用し、その他全員は任意の参加者として招待します。
- 議題:会議の前に明確な議題と目的を書面で共有すると、招待者が自分の出席が価値をもたらすかどうか、もたらす場合は効果的に準備できるかどうかを判断できます。
- 記録:重要な会議は、終了後に記録やキーポイントの要約を送信し、重要な意思決定に関する情報を得るためだけに従業員が出席することを防ぎます。
これらは会議の負担を減らし、自分も含め従業員が職場でより生産性を高め、仕事の満足感を覚えるのに役立つ方法の一部です。無駄な会議の多さは、自然に克服できるものではなく、個人の効率性だけに頼っても解決しません。上記で説明した通り、自分のために(自分が不利になるのではなく)効果的な会議の習慣を継続的に実践するよう意識することが大切です。ただし、経営陣の努力、統制、支援によっても会議数は減らすことができ、自分と自社にとって効果的な会議を行うことが可能になります。